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【木曜日のしかけ#47】「何もしない」を決める

木曜日は経営言動、すなわち社長の言動に関する「7秒しかけ」を紹介していきます。社長の言動は幹部や社員のモチベーション、社長への信頼度に大きな影響を与えます。

社長の重要な仕事のひとつは決断です。

毎週/毎月の経営会議で重要な経営課題の解決策の意思決定をし、幹部からの頻繁な相談にも社長は即答で決断します。

ただ、「何もしない(対策を実行しない)」という決断もときには必要ではないでしょうか?


今回の7秒しかけ「「何もしない」を決める」を読んでもらい社長の意思決定を振り返ってもらえたら嬉しいです!


0 7秒しかけとは(1度読んだ方は読み飛ばしてください)

7秒しかけ」とはしかけ研究家白潟敏朗と白潟総研のコンサルティング経験・ノウハウをベースに、次に示す習慣化の4つの技術を活用し開発したしかけです。

① 小さな行動から始める
~ 小さすぎてばかばかしいと思う行動が習慣になる(小さな習慣) ~

小さい行動はすぐに生活に取り入れることができ、やがて自然と大きく成長していきます。小さいことから始めれば、時間的な負担を気にせず大きな変化への第1歩を踏み出すことができます。

『習慣超大全/BJ・フォッグ (ダイヤモンド社)』

② If thenプランニング(もしXだったらYをする)
~ 「◯◯した時に□□する」で実行率アップ ~ 

簡単にいうと「もし○○だったら△△する」と決めておくだけです。
人間の脳は『XならY』という文章を記憶しやすく、無意識にそれに従って行動できるようになるようです。発動タイミングを決めてしまう、これが習慣化のポイントです。

『やり抜く人の9つの習慣/H・ハルバーソン著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』

【If-Thenプランニングの例】
・ 帰りに電車にのったら、明日見る動画の1行ゴールを書く
・ 行きの電車にのったら、ロジカルシンキング動画を1本見る
・ お風呂に入る前に、腕立て5回する
・ 先輩・上司に声をかけられたら、メモ帳を出す
できたら、自分を褒めましょう「よくできた!」

③ 20秒ルール
~ 始めるまでにかかる時間を20秒短くする ~
何かを始めるまでの手間を20秒短縮すると、20秒分の手間のかからなさが、頭によぎる「面倒くさい」を遠ざけ、「気がついたらやっていた」という達成感につながります。

20秒以内にすぐにやれるように準備することが大事!

④ マジックナンバー4
~ 週4回以上の実践で習慣化しやすい ~
習慣化の4つの技術に加え、最近流行りの行動経済学も活用しています。

特にナッジ理論「行動科学に基づいた小さなきっかけで人々の意思決定に影響を与え、行動変容を促す手法・戦略」を活かすことで、より簡単に実行できる工夫をしたしかけです。

具体的には1秒から7秒で実行でき小さな成功により少しだけ自信がつき、気がつけば習慣になっている、そのような効果のあるしかけです。7秒以内で実行できるので「7秒しかけ」と呼んでいます。

1 「何もしない」を決めるとは

社長、「何もしない(対策を実行しない)」という意思決定をしたことありますか?

『白潟さん、私はあるよ』
そうですか、やはりたまにありますよね。

経験のある社長はイメージわくと思うんですが、

・現時点で、リスクが少なく効果のでる有効な対策があるのか?
・うまく言えないが、しばらく何もしない方がいい気がする?

社長のあたまに、このような問いが浮かび


今回は対策を打つのをやめよう!


と決断することはあるのではないでしょうか。


突然ですが、経営会議のシーンを読んでください。

社長:『それでは、経営会議を始めます。今日のメインの議題は離職率低下の対策です。みんなの意見をきかせてください』


管理部長:『事前に資料で共有しましたが、上期の離職率が18%、この2~3年は13%だったので直近半年は離職率が高まってます。昨今ベースアップを実施する企業が増えているので、うちでもベースアップが必要なのではと考えます』

営業部長:『ベースアップも大事だが、補充採用の方が急ぎだよ!管理部長手を打ってくれてますか?』

管理部長:『はい、手は打ってますがまだ効果はでていないです』

技術部長:『社員に働きがいを持ってもらうための施策が不足していると思います。社内公募制度の導入により、社員にやりたい仕事をやってもらう環境が離職率低下に有効だと思います』

