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三浦しをんさんの『愛なき世界』を読んだ #13

三浦しをんさんの『愛なき世界』を、12月4日(水)に読み始めて、2週間以上かけて今日、12月22日(日)読み終わりました。447ページある長編。

愛なき世界

この本の感想を星5つで表すなら、星3つです。平凡だったという3/5ではなく、1/5の部分も5/5の部分もあり、均して3/5です。

あらすじ

洋食屋の見習い・藤丸陽太は、植物学研究者をめざす本村紗英に恋をした。しかし本村は、三度の飯よりシロイヌナズナ(葉っぱ)の研究が好き。見た目が殺し屋のような教授、イモに惚れ込む老教授、サボテンを巨大化させる後輩男子など、愛おしい変わり者たちに支えられ、地道な研究に情熱を燃やす日々……人生のすべてを植物に捧げる本村に、藤丸は恋の光合成を起こせるのか!? 道端の草も人間も、必死に生きている。世界の隅っこが輝きだす傑作長編。

この本を購入したきっかけ

2023年9月 以前購入して少し読んで放置していた、三浦しをんさんの『舟を編む』を読み終えました。世界観に入り込むまでが大変でしたが、最終的には、本屋大賞受賞を納得していました。そこから、いつか三浦さんの作品を他にも読んでみたいなと思っていました。
2024年4月 ふらっと本屋さんへ行き、三浦しをんさんの『あの家に暮らす四人の女』を購入しました。ぼーっと読める本を探しており、結果的に、『あの家に暮らす四人の女』は、私の当時のニーズに当てはまる素敵な作品でした。
そして2024年秋 本屋で買う本を探しているときに、三浦さんの作品のあらすじに一通り目を通して、『愛なき世界』に惹かれました。帯の「結婚にも生殖にも興味がない私は、もしかして生命体として不完全なの?」という文字に吸い寄せられました。文庫本では上下巻に分かれており、単行本で買うか文庫本で買うか悩みましたが、大切な1冊になりそうだという直感を信じて、単行本を選びました。もちろん携帯性は低いですが、素敵な装丁で、良い選択をしたと思っています。

感想

好きな部分も嫌いな部分もあったと述べましたが、まず、好きな部分です。
藤丸君が働く洋食屋の料理の描写が美味しそうで、大好きでした。あとは、藤丸君が本村さんに恋をしているのですが、藤丸君の健気さが愛おしかったです。また、本村さんと家族のお話が途中で出てくるのですが、そこも素敵でした。
次に、無な部分です。このお話、確かに植物の研究室の人物が沢山出てくるので、多少は植物の話が出てくるだろうと思っていましたが、想像以上でした。本村さんの研究内容について詳細に記載してありましたが、研究の話が延々と続くのは少々きつかったです。もちろん、長編小説だからこそ、細かく書くことができるんでしょうけれど。本村さんの研究内容をここまで細かく書くのなら、藤丸君の料理も、もっと読みたかったなぁと傲慢な感想を抱いています。
そして、私が大嫌いだった部分。帯にあるように『結婚にも生殖にも興味がない』本村さんと、本村さんに恋する藤丸君が主要人物なのですが、要所要所で、結婚や生殖に興味があるかは本村さんや藤丸君のように人それぞれだけれど、人は"皆"、何故生きているのか難しいことは分からなくても、生きてくて生きているということを共通認識として語られていることが許せませんでした。生きたくて生きている人を否定はしませんが、生きたくて生きていると一括りに勘違いされているのは大変不快です。そして、言葉を少しずつ変えて何度も何度も書かれているので、本村さんや藤丸君の考えでなく、著者である三浦さんが読者に押し付けてきているように感じられました。途中で読むのをやめたくなりましたが、読むのを楽しみにしていた本だったので、頑張って読み終えました。2024年で読みきれて良かったです。

次は、もっとほのぼのとした、美味しい料理が出てくるような本を読もうと思います。


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