全然休めていない同期から「休むヒント」を借りた話 はじめてのnote
小さい頃から読書が大好きである。好きではなく「大好き」である。
そんな私が社会人になって良かったことは、気兼ねなく大好きな本を買えるようになったこと。
際限なく買うことはさすがにできないが、あの本欲しいな、と思った時に購入するハードルがぐんと低くなったことは私にとってとても嬉しいことだった。
そんな私ではあるが、本を読むことが苦しくなった時期がある。社会人1〜2年目の頃だ。慣れない環境、じわじわとのしかかるストレス…読む本の嗜好もエッセイや小説から自己啓発本、スキルアップの本がひしめくようになり、「読みたい」から「読まなきゃ」に変わり始めた頃だった。案の定体調も壊し、今思えば抜け出すのに大層時間のかかる負のループに陥っていたように思う。
いくらか体調も戻り、仕事も復帰し、少しずつ好きな本を読むことができるようになった日のこと。会社の同期と飲みの帰りに本屋に立ち寄った。誰よりも働き、現代では絶滅危惧種のような存在である、「24時間働けますか?」にYESと(答えざるを得ないと本気で思っている)ような同期だった。その子が手に取ったのは「休むヒント」という本だった。多数の今をときめくエッセイスト、芸能人、クリエイターが休むをテーマに思い思いの文章を紡いだ内容で、私も興味を持った一冊だった。
意外にも同期はその本を即決でカウンターに持って行き、購入していた。
「白木さんにも貸してあげるよ」と言ってくれた。
あんなにも多忙に活躍している同期に本を読む時間なんてあるのだろうか。しかも今の彼とは程遠いテーマ。きっとこの約束も彼の中のTODOリストには残らないんだろうな、と思っていた。
けれど、意外や意外、2週間後に彼は会社に本を持ってきてくれた。
「案外面白かったし、ためになった」という言葉と共に。
読んでみると、休むとはこういうことだ!!というよりも「休み方ってなんだっけ?休むのが怖い」といった休むことが少々へたっぴだと自負する著者の皆さんの率直な気持ちが綴られている本だった。
良かった、と思った。休み方がへたなのは私だけじゃないんだ、と寄り添ってくれるような気がした。
と、同時に同期にも親近感を覚えた。
勝手に同期と私は同じ空間にいるけど別世界を生きているような存在だと感じていた。けれど、同じ本を読んで、響いた部分は違うかもしれないがどこかで共感し合い、今の自分の状況に憤りを感じたりしたのかなと思うとああ、知らず知らずのうちに境界線を引いてしまっていたのは自分なんだな、と気がついた。
ちなみに私は、その会社を辞めて全く別の仕事をしている。
同期は今もその会社で働いている。
彼は今、元気だろうか。彼が面白いと感じ、ためになった部分を私は今も知らない。でもどこかで行き詰まった時に「休むヒント」がきちんとヒントになってるといいな、と思う。