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【木曜日のしかけ#9】発言しない幹部は参加させない
木曜日は経営言動、すなわち社長の言動に関する「7秒しかけ」を紹介していきます。社長の言動は幹部や社員のモチベーション、社長への信頼度に大きな影響を与えます。
今回は、経営会議で発言しない幹部についての「7秒しかけ」を紹介していきます。
社長、釈迦に説法ですみません。
今回は「発言しない幹部は参加させない」です。
このしかけ、リクルートの社員の口癖にもなってるようです。
『無言の奴に会議出る意味ない』
0 7秒しかけとは(1度読んだ方は読み飛ばしてください)
「7秒しかけ」とはしかけ研究家白潟敏朗と白潟総研のコンサルティング経験・ノウハウをベースに、次に示す習慣化の4つの技術を活用し開発したしかけです。
① 小さな行動から始める
~ 小さすぎてばかばかしいと思う行動が習慣になる(小さな習慣) ~
小さい行動はすぐに生活に取り入れることができ、やがて自然と大きく成長していきます。小さいことから始めれば、時間的な負担を気にせず大きな変化への第1歩を踏み出すことができます。
② If thenプランニング(もしXだったらYをする)
~ 「◯◯した時に□□する」で実行率アップ ~
簡単にいうと「もし○○だったら△△する」と決めておくだけです。
人間の脳は『XならY』という文章を記憶しやすく、無意識にそれに従って行動できるようになるようです。発動タイミングを決めてしまう、これが習慣化のポイントです。
【If-Thenプランニングの例】
・ 帰りに電車にのったら、明日見る動画の1行ゴールを書く
・ 行きの電車にのったら、ロジカルシンキング動画を1本見る
・ お風呂に入る前に、腕立て5回する
・ 先輩・上司に声をかけられたら、メモ帳を出す
できたら、自分を褒めましょう「よくできた!」
③ 20秒ルール
~ 始めるまでにかかる時間を20秒短くする ~
何かを始めるまでの手間を20秒短縮すると、20秒分の手間のかからなさが、頭によぎる「面倒くさい」を遠ざけ、「気がついたらやっていた」という達成感につながります。
20秒以内にすぐにやれるように準備することが大事!
④ マジックナンバー4
~ 週4回以上の実践で習慣化しやすい ~
習慣化の4つの技術に加え、最近流行りの行動経済学も活用しています。
特にナッジ理論「行動科学に基づいた小さなきっかけで人々の意思決定に影響を与え、行動変容を促す手法・戦略」を活かすことで、より簡単に実行できる工夫をしたしかけです。
具体的には1秒から7秒で実行でき小さな成功により少しだけ自信がつき、気がつけば習慣になっている、そのような効果のあるしかけです。7秒以内で実行できるので「7秒しかけ」と呼んでいます。
1 「発言しない幹部は参加させない」とは
そもそも、どうして経営会議に参加する幹部は
発言しなくてはいけないのか?
私は2つの理由があると考えます。
① 参加者全員で議論すべきだから
経営重点課題について議論し意思決定するのが経営会議です。
参加する幹部全員が発言するのは当たり前のことです。
発言しない幹部は猛省し、次から発言してもらいたいです。
『白潟さん、そんなこと言ったって、うちの社長は発言すると話を遮ったり、奪ったりするので意見を言う気がしないんです!』
なるほど、そういうことですか。そういう社長もいるかもしれませんね。
心当たりのある社長は、誠に恐れ入りますが猛省し最後まで幹部の意見をきいてください。
② たくさんの意見がでた方が、より良い意思決定ができるから
経営会議では全社的・総合的な観点で議論し意思決定した方がいいです。
そのためには部門の責任者である幹部全員が、自部門の状況や課題を踏まえた意見を述べる必要があります。
もちろん、自部門のことだけでなく全社最適な意見も述べるべきですが…
意思決定理論では、適切な情報が意思決定の質を高めることを説いています。
なにかを意思決定するとき、情報の存在は非常に重要です。
例えば、コロナウイルスの再拡大リスクを評価したい場合に、
① 特に新たな変異株の報告は出てきていないとき
② 新たな変異株が南アフリカで発生したという事実がわかったとき
③ オミクロン株の感染力・毒性が定量的に判明したとき
という3つの状況を考えれば、① →② →③の順に情報量が増え、より精度の高い予測、意思決定ができるようになります。
経営会議に参加する幹部がどうして発言すべきなのか、その理由を理解してもらえたでしょうか。
さて社長、経営会議で発言しない幹部にはどのような対応をしてますか?