業務部長:『働きやすさの拡充・採用力UPというねらいでおもいきってオフィス移転をしてはどうでしょうか?』

社長:『色々な施策の提案ありがとう。辞めたから人をいれるという考え方はどうなんだろう?DXや業務改革を根本的に推進するいい機会だと捉えてほしい』

管理部長:『社長、たしかにそれはありですね。今までその発想になっていませんでした。例えば、5人でやっていた仕事を4人でやるチャンスかもしれません』

営業部長:『それはそうだが、営業は売上があるのでかなり大変だ』

業務部長:『技術部長、うちの社員はやりたい仕事がやれてないんでしょうか?私はそうは思わないんですが』

技術部長:『やれてる社員は少ないと思うが…』

管理部長:『過去の意識調査ではそこまで少なくなかったです』

営業部長:『社内公募制度で離職率が低下するかは疑問です』

技術部長:『なるほど、全社でみたら今やるべき対策ではない気もしますね』


社長:『ここまでの意見を踏まえると、補充採用はやめよう。いい人がいたら積極的に採用する従来の方法でいきたい。現時点でベアとオフィス移転は現実的ではない、社内公募も有効ではなさそうだね』

管理部長:『社長、そうすると何も対策を打たないというこですか?


(社長、しばし沈黙)


社長:
『うん、下期、特に12月の離職状況もみて決めたい。なので、3ヵ月は何もせずこのままでいこう。もちろん、日々の上司のマネジメントUPは経営方針の体現を継続してください』

全員:『はい、かしこまりました』

いかがでしたでしょうか?

離職率が高まっているという大きな経営課題に対する社長の意思決定のシーンでした。

幹部から対策の提案は色々とでましたが、社長は「何もしない」と決断しました。

社長には

・何らかの対策を打たねばならない
・早急に厳しい現状を打破しないといけない
・何も手を打てない優柔不断な社長だと思われたくない

等のプレッシャーがかります。

そのプレッシャーをばねに有効な対策が打て現状打破できることもありますが、「何もしない」と決断することも状況によっては必要ではないでしょうか?

・現時点で効果のでそうな対策が全くない
・効果よりも対策を実行する方がリスクが極めて高い
・短期的な成果ではなく、長期的な視点で判断するタイミングである

経営はタイミングが命です。
このような状況では「何もしない」決断が有効です。

ドラッカーも著書「マネジメント」「経営者の条件」で、何もしないことを決定するのも、1つの決定である述べています。

最後に意思決定は本当に必要かを自問する必要がある何も決定しないという代替案が常に存在する

意思決定は外科手術である。システムに関する干渉でありショックのリスクを伴う。良い外科医が不要な手術を行わないように、不要な意思決定を行ってはならない

経営者の条件/P.F.ドラッカー(ダイヤモンド社)

ドラッカーは状況に応じて「何もしない」という選択肢を戦略的に活用することの重要性を強調しています。

ここまでいかがでしたでしょうか?

7秒しかけ「「何もしない」を決める」が、社長のこれからの意思決定に少しでも役に立てば嬉しいです。

2  アンカー(「「何もしない」を決める」を思い出させるきっかけ)

「何もしない」を決める」今すぐ準備をすれば実践できるでしょう。

3 今すぐ準備しましょう

準備しなくても実践できる社長は、今すぐ実践しましょう。

そうでない社長は「「何もしない」を決める」を実践するには
次の準備が必要です。今すぐ準備しましょう!

① 「何もしない」という意思決定もあるという認識をする

② 4回以上の実践状況のチェックシート作成
前述したマジックナンバー4(週4回以上の実践で習慣化しやすい)を実践する準備です。週4回は実践しないと思いますが、準備の例を次に示します。

・ 「「何もしない」を決める」と4枚のふせんに書く
(実践したらふせんをすてる!)

・ 1枚のふせんに「「何もしない」を決める」と4回のチェック欄を書く
(実践したらレチェックをいれる、4回チェックしたらすてる!)

③ ②のチェックシートを手帳に貼る、またはパソコンに貼る

4 いつから実践しますか?

「何もしない」を決める
この意思決定をする必要があった時に実践しましょう!

「何もしない」を決める」の紹介は以上でおひらきです。

社長の意思決定で会社が更に良くなることを心から願っております。

実践したらX(Twitter)への投稿、またはNoteへコメントしてもらえたら嬉しいです!

今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。

「何もしない」を決めるの7秒しかけを気に入ってもらえたら、
日刊7秒しかけマガジン」のフォロー頂けると嬉しいです!
それでは、また明日!



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