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とある販売員の話

「いらっしゃいませ〜」
笑顔で声かけする私は
周りの商品を引き立てられているだろうか。

「ありがとうございます」
嬉しそうに笑みを浮かべるお客様がいらっしゃるから、この仕事を続けられる。

(今季のトレンド、アイテム、売り上げ目標)
自分が真に好きではない商品を売る
ビジネスというのは効率に執着し、残酷である




気乗りした休みだけの朝散歩
普段使わぬ駅、見慣れぬ風景、店、建物
上り坂、下り坂、静かな空気
ワクワクというより夢の中を探検するかのような感覚。
時刻は【10:30】なんだまだ午前中か。
おしゃれをしている人々。素敵だ。




日常、5日勤務・シフト制
電車に揺られる朝と夜
顔を合わせる知っているとも言えぬ人は
いつもむずしそうな顔をして眠っている 
車窓に反射する自分の顔も浮腫んでいる
ツイッターを開き知らぬ人の面白い呟きを見ては
ニヤニヤと笑み、
意見の呟きには正に代弁者!と同意する。
細い女の着ている露出度高めの服が広告で流れる。
心が動かない。




真に自分の好きなことは他人から支持されるものではないと察し、
素直に生きている人が羨ましくなるからそう言ったもの全てに蓋をしてきた。

部屋の隅に置いた重い機械を移動する。
「まだ動くかな..?」
埃のかぶったカバーを外す。
動きや音も軽快で糸調子も問題ない。

仕事は私の一部でしかない。
自分の好きなものを制さず吸収したい。
今さらという気持ちを押し退けてペダルを踏む

また、針が進む。

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