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運動会は揚げしゅうまい
先日、娘の運動会があった。
娘は小1なので小学校に入って、はじめての運動会である。
娘が去年まで通っていた保育園にも運動会はあるにはあったが、小規模の園だったのでこじんまりとした会だった。
それはそれでアットホームな雰囲気で良かったものの、派手さはなかった。
娘の小学校は一つの学年にクラスが三つか四つある、まあまあ大きな規模の学校なので、娘は全体練習などを通して、たくさんの人数でする運動会の独特な雰囲気を感じとっていたようだ。
娘は運動会が近づくにつれて、妙にハイな状態になってきていた。
普段はあまり物事の勝ち負けにこだわらないが、「赤組、絶対に勝ちたい!負けるの嫌だ!白には負けない!」と家に帰ってくると、毎日のように自分の気持ちを鼓舞していた。
また、小1は歌手のAdoの曲に合わせてダンスをするのだが、毎晩、風呂上がりに復習と決めていて、YouTubeのお手本動画を見つつ、練習に余念がなかった。
「私はダンスの時はプールの方を向いて踊るからね」とか「玉入れの時は朝礼台の近くのカゴに入れるよ」などと私たちが見やすい場所まで事前に教えてくれるという、念の入りようでもあった。
娘の興奮する気持ちが伝染して、私も妻もドキドキしつつ、運動会の日を待っていた。
私は運動会が苦手であり、自分の時は全く楽しみではなかったので不思議な気持ちであった。
私の母はなぜか運動会の日は揚げしゅうまいを弁当に入れるというルールをもうけていて、私の運動会の良い思い出といえば大量の揚げしゅうまいを食べたということしかない。
私は運動が苦手であり、運動会では全然活躍できず、選抜リレーの選手に選ばれたクラスメイトの眩しい姿を、指を咥えて見ることくらいしかできなかった。
だから当然、揚げしゅうまい以外に楽しい記憶がないのである。
娘は運動会を楽しみにしているので、この気持ちがずっと続けばいいなと思った。
先日の運動会当日は学年競技のダンスと玉入れ(徒競走はなかった)や学校全体競技である、大玉送り、応援合戦、全校ダンスを精一杯頑張った娘だった。
ただ、娘が最も気にしている、赤組と白組の戦いについてはかなり残念な結果となってしまった。
序盤から得点を重ねる白組に比べて、娘が所属する赤組の点が全く伸びない。
「なんかこう、もっとチーム分けのバランスとかあったんじゃないですかね?」と、運動会の会場にいた全員が思うくらい白組が圧倒的に強い。
時流にのった例えをするならば、ドジャースとエンゼルスくらいの力の差がある。
そして当然、最終結果は白組の勝ちで、615点対330点というほぼダブルスコアに近い点差がついてしまった。
結果を聞かされた娘の様子を見ると、小1の待機席に座り呆然としている。
圧倒的な敗北という現実に打ちのめされているようだ。かわいそうではあるが、運動会の結果のように、人生には自分一人ではどうにもできないこともたくさんあり、こんなところからも理不尽に負けずに強く生きることを学んでいくのだろうなと思った。
娘よ、困難に打ち克っていけ。
ただ、運動会には、娘が小さい頃から卒園するまでとてもお世話になっていた保育園の先生が見に来てくれていた。
運動会後にはその先生を囲んで、娘の通っていた保育園の卒園生が集まり、ちょっとした同窓会のようになった。
娘は懐かしい保育園の先生に会えたことや、保育園の仲間たちだけで集まれたことにテンションが上がり、赤組が負けた気持ちを引きずらずに済んだ。
保育園の先生と友達に感謝である。
そして、みんなと別れた後、家族で近くのショッピングモールに向かった。
運動会を頑張ったし、何か娘の好きなものを買っていいということになったのだが、娘は「自分の持ち物を片付けられる、小さい収納棚が欲しい」とのことだった。
小1にして、お昼の情報番組に出ててくるような、意識の高いプロ主婦みたいなことを言うなと思いつつ、片付けをするということに意識が向いているのはいいことなので買うことにした。
息子(5歳)もそれに便乗して「動物のお人形さん(動物のぬいぐるみ)をお片付けするおうちが欲しい」と要求してきた。息子はぬいぐるみマニアであり、かなりの量を所持している。
娘のついでと言ったら申し訳ないが、息子にもお人形さん(ぬいぐるみ)収納ボックスを買った。
運動会が無事に終わり、子どもたちの持ち物もすっきりと片付き、気持ちのいい週末を過ごすことができてとても満足して、久しぶりに揚げしゅうまいが食べたくなった。
おしまい。