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【俳句】第5回 白の俳句道場風

今日は、俺の『note名の由来』記事を書いてくれたchiyoちゃんにお礼の意味を込めて、久々に俳句道場【風】の記事を書くとしよう。

この記事で、chiyoちゃんは二句、秋の俳句を詠んでくれた。

窓を開け 気持ち晴れるは 秋高し
窓を開けて空を見上げると
秋らしく空が高くなった事を感じます。
そして、気分が晴れやかになる事を詠みました。
色づいた もみじを観るは いつの日か
長引く自粛で去年も紅葉狩りに
行けませんでした( ;  ; )
自分の目で見る紅葉を
思い浮かべて詠んだ句です。

どちらも、まさに秋を感じさせる句だね。

一つずつ鑑賞していきたい。

その前に、俳句を書くときのポイント。

五七五の間を空けないこと

いろいろ理由があるんだけど、間を空けちゃうと、どうしてもそこで一旦区切ってしまうよね。

俳句は五七五で意味が切れるとは限らない。

例えば中村草田男さんの有名な句

万緑の中や吾子の歯生え初むる

この句に、五七五で間隔をあけるとすると

万緑の 中や吾子の歯 生え初むる

ん?中七の「中や吾子の歯」って何?ってなるよね。

これは、万緑の中や 吾子の歯生え初むる と、切れ字「や」のところで切れが入る句だからだ。

調べとして切れが別にあることも珍しくない俳句では、間隔を空けて表現することはデメリットにもなり得るので、間隔を入れないようにしたい。

ちなみに短歌も同じだよ。

白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
                  若山牧水

このように続けて書く。

石川啄木の三行書きのような、技法としてあえて行う例外はあるけれど、基本はひとまとまりということで覚えておこう。

不来方のお城の草に寝転びて
空に吸はれし
十五の心
                 石川啄木

ということで、その点は修正して鑑賞していくよ。

一句目「窓を開け〜」

窓を開け気持ち晴れるは秋高し chiyo

秋の晴れた日って、夏に比べるとなんだか空が高いところにあって、夏の濃い青より、より明るい青って感じだよね。

そして、空気がなんだか清涼で澄んでいる気がして、気分がいい。

窓を開け とあることから屋内にいて、そこから外を見ていることがわかる。

そして、気持ち晴れるは とあるから、それまでは気持ちが沈んでいたか、鬱々としていたか、そんな気分からの開放を感じられるね。

季語は秋高し。

秋高し(あきたかし)三秋
【子季語】
秋高、天高し、空高し
【関連季語】
秋晴
【解説】
秋になると、大気が澄むので空が高くなったような感じがする。これが「秋高し」だが「天高し」の方が一般的。【きごさい季語と歳時記より】

秋の抜けるような青空をこんな季語で表現する。晴れ晴れとした明るい、ちょっと爽やかな、そんな気持ちのする季語だ。

逆に言えば、秋高しという季語そのものに「秋らしく空が高くなったこと、晴れやかになる気持ち」という意味が内包されていると言ってよい。

するとchiyoちゃんの言いたかったことは

窓を開け 秋高し

これだけですでに表しているんだね。だから、残り七音で他の情報を入れることができるということになる。

ちなみに家の中にいて、空が高ければ、窓を開けるかどうにかして見ているはずなので、うまくやると窓を開けるという言葉もいらなくなるよ。

窓越しの街鮮やかに秋高し 白月

二句目「色づいた〜」

色づいたもみじを観るはいつの日か      chiyo

いつの日かという修辞が、今、なんらかの理由で紅葉を見られなくなった状況を表していていいね。この状況下で、多くの人が共感する気持ちだと思う。

「出かける」ことの代表として、紅葉を鑑賞するというできごとを選んだ点もいいなあ。

季語はもみじ。歳時記には以下のように記載されている。

【季語】
紅葉 もみじ もみぢ 晩秋
【子季語】
もみぢ葉、色葉、色見葉、紅葉の錦、谿紅葉、紅葉川、紅葉山、紅葉出づ、梢の錦
【解説】
落葉樹の葉が赤や黄色に色づき、野山の秋を飾る。紅葉といえば主に楓のことをいう。紅葉を愛でるという習慣は平安の頃の風流から始まったとされている。(きごさい季語と歳時記より)

つまり、もみじという季語そのものに「色づいた」という意味が含まれているので、上五は不要になる。

また、この場合、紅葉を観た日々はいつ戻ってくるだろうという気持ちを詠みたいので、「観る」が必要な場合もあるんだけど、通常、紅葉は見て楽しむので、観るという動詞もいらないことが多い。

コメントを見ると

長引く自粛で去年も紅葉狩りに
行けませんでした( ;  ; )

とあるので、「紅葉狩り」という季語にすると五音が決まるかも。

いつの日か紅葉狩りした散歩道 白月

第五回のまとめ

俳句を書くときは間を詰めよう
季語に含まれるイメージは読み手の想像に任せ、その分別の情報を入れてみよう





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