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【教育】テストの作文はどう書くか

今日は、テストで出題される作文に焦点を当てて記事にしてみようと思う。この記事で言いたいことはこれ。

一言結論

テストの作文は作文ではない!

一般的にいう「作文」とテストに出てくる200字程度の作文は、明確にその意図も書き方も違う。今日はそれを伝えていきたい。

前置きとして

今回の記事は、主に中学生を対象としている😏。想定しているのは高校入試や、学校のテストだからだ。

テストに出てくる作文問題のことを、俺は『条件作文』と呼んでいる。何かお題が出されて、それについて150字から200字くらいで書かせる、そんな問題だ。作文問題だけで独立して出題される場合と、長文読解の設問の一つとして出題される場合があるが、書き方のポイントは共通している

この条件作文について考える場合、前提として頭に入れておきたい点がある。それは、そこに「出題者がいる」ということだ。条件作文は「作文」といっても、あくまでテストの設問の一つなのである。

だから、条件作文のコツは出題者の意図を酌み取ることにある。

条件作文とは

さて、条件作文とはどんな問題かという話をしよう。

テスト問題なので、当然その中には配点がある。条件作文の配点は10点〜12点。テストの中で約1割を占める。

では、採点するときマルかバツしかないかというと、そうではない。実は一番多いのはサンカクである。解答者の多くは結果として部分点を取る場合がほとんどだ。そして、それで良いのである。

例えば数学が苦手な場合、あなたは全ての問題を全て解こうとするだろうか。それとも、苦手だから全く問題に取り組まず、白紙で終わらせるだろうか。

多くの人はそのどちらも選ばないだろう。

まず、自分のできる問題に取り組み、少しでも得点を重ねようとするはずだ。

条件作文も同じである。完全解答を求めるのではなく、できるだけの部分点を重ねる気持ちで書くことが大切だ。そのように考えれば最初からあきらめて無答で終えてしまうことを防ぐことができる

こう考えるとよい。条件作文は、2点〜3点の問題が複数集まった複合問題である、と。

だから、一見すると一つの問題に見える問題を分解し、部分点を得る練習をしていくことが条件作文攻略の糸口になる。

実例をもとに

では、実際に条件作文の問題を見てみることにする。

まず、2020年東京都の公立高校入試問題。

国語の授業でこの文章を読んだ後、筆者の考えを参考にして「技術の変化と私たちの生活とのかかわり」というテーマで自分の意見を発表することになった。このときにあなたが話す言葉を具体的な体験や見聞も含めて200字以内で書け。なお、書き出しや改行の際の空欄、「、」や「。」、「「」などもそれぞれ字数に数えよ

2020年度福岡県公立高校入試問題。

田辺さんは、相手に伝えるときに大切にしたいことや、伝えたいことを効果的に伝える手段について考えている。あなたならどのように考えるか。次の条件1から条件4に従い作文せよ。
条件1
文章は、2段落構成とすること。
条件2
第1段落にはあなたが相手に伝える際に最も大切にしたいことを【資料1】から一つ選び、その理由を書くこと。
条件3
第二段落には第一段落を踏まえ、あなたが伝えたいことを最も効果的に伝えることができる手段を【資料2】から一つ選び、その理由を書くこと。
条件4 
題名と氏名は書かず、原稿用紙の正しい使い方に従い十行以上十二行以内で書くこと。

ランダムに東京と福岡の問題をピックアップしたが、もし、他の都道府県の条件作文問題をみることができるなら、見てみてほしい。多少の差はあれど、この二つのどちらかと同じような形式のはずだ。

では、これらの条件作文問題を分解してみよう

1.テーマ

「技術の変化と私たちの生活とのかかわり」(東京都)
「相手に伝えるときに大切にしたいこと伝えたいことを効果的に伝える手段」(福岡県)

このように、条件作文は、あるテーマに基づいて自分の意見を述べることになる。一般的な作文は、「何を書くか」考えなければならないが、条件作文は、作文のテーマが明確に示されるのだ。

