美人で性格のいい友達に、寄り添えなかった。
学生時代、クラスに一人くらいいたのではないだろうか。
美人、かつ性格もいい子が。
中学生の頃、私はテニス部に所属していた。
そのとき部活が一緒だった子と、
大学生になって、アルバイト先で偶然再会したことがある。
私が働き始めるつい数週間前に、彼女も働き始めたばかりだと言っていた。
彼女はとっても美人で、性格もいい。
美人だからお高くとまるという雰囲気はなく、すごく元気で明るい。
みなに平等に優しくて、おちゃらけキャラ。
常にプラスエネルギーをまとっていて、すごく親しみやすかった。
部活でも仲がよかったが、アルバイトが一緒になったことで
私たちはますます仲良くなった。
そんな彼女とは、お互いが社会人になってから、
ほぼ会うことはなくなっていたのだが。
昨年末、久しぶりに飲みに行くことになった。
当時のお互いの恋愛話や、
「あんな風になりたいね」とふたりで憧れていた先輩(女性)の話をした。
そこで当時バイト先にいた、ある女性の話になったのである。
その女性(Aさん)は、性格が悪いと有名で、
"ぽっちゃり"以上の体型だった。
年齢は私たちより2~3個上だった気がする。
バイト先のほぼ全員から嫌われている、そんな人だ。
私の友人はAさんから目をつけられていて、
あからさまに「私はあなたのことがキライでーす」
と態度に出されていた。
絶対聞こえてるのに無視されたり、
Aさんがみんなにお菓子を配っていて、
自分だけもらえなかったりした、と聞いたこともある。
「本当にあの時は辛かった。あれが私の中で転機だったなー。」
「私なりに、どうやったらAさんが自分への態度を改めてくれるか、
いろいろ試してたんだけどねー。
結局どれも効果なかった。
"世の中の全員から好かれるのって無理なんだ"と
Aさんから学んだ気がする。
ほんと人生の転機だった。」
と話していた。
それを聞いていた私は
「え、、そんなに~?!」
深く考えず。思わず口から出てしまった。
彼女はギョっとしていた。
けれどすぐに何も気にしていないふりをして、
今まで通り明るく振舞っていた。
やっちまった…。
私は、不用意に人を傷つける発言はしない。
そう思っていたけど、完全にうぬぼれ。
私としては、みんなから嫌われているAさんから嫌われたところで、
そんなこと全然気にすることないじゃん、て。
正直言うと、そう思った。
(もし自分が彼女の立場だったら、めちゃくちゃ気になるのにね。)
彼女は美人だし、それでいて性格もいいから、もちろんバイト先でも人気者だった。
Aさんが友人を気に食わないと感じていた理由は、完全にそこ。
誰の目から見ても明らかだった。
つまり、友人が悪いことをしたわけでも何でもない。
それをそんな気にする必要ある?と。
本音を言うと、そう思ったわけである。
でも彼女は"人生の転機"と思うくらいに苦しんでいた。
それを当時も今も、
私は心から寄り添ってあげることができなかった、ということだ。
私は「美人」「かわいい」と周りからチヤホヤされたような記憶はないので、
彼女の気持ちに共感しづらかったのかもしれない。
それでも、、
というか、そんなことは関係ない。
共感できようが、できまいが、関係ない。
真剣に悩んでいる人に対して
「…そんなことで?」
と言ってしまう自分。
もう自分で自分がイヤになる。
彼女との久しぶりの再会は、とても楽しい時間だった。
それと同時に、たまにふと、この時の自分のことばを思い出して。げんなりしてしまう。
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