【SDTraining】は、私がTwitterの物書き仲間と一緒にやっている描写修行作品です。2週に一度、提示されたお題画像をもとに情景描写文を作成し、締め切りに準じて提出、公開…
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2019年5月の記事一覧
1905C志乃【水空】
桜はすっかり緑、菜の花やタンポポが隆盛を誇る畔を歩く。開けた田に吹く風の中で、鋤き込まれるたい肥のにおいが花の香りと競っていた。深呼吸してたい肥に軍配が上がったのに苦笑いする。
田は今まさに稲を迎え入れる準備をしているところだ。冬の間にぎしぎしと乾いて固くなった土を起こし、栄養を与え、ふかふかと柔らかに整える。黒々と豊かに生まれなおした土に水を流して、この田はこれから代かきなのだろう。
まだ
1905B志乃【風車の足元】
寒の戻りもなくなった、春真っ盛り。春の初めに咲く淡い色の花々に代わって、次々と鮮やかに視界を彩る花が増えていく。
赤、白、黄色にとどまらず、燃え立つようなオレンジや黒を帯びた深い紅色、見るだけで甘く感じるような桃色と、競うように咲き揃ったチューリップが花畑一面に揺れていた。すらりと清楚で潔いシンプルな花弁もあれば、八重に咲いてひらひらとパニエをひっくり返したような変種もある。一種に揃えずばらば
2019Sp志乃【桜浴雀】
花粉症の同僚が、この世の終わりとばかりに天気を恨む日だ。涼やかな青に薄白く霞がかったような晴天と、駐車場を吹き抜ける風。ちらちらと飛んできた桜の花びらが光る。
盛大なくしゃみを聞き流して、さんさんと降り注ぐ透き通った日差しに目を細めた。素晴らしい陽気である。ありやなしやの淡い雲を視線で追って、それから仕事を思い出す。
駐車場警備員としては、あまりよそ見をするのもよくないのだが、いかんせん二時