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アタック西本そっくりなチベット族の青年に助けてもらった話2️⃣

前回の続き

野生のパンダを探して、四川省アバチャン族・チベット族自治州を一人さまよっていたわたしは、ちょっとした油断から(タダ飯につられて)素性のわからない旅行会社の社長(トレンディエンジェルの斎藤司似)と食事に行ってしまう。
食事中、あやしい雰囲気を感じ取って二次会の誘いを断るも、斎藤さんは彼の運転手であるチベット族の青年(ジェラードンの西本似)を連れて、わたしが宿泊するホテルの下の売店で酒を買い始めるのだった…。
そして、ようやく自分の身の危険を察したわたしは、全速力でその場を離れ、ホテルの部屋に駆け込んだのであった。

🐼🎋🐼🎋🐼

バタン…🚪。 
ふう…ʅ(◞‿◟)ʃ助かった…。

部屋に入ると同時に、トレンディエンジェル・斎藤さん似の社長から鬼電がかかってきた。

わたし「あんたの電話にはでんわ!」

つまらないオヤジギャグを言っている場合ではない。
思い返してみると、前にもスリランカで類似トラブルに遭遇した気がするが、わたしには学習能力というものが欠如しているのだ。
仕事で海外の安全対策に関する教本を編集したこともあるのに、何ひとつ学べていないようである。

斎藤さんからメール。
「401室においで。茅台(高級白酒)を用意したから」
予想通り、敵は白丸の本丸(ホテル)を攻めてきた。
ここは確かに四川省アバチャン族・チベット族自治州であるが、わたしはインディ・ジョーンズのようにチベットの酒場でショットグラスを並べて「ファイト」をする気はない。
なぜなら、白酒のアルコール度数は53度、わたしの酒量では2ショットで相手の思う壺だろう。

その後もやまぬ電話。
電源を切りたいところだが、逆上して部屋に来られても困る。
悩んだわたしは斎藤さんにメールを返した。 
「ご馳走さまでした。今日は具合が悪いので寝ます。おやすみなさい」

すると、さらなる鬼電とメールの嵐に。

深夜、ホテル室内に城壁を築く

…落ち着け、落ち着くんだ、白丸。
あの大量の鍵と、現在一個上の階、401号室にいることからして、斎藤さんはこのホテルと何らかの関係がある人間なはず(この時点ではホテルオーナーであるという確信が持てなかった)。
下手をしたら、わたしのいる部屋のスペアキーを持っている可能性だってあるのだ。

つまり今、この部屋に必要なのは、熊本城並みの防御力である。
わたしも、加藤清正を雇って近江国から穴太衆(あのうしゅう:特殊技術を持つ石工集団)を呼び寄せて、この頼りない木製ドアの前に強固な「忍び返し」を築きたい。

しかし、それは到底無理な願いなので、まずは自分の力で、扉の前にできるだけ重い物を置くことくらいしかできない。

椅子。
→ダメだ、こんなのきっと扉と一緒に一瞬で蹴り飛ばされてしまう。

サイドテーブル。
→これもダメだ、軽すぎて役に立ちやしない。

スリッパ。
→いや、今は遊んでる場合じゃなかった。

悩みに悩んだわたしは、火事場の馬鹿力を発揮して、この部屋にある一番重い物…ベッドを扉の前に配置した。

よし、これなら大丈夫。
…かもしれない…。

依然、鳴り続ける電話。
敵が攻めてきたら一番最初にやぶられる場所・扉にピッタリとくっついて眠るわたし。
(…バクバクバク…心臓🫀の音)

「おい! こんなの眠れるわけがないだろうがっ!!」

おひとりさまのわたしは、ピン芸人にならざるを得ず、全力で自分にツッコミを入れた。
その時、わたしの頭の中に突然、ジェラードンのアタック西本の顔が浮かんだ。

ジェラードン、アタック西本さん

<神のお告げ(仮)>
あのチベット族の青年は信頼できる…。

というか、彼が別れ際、後部座席を振り返って目があった時、わたしはそれを直感していた。
(目と目で通じ合う、そうゆう仲になりたいわ♪)

直感に従って西本青年に連絡をする

わたしはトレンディエンジェルからの着信が切れたところで、レストランで連絡先を交換していた西本青年のSNSにメッセージを送った。
西本青年は斎藤さんと一緒にいるはずだから、一か八かの賭けだ。

わたし「あなたの社長、どうにかして欲しい。わたし、一切その気はないから」
まるで洋画の日本語吹き替えみたいなセリフだ。
こういうこと、ちょっと言ってみたかったのである。
西本青年「彼は酔っ払ってるんだ」
わたし「知ってる。彼は何者? 絶対にこの部屋に来させないで欲しい」
西本青年「ここのオーナーだよ。あなたの部屋に押し入ることはないと思う」
わたし「会ってすぐで変だけど、わたしあなたのことは信頼しているの。どうか、お願いね!」
西本青年「わかった、僕が彼を見ているよ。安心して」
わたし「ありがとう、明日、必ずお礼するから」
西本青年「早く寝な。おやすみ」

こうしてわたしは、出会って三時間のチベット族の西本青年と目と目で通じ合って直感的に信頼し、彼にトレンディエンジェルの取り扱いを託して眠りについたのである。

3️⃣につづく。


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