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一箱本屋さん開店

 2月2日から、高円寺のそぞろ書房の棚をお借りして、白旗屋一箱本屋さんが開店です!昨日はどきどきしながら初めての納品を済ませました。

 棚に置いた本は、一冊のテーマ本をもとに、一緒に並べたい本を副島とKarukiでそれぞれ数冊ずつ選書を行いました。
(ちなみに今回のテーマ本はKaruki発案。副島は全力で頷きました。)

 初回のテーマ本は中山可穂『弱法師』。よろぼし、(またはよろぼうし)と読みます。
 能楽をモチーフにした作品をまとめた、中山可穂版現代能楽集。収録作品の「弱法師」「卒塔婆小町」「浮舟」のいずれも能の演目名からタイトルがとられています。

 能楽と聞いて堅苦しいのかな、と恐れることはありません。私(副島)は全く能には詳しくありませんし、関連書籍も読んだことがありませんでしたが、この本に描かれる研ぎ澄まされた恋愛の形にあっという間に魅了されました。
 
 帯文は「恋とは死にいたる病である」。

 中山可穂さんの著作に多くみられる、肉薄した鬼気迫る恋愛の形が、ほとんど性描写もなく切実に語られます。

 私のおすすめは、二作目の「卒塔婆小町」。墓場に住み着くホームレスの老婆が語る懺悔めいた告白。その昔交わされた、小説家と編集者のとある約束と、その結末。
 文字通り身を削るような激情的な恋愛を繊細に描くこの作品は、結末を知っていても何度でものめり込むことができる一作です。

 私の場合も、創作と恋愛はかなり近いところにある方です。心を突き動かすエネルギー源として、恋は大きな意味を持っていると思います。ポジティブな方にも、ネガティブな方にも…。
 せっかくなので、やや趣旨は逸れますが好きなバンドの一節をご紹介して終わろうと思います。

あなたの歌う全ては私のなにかであってほしい

レミ街「The dance we do」

 創作の最中に、誰かを思い描くのであれば、それはもう強い愛情があってのことなんだと思います。

創作と恋の距離について考えます…

 棚に置いた「弱法師」は、河出書房からの復刊版。河出文庫版あとがきも特別収録されています。ぜひお手にとってご覧ください!

(選書した本たちも紹介しようと思ったのですが、なかなか長くなってしまったので、また個別に投稿しようと思います。更新をお楽しみに!)


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