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パーティー系ゲームのコアシステムと得点や勝利について
この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2020の9日目の記事として書かれました。
初めましてシラオサと申します。サムバディズペインというボードゲームサークルをやっています。
はじめに
この記事ではパーティー系ゲームのコアシステムと得点や勝利について考察していきます。
なぜ考察するに至ったかを説明しますと、ことの発端はゲムマ2020秋に自分が出したゲーム「ティシュール」にあります。
このゲーム、得点システムとか勝利とかがゲームシステムに組み込まれていません。シュールと名前にあるようにシュールなプレイ感にしたかったのと、ポケットティッシュの印刷面に得点システムを加えたルールが収まりきらないという点から敢えて得点システムは載せませんでした。
しかし、ゲムマでのお客様の質問やプレイ後の感想ツイート、実際に遊ばれている最中の方から「得点や勝利はないんですか?」という旨のことを頻繁に聞かれました。※勝利や得点システムが無いことを明示していればこういった質問や声は減ったと思います。これはこちらの落ち度。
そこで思うことがありました。
「得点とか勝利ってパーティー系ゲームでそんなに必要なのかな?」
この記事はパーティー系ゲームに得点とか勝利とか要らんやろ派のシラオサが頭の中を整理しつつ考察を述べていく記事です。そもそもの考えが違う方は我慢しながら読んでください。
そもそもパーティー系ゲームとは
パーティーゲームもいろいろあります。検索をしてみるとニムトがパーティーゲームと呼ばれてたりと定義は人によって様々です。盛り上がってしまえば全てパーティーゲームになってしまうのでは?とも思えます。
今回は「場の盛り上がりやコミュニケーションがゲームの面白さに直結するゲーム」をパーティー系ゲームの定義としたいと思います。ニムトは盛り上がるけど盛り上がらずに黙々とやっても面白いのでこの定義だとパーティ系ゲームではなくなりますね。
コアシステムと得点と勝利
得点とか勝利とか要らんやろ派でも得点や勝利システムがとても上手くできてるなと思うパーティー系ゲームは沢山あります。
例えば「3ターンだけ君が好き」のカップル成立や「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。」の指輪はコアシステムとマッチしたとても良いゲームデザインとなっていると思います。あとは「ito」のようにみんなで協力して課題解決するゲームもコミュニケーションや盛り上がりが全員の勝利へと繋がるのがいいと思います。
自分が得点とか勝利いるか?って考えるゲームはコアシステムの盛り上がりに比べて得点の計算で場の空気が盛り下がるゲームです。
そもそも得点や勝利はコアシステムをやらせるための動機付けとして用いられると思います。でもその動機付けのためだけに場が盛り下がるのって損じゃ無いですか?
敢えてここでパーティー系ゲームでかなり知名度があり人気作である「我流功夫極めロード」と「はぁって言うゲーム」を挙げさせていただきます。
この2作品、得点と勝利のために得点チップが同梱されています。得点システムがあるのに得点チップや得点計算ボード、メモがない作品に比べるとユーザビリティは遥かに優れています。
しかし、得点計算や獲得がダウンタイムになってしまっている作品だと感じます。ボドゲカフェで働いているので立場上初心者の方にパーティー系ゲームをお勧めすることがよくあるのですが、得点計算で躓いたり、進行が遅くなるお客様が結構いらっしゃいます。
え、そんなの簡単じゃん?と思われるかもしれませんが本当にいらっしゃいます。ボードゲームに慣れてないと意外と普通のことかもしれないですね。なので店員としてはそこを手助けしたりしています。
「我流功夫極めロード」と「はぁって言うゲーム」はコアシステムがとても魅力的な作品なので動機付けだけの得点や勝利はいらないのではないかと思うわけです。パーティー系ゲームで勝ちたいから遊びたいって人はかなり少数だと思いますし。
建前と本当の目標
技を産み出す巧さや演技をする上手さ、演技を見る上手さを競うのがゲームの目標なのでしょうか?それはゲームとしての建前でゲームを通して仲良くなってもらったり思い出に残る盛り上がりを残すことが目標だと思います。全然違ったら製作者の方、すみません。
それならプレイする人に建前を言わずに「このゲームは盛り上がれば、それでいいです!みんな優勝です!」って目標を書いてもいいような気がします。
2作品はコアシステムでこの目標が達成されているゲームです。であれば得点や勝利を削るか姿を変えて、この目標に沿うようにデザインするべきというのが持論です。得点チップを同梱するなら得点システムをやめて、他のコンポーネントにできるのでは無いでしょうか?
ゲームとしての締まり
得点や勝利についてティシュールは質問をよく受けるといいましたが、実際に求められているのは得点や勝利ではなく「締まり」なのではとも思えます。
確かに得点や勝利があるとゲームに締まりが出ます。かといってラウンドの終了と得点、ゲームの終了と勝利は必ずセットとも決められていません。
締まりがあり、なおかつコアシステムとマッチしたルールデザインが最良な気がします。
我流功夫極めロードの場合
記事に名前を挙げた責任としてコアシステムとマッチしたルールを考えてみました。既にあるゲームの名前を挙げといて、こうしたらどうかって意見出すのめっちゃ嫌われそうですが許してください。
このゲームは自分で技を産み出す面白さと人の技を見る面白さがあります。そこを踏まえて以下を考えました。
「技の発表後、感想戦を行い、技を作り出すのが上手い人がいたら、その人に達人の称号を与え次のラウンドの開始時手札を多くする。しかし技の発表で多くカードを使わないといけない」
勝ち負けではなく上手い人の技をみたいって気持ちや多くの枚数を使わないといけないというプレッシャーをシステムにしました。
ただこのデザインだと達人の称号持ってる人が勝利って感じにはなりそうですね。
はぁって言うゲームの場合
これは正直、考えるのが難しかったです。演技を当てたら点がもらえるというシステムが一番シンプルな気もしてきました。
協力ゲームにして全員の演技を当てる人が出てきたらクリアみたいなデザインはいけるかもしれないですね。
いや〜難しいです。
終わりに
以上、持論を述べてきました。
では結論です。
パーティー系ゲームはゲームが終了したら「なんだって授賞式」をやればいいのでは無いでしょうか?
https://clagla.jp/lineup/nandatte/
なんだって授賞式を行わずとも感想戦を行い何か称号や名誉をあげるというゲームデザインはもっと採用されてもいいなと思います。
主観に満ちた記事になりましたが、皆さんはパーティー系ゲームの得点システムや勝利についていかがお考えでしょうか?
コメントなどしてくださると参考になります!
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