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過去を気にしないようにするには?

こんにちは。白目みさえです。
普段は臨床心理士/公認心理師として精神科で勤務しており、夜は漫画家活動をしております。
漫画家活動はこちらからご覧くださいませ。

私は今Twitterにて白目相談室を開設しております。

こんな感じで140字以内でゆるっと答えられるものがメインですので、ガチの質問はお答えしていなかったのですが。

前回はこんなご質問にお答えさせていただきました。

そして今回もまた「過去を気にしない方法」についてご質問をたくさんいただきまして。

これもまた140字じゃ無理やて。

と思いましたので、こちらで回答させていただこうと思います。


ちなみに相談はこちらからどうぞ。

質問箱

どうして過去が気になるのか?

よく言いますやん。
キリッとした顔で。わかったような表情で。

「過去は変えられないから考えたって無駄だぜ」(`・∀・´)


昔から「いやそれはわかってるよ」って思ってました。

そんなドヤ顔で言われなくても、私だって馬鹿じゃないのでタイムマシンもないのに過去にあったことを「なかったこと」にできないことくらいわかっています。

私は「過去の出来事」そのものが気になっていたわけではないんです。

中学校のとき制服のスカートをパンツに挟んでトイレから出てきたこと自体が気になっていたわけではないんです。

その「出来事」を見た人が「どう思っているか」が気になって仕方ない。
そして「あいつ間抜けだなw」と笑ったあの人やあの人の記憶を消し去って、普段からパンツ見せて歩いている人間ではないと理解して欲しいだけなんです。(それはそれで無理なんもわかってるんやけどね)

要するに「過去の出来事」をなかったことにしたいのではなくで。
(いやそら根こそぎ消えてくれたらそりゃ楽やけど)
「過去の出来事」を目撃した人、関わった人の「認識」を変えたいんです。

それも無理なんは頭ではわかってます。

でも実際ね。
「相手の認識が変わって誤解が解けた」
という体験って誰しもしてると思うんですよ。

おかんにめちゃくそ怒られたけど、実はそれは私のせいじゃないって誰かが言ってくれて誤解が解けて「ごめんね」って言われた体験とか。

友達に悪口言われてたけど、説明してみたら全くの勘違いで気持ちがすれ違ってただけだったとか。

そうやって「相手の認識や理解を変えることができた」という経験をしてしまったがために…

「なんかいけんちゃうん」

って思ってしまっていたんです。
っていうかこれは今でも時々思っています。

いやそりゃな?
私がパンツ丸出しで歩いてたという過去なんて。
次の日にはきっとみんな忘れてるんですよ。
みんな私にはさほど興味はない。

でも日頃芸能人とか見てたらさ。
過去にスキャンダルがあって頑張って復帰した人で、多くの人はそんなこと忘れてるのに「いやあの人昔さ(ドヤ)」って掘り返してくる人が居ますやん。
そういうの知ってるからこそ。

数年後の同窓会とかで
「あいつパンツ丸出しで歩いてたん知ってる?」
「マジかwww」
とか言われてたらどうしようとか思うわけですよ。
私の思い出ってそれだけかい!
私の代表曲「パンツ丸出し」のみか!
他にももっとあるわ!
って思うわけです。

無いとはおもうけど。
私がもしなんらかの形で脚光を浴びる日がきた時に。
「あいつパンツ丸出しで歩いてましたよ」
ってどこかの週刊誌に「白目さんをよく知る中学時代の同級生A」とかってポジションで答えてたらどうしようとか思うやん。
それによって子どもが
「パンツ丸出しの娘」
っていじめられたらどうしようとか。

ここで連呼することによって私痴女みたいになってますけど。
1回だけですからね!しかもうっかりやから!誤解なさないよう!

でも「過去が気になる」って結局そういうことだと思うんですよ。
(いやパンツと一緒にすんなって思われるかもですけど)

自分の印象がそれ一色になってしまうのでは?
自分の過去で未来の功績が消えてしまうのでは?
今の自分の生活が脅かされてしまうのでは?

という心配で頭の中がいっぱいになってしまい
「過去のことが気になってしまう」
という表現になるのだと思います。

でも実際にその出来事を見た人聞いた人がどう思っているかなんてわからないし、「こうじゃないか」と想像したところで正解かどうかもわからければ、急に夜中にFacebookで探し出して「あの時のパンツの件は絶対誰にも言わないで!」ってDM送るのは違うじゃないですか。

そんなことはみんなもわかってるんですよ。

だからこそどうしようもなくなって「過去のことが気になるだけでなんの解決もできない…」と頭の中をぐるぐる不安が占めることになるのです。


じゃあどうしたらいいのん

万が一DMで口止めできたとしましょう。

でもきっと次には新たな不安が生まれてきます。

「Aは口止めできたけど、Bはどうだろう?」
「Aは既にCに話していたかもしれない」
「そもそもAやったら500円でも握らされたら言いそう」

などなど。

一生Aの行動をコントロールできるわけでもありませんし、結局不安は消えないと思います。

「もうAを殺すしか…」みたいな極端な発想にもなりかねません。

もはやAは「なんのこと?」って思ってるかもしれないのに。

というわけで直接的にコンタクトを取るのはあまりオススメしません。


かといって「不安なまま」いるのもアレですよね。(アレて)