条件作文の一番の山場はここの部分で、このような「テーマを与えられた作文」について、いくつか自分の考えを思いつけるように練習をしておくのはもちろん大切だ。ここで、何も思いつかなければお手上げになってしまうのも無理はない。

だがもっと大事なことがある。それは、テーマだけをシンプルに抜き出して考えることだ。

条件作文が無答だった生徒に尋ねると皆、口を揃えて「何を書けばいいかわからない」という。ところが、「何か技術が変化したことで自分の生活に関わっていることない?」(東京都)と尋ねたら、十中八九「インターネットかな」「スマホかな」とか答えられるし、「相手に自分の意見を伝えるとき、何を大切にしたい?ここから選んで。」(福岡県)などと声をかけると、「これかな。」と選べるし、「それは何で?」と聞くと、「だって、〇〇した方が伝わるじゃん」などと答えられる。

そして「そっか、わかってるじゃん!それを書けばいいんだよ。」というと、ああ、そうなんだという表情で書き始めることができるのだ。

この事実が何を指しているかというと条件作文を苦手とする生徒は「問題が細分化できていない」ということである。問題全文を眺めて、意味が取れず途方に暮れているのだ。

だから、やるべきことは問題から書くべきテーマを抜き出して、それだけをシンプルに考えること。それができれば、確実に一つハードルが下がるので練習しよう。

おすすめの練習は、問題文をよんで、テーマだけを抜き出して書き出すこと。

こうすると、文章の他の言葉から切り離せるので考えやすくなる。そのテーマを真ん中において、マッピング法(マインドマップ)で連想をしてみるのも良い。

ちなみにテーマの見つけ方だが、東京都の場合は、「」でくくって明確にテーマを挙げているので、わかりやすい。福岡県の場合はまず「こそあどことば」の「ど」を探すと良い。今回の場合「あなたなら『どのように』考えるか」というところだ。

2.条件

テストの作文には必ず条件がある。この特徴が「条件作文」と俺が呼ぶ1番の理由だ。

条件作文は、どんなに素晴らしい文章を書いても、条件を満たしていなければダメだ。これは、逆もまた真なりで、どんなに稚拙な文章でも条件を満たしていればOKである。

ここは案外区別されておらず、結果として上手い作文を書こうと盛り込みすぎて、かえって部分点を失っている答案がよくみられる。

シンプルに条件を満たす作文を書く

まずはこのことを頭に置いておこう。

では、二つの問題の条件を見てみる。

東京都は「条件」と明確に書いていないから、拾い上げる必要がある。先ほど示した問題の太字の部分がそれにあたる。

◯筆者の考えを参考にする。
◯「技術の変化と私たちの生活とのかかわり」というテーマで自分の意見を書く
◯具体的な体験や見聞
を書く
◯200字以内で書く。その際書き出しや改行の際の空欄、「、」や「。」、「「」なども数える。

点数配点は、10点満点だとすると

本文をふまえて自分の意見を述べているか。3点
自分の具体的な体験や見聞を述べているか。3点
180字〜200字以内か。2点
その他(誤字・脱字など)2点

ってところかな。

福岡県の方は「条件」と言ってくれているから、よりわかりやすい。

条件は4つなので、条件2.3に傾斜をつけてそれぞれ3点、残りが2点の10点にする感じかな。

ただし、気をつけなければいけないのは、条件4の「原稿用紙の正しい使い方」に従うという条件だ。

この一言には

・段落を変えるときの1マス下げ
・行頭に「、」「。」「」」などが来ないようにする
・文末表現をそろえる(常体か敬体か)
・話し言葉を使わない

など、さらに細かな条件が含まれていると思ってほしい。

このように、形は違えど必ず条件があるのがテストで書かせる作文なのだ。

ここで改めて条件を見てみよう。すると、内容的なものと形式的なものに分類されるのがわかるだろう。

福岡県の例でいくと

形式的なもの

条件1    文章は、2段落構成とすること。
条件4   題名と氏名は書かず、原稿用紙の正しい使い方に従い十行以上十二行以内で書くこと。

内容的なもの

条件2   第1段落にはあなたが相手に伝える際に最も大切にしたいことを【資料1】から一つ選び、その理由を書くこと。
条件3   第二段落には第一段落を踏まえ、あなたが伝えたいことを最も効果的に伝えることができる手段を【資料2】から一つ選び、その理由を書くこと。

