着眼点に変化のあった久方ぶりの記事。“ありふれた毎日の味わい方”
“上昇志向が強すぎるのが、玉にキズ”
と自己分析をしてきたが、一向に改善されず、生き急ぐような生活をしてきた、この何年か。
とにかく学びたいことだらけで本を読み動画を観、血肉となるような知識(や蘊蓄)を貪るように吸収してきた。
時間を、決して一分たりとも無駄に、疎かにしたくはなかったのだ。
そんな日々もあってか、今は“夢を叶える”まではいってはいないが、7割くらい叶ったような職に就き、気持ちと時間にゆとりのある日々を送っている。
とにかく実際に食欲旺盛なだけでなく、振り返ればガツガツしてきたなぁと思う反面、取りこぼしてきたことがたくさんあることに気がついた。
そう、“ありふれた毎日の味わい方”だ。
一昨日の明日に昨日があり、昨日の明日に今日があり、今日の明日に、明日があり、明日の明日には明後日がやってくる。
ドラマやアニメのように劇的に変化することが滅多にない、恒常性に抗わない日々。
そう、私は今、まるで記憶の中では初めてのように、安定を感じて生きている。
誰それのネイルを心の底から褒め、インターフォンの動画に映った、宅配業者ではない知らない人の影の話に恐れ慄き、発売前のクラフトビールの試飲会に狂喜乱舞する一方で、
締切を過ぎても提出されない書類にプチうんざり&諦めながら、植え込みのある庭スペースで蝶々に囲まれながら日向ぼっこをしつつ明日のランチにはどこに行こうか悩むという、今までの私にしてみれば、非常に贅沢な時間を過ごしているのだ。
「これで、ええのん?」
「このままで、ほんとにええのん?」
としばらくは自問自答を繰り返していたが、先日、とある知人の一言で吹っ切れた。
「◯◯さん(とある奏者)は、生き方がジャズなんだよ!!」
それやん!!
実のところお世辞にもお手本にはならなさそうな生き方なのだが、非常に自由でリスクさえ呑み込む、潔い生き方をしている方がいらっしゃる。
先のことを考え過ぎてあれこれと思い悩み、その不安を打ち消すように日々を我武者羅に突き進む、そんな(今までの自分みたいな)過ごし方を決して否定はしないけれども、
地に足をつけて等身大の高さから周りを見渡し、3歩先くらいまでしか考えず、今を思いっきり心地良く楽しむ、
そんな開き直りを、そろそろしてもいいんじゃないか??と、ようやく自分に許可を出せたような気がしている。
効率や合理性を重視する生活は、確かに緊張感も成長もあり、身になる物事もたくさんあった。
うん。それはそれで、疑う余地なく充実していた日々だった。
今は…
今は少し気を抜いて、周りに居る人たちと笑い合い、感謝をしながら生きていきたい。
ちょっとの情けなさも包み込み、助け合い、信頼関係につなげていく、そんな循環を今なら自分から生み出せそう。
あぁ、私はやりきったんだなぁ。やり尽くしたんだなぁ。
と、一連の気が済み、腰を落ち着けて俯瞰できている最近。
またごりごりに成長したくなる日が来るその日まで、自分をぬるま湯につけて甘やかします。