脳はよく使う記憶は取り出しやすいところにしまってくれる修正があります。

一回書き間違えた文字ってずっと書き間違いますやん。
「今消したのに!」ってなりますやん。アレです。

毎日使っていると意識しなくても勝手に記憶は蘇ってくるものですが、しばらく時間を置くと記憶がだんだんと奥の方にしまわれていって、すぐに取り出せなくなってきます。

いわゆる「勘が鈍る」というのは、記憶を取り出す速度が遅くなっている状態ですね。


「過去の記憶」を何度も反芻していると、脳が「おっけおっけ。それよく使うのね。もう出しっぱにしとくね☆」的な感じで気を利かせてくれるので、意識しなくても勝手に再生されてしまいやすくなります。

これが「過去に囚われる」という状況。

あなたの心の持ちようがおかしくて「過去」に囚われているのではなく、脳の誤作動です。逆に言えばエラー修正することは可能です。

どうするかというと、少々無理矢理でもいいので「思い出さないようにする努力」をしていただきます。

これは付け焼き刃的な方法で構いません。
根本的な解決ではなく、脳が「よく使う記憶」と誤認しているのを書き換えられればそれでいいので。

過去を思い出しそうになったら脳の中で歌ってください。
歌はなんでもいいですが見なくても歌詞が頭の中に出てくるものの方がいいですね。

脳は同時にふたつのことはできません。
歌いながら考えるということはできないので、脳の中で熱唱してください。
実際に口に出すよりも「脳の中で」がポイントです。

思い出しそうになったら必ずこれをやってください。

多分その内その曲が忘れられなくなる副作用はありますが、一曲でなくてもいいので。

まずは少々力ずくで「過去をやたらと思い出す」という誤作動を修正してください。

歌じゃなくても「思い出す」という脳内の状態が落ち着けばなんでも構いません。


それをしばらく続けると、「やたらと思い出す」ことはなくなります。

じゃあどうしたらいいん その2

では次に「その過去」をどう扱うかですね。

とりあえず「記憶」を外に出しましょう。

脳というのは本当にKYでして。
あなたが「怖かった」という記憶を持っていると「そうかそうか。じゃあもうちょっと怖さをデフォルメしとくね☆」と勝手に記憶を盛ってくれます。
あなたの頭の中にある以上。
脳はあなたの記憶をどんどんドラマティックなものに変換してくれてしまうのです。

マジで余計なお世話。

そしてさらに
「もし…あの時見てたあの人がこう考えてたらどうする!?こっわーい!」
「もしさ。あの人があなたの好きな人に言いふらしてたらどうする!?やだー」
みたいなストーリー展開もしてくれるのです。
いやいやわざわざ盛り上がりどころ作らんでええからって話なんですけど。
これがまた新たな不安を生むタネになるんですよね。


私は今でこそ笑い話ですが、パンツの話は結構悩んでいました。
ほら思春期丸出しの頃の話ですから。

でもどこで吹っ切れたのかというと、それを人に話して笑い話にしてもらったときだったと思います。

その人が「でももしさ…それ見てたA君が…」って余計に怖がらせてくるような人じゃなくて本当に良かったとは思いました。

ただそう言ってきたとしても「それはないわ〜笑」と言えたような気もするんです。

脳内で起きていることって「ものすごく自分の世界」の話なので、いちいち反応しちゃうんですけど、他人にそう言われると結構冷静な目で見ることができたりもします。

そんなこんなで「人に話す」というのは結構大事で。

自分の脳の中だけで起こっていたことを、「外に出す」とちょっとだけ距離を置くことができます。

これを「外在化」と言うのですが。

心理療法のほとんどはこれちゃうんと言っても過言ではないくらい大事なことです。


そして私のパンツならそんなに大した話ではないですけど。

それでも「うーわ痴女じゃん!」って言われたら傷ついたと思います。
(今なら「一瞬でそんな発想が出てくるなんて『私の脳みそはピンクです』って自己紹介してるでんか?」って返せますけど)

だからこそ、過去の話の内容を「カウンセリング」で話すのがオススメです。

「カウンセリング」は基本的に患者様の話を否定することはありません。

「私のパンツ見た人を殺さないと!」と私が言い出しても「ちょ、待て。なんでそんなことになってんねん」ってちゃんと聞いてくれます。(多分)

あなたの話を馬鹿にしたり「気にしすぎでしょ」と一蹴するようなことはしない…はずです。(する人も中にはいるのが厄介なんですけど)

過去の話を外に出してみることで、「意外と大丈夫なのかな?」とか「よく考えるとAくんいなかったな」とか「Aくんそもそも今アメリカにおるわ」とか「パンツ丸出しって英語でなんて言うんやろ」とかって考えが変わっていくかもしれません。

カウンセラーは第三者なので。
娘が痴女かもしれないと思うと私も冷静に聞ける自信はありませんが。
患者様なら「痴女…なのかしら?」と思いながらも冷静に聞けます。

カウンセリングではなくても、あなたが安心して話せる相手、しょーもない返しをしてこない相手に話してみるのは良い方法だと思います。


注意点とまとめ

「考えちゃいけない!」「過去に囚われてはいけない!」と思い込むのは逆効果です。

脳ってマジでKYなので。
「うわ!めっちゃこの人自分に何回も言い聞かせてはるってことは、本当は必要なんだな☆」って誤解してくれます。
だからこそ余計に反芻しやすいように、そっと記憶を枕元とかにおいてくれるんです。
ほんまに迷惑。


だからこそ。

①歌を歌ってエラー修正をする
②しょーもない返しをしない誰かに話す

というのを試してみてはいかがでしょうか。


間違っても目撃した誰かを口止めしようとはしないように。


そしてこれを読んだ皆様。

私がパンツ丸出しした過去は忘れてください。
絶対口外してはいけませんよ?
わかりましたね?
週刊誌の取材に目の黒線入れて出てはいけませんよ?

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白目みさえ
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