東京都の例でいくと

形式的なもの

◯200字以内で書く。その際書き出しや改行の際の空欄、「、」や「。」、「「」なども数える。

内容的なもの

◯筆者の考えを参考にする。
◯「技術の変化と私たちの生活とのかかわり」というテーマで自分の意見を書く
◯具体的な体験や見聞
を書く

ここまで分解してみると、部分点を取れそうな部分がないだろうか。

例えば、二段落構成にすること。内容は何でも、ともかく「1マス下げ」「段落終わりで行替え」して、二段落目の始まりも「1マス下げる」。

これで文章を書きさえすれば2点だ。極端に言えば、ラーメンの作り方を二段落で書けば、部分点をゲットできる😏(別の問題が起こるのでオススメはしない笑)

これに加えて200字(福岡県の問題であれば10行〜12行)で書ければ、さらに2点。他の問題の2問分になる。

同様に考えると、内容的な部分であっても、例えば具体的に体験はかけなくても、自分なりの意見は書けるかもしれない。

テーマの部分でも述べたが、条件作文の苦手な生徒の多くは、本当は全く書けないわけではない。ただ、全体的に問題を捉えすぎていて、何から手をつけていいか分からず右往左往した結果、あきらめてしまっているのだ。

だから、問題を細分化し、できることとできないことを分けて意識することは、ともかく何か書き始めるために有効なのである。

まとめ(オススメ勉強法)

何事もそうだが、物事をできるようになるには慣れが必要だ。そして、慣れは反復練習から生まれる。だから、少しでも上手になりたいなら練習が必要。苦手なスポーツがあったとしても、練習すれば、プロにはなれなくても、昔の自分よりは確実に上手くなるよね。それと一緒だ。

ただし、サッカーが上手くなりたいのに、ずっとバットを素振りしていても、サッカーは上手くならない。ちゃんとサッカーボールを蹴る勉強をしないといけない。

だからといって、いきなり試合に出るのも上手くいかない。サッカーの試合に出るまでには、まずドリブル練習やパス練習で、少なくともボールをどうやって蹴ればよいか身につけておいた方が、より試合のやり方もわかるようになるものだ。

そんなわけで、条件作文が苦手な人にはまず、こんな基礎練習をオススメする。

問題で問われていることを書き出す。

間違えてはいけないよ😏。問題の答えを200字で書くのではなく、問題で問われていること、つまり

・どんなテーマで書けばよいのか
・どんな条件で書けばよいのか

これを箇条書きにするだけだ。

その問題には、もしかすると長い文章や複数の図表がくっついているかもしれない。でも、それは全部無視!😏

これをいろんな条件作文でやってみよう。

10個も並べてみるときっとわかることがある。

毎回変わる部分(テーマ・内容)と、どの条件作文でも変わらない部分(形式)を見つけることができるはずだ。

変わらない部分は、型でありルールのようなものだから、ここはいつも意識しておこう。

変わる部分は、いい練習がある。

友だちなど、他の人とそのテーマについて話してみることだ。

「技術の変化って、俺たちの生活とどんな関わりがあると思う?俺は、例えば……。」

「相手に伝えるときに大切にしたいことってどんなこと?例えば私は……。じゃあさ、伝えたいことを効果的に伝える手段ってどんなことだと思う?私は……。」

こんな感じだ。ともかく書く必要はないから雑談してみるのである。

ふぅ、今日は俺にしては大作になったなあ笑

長い文章おつきあいありがとうございました!





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