『白潟さん、うちにはそんな幹部いないよ』
失礼いたしました。
社長、ここまで読んでもらいありがとうございます。
『残念ながらうちには何名かいるけど、そのままにしてるかな・・・』
『うちにもいるけど、次から発言してと指導はしています』
なるほど、そうなんですね。
社長、それではまず次に示すような「会議のオキテ」をつくってはどうでしょうか。
ネーミングは「会議のルール」、「会議の決まりごと」等、自社の文化に合った名前に変えてください。
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作成後、全幹部に「会議のオキテ」を説明し『次回からこのオキテを運用します、発言しない幹部は経営会議に参加できません』と伝えます。
こんな感じで進めてはどうでしょうか?
気に入ってもらえたら、ぜひ実践してみてください。
『白潟さん、ごめん、なんか違和感あるんだよね』
違和感ですか?
『うちの幹部には今までそんなこと言ってなかったので、オキテをつくり
いきなり発言しない幹部は次から参加しないで!とは言いにくいです』
言いにくいですか、キャッチしました。
社長、それでは質問を多用してはどうでしょうか?
『質問ですか?』
はい、社長が幹部に質問し答えさせることで、
幹部に自身の考えをまとめ発言する練習をさせます。
例えば、
『XXについて、○○さんはどう思うの?』
『XXについて、○○さんの意見をきかせて』
『たしかに、私からの質問からで考えさせ発言させるのはありかもね』
社長、ありがとうございます。
まずは、質問から始め発言に慣れてきたら
「発言しない幹部は参加させない」を導入していきましょう。
2 アンカー(「発言しない幹部は参加させない」を思い出させるきっかけ)
「発言しない幹部は参加させない」は今すぐ準備をし実践しましょう。
3 今すぐ準備しましょう
「発言しない幹部は参加させない」の実践には次の準備が必要です。
① 「会議のオキテ」の作成(口頭で運用する場合は不要です)
「1回以上は発言する」を含め3つから5つの「会議のオキテ」を作成します。よくあるオキテを次に示します。
・ 3分~5分前集合
・ 最初に会議のゴールを明確にする
・ 最初に書記係を決める
・ 朝礼・会議に極限まで集中する
(準備・内職・SNSチェック・食事などはしない)
・ 結論から先に言う
・ 人の意見は最後まで聴く/人の意見をさえぎらない
・ 会議の最後5分間は必ずクロージング
(決定事項の共有、担当者と納期決定、議事録保存確認)
・ 会議後の片づけを徹底する
(WB・電気を消す、テーブル・ゴミ箱を綺麗にする)
② ①を会議室に掲示する(口頭で運用する場合は不要です)
③ ①を経営会議の最初に説明する
「会議のオキテ」を説明し、次回の経営会議から発言しない幹部は経営会議に参加できなくなりますと伝えます。
4 いつから実践しますか?
「発言しない幹部は参加させない」いつから実践しますか?
実践したいと思った方は今ここで実践時期を決めましょう!
・ 次回の経営会議から
・ 次々回の経営会議から
・ 来期の経営会議から
決めた実践時期を手帳やカレンダーに書き込みましょう。
「発言しない幹部は参加させない」実践と記入した付箋を手帳やパソコンに
貼ってもいいです。
「発言しない幹部は参加させない」の紹介は以上でおひらきです。
社長の会社の幹部の経営力アップを心から願っております。
実践したらX(Twitter)への投稿、またはNoteへコメントしてもらえたら嬉しいです!
今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。
それでは、また明日!明日はフツーの会社のすごいしかけです。