徒然庭日誌|vol.2 ミニミニ樹木シリーズ(前編)
前回は育苗コーナーをご紹介しました。今回は、その隣で一緒に育てている、ミニミニ樹木シリーズを取り上げたいと思います。
はじまりは、一つの盆栽から
去年の夏前、今は亡き祖父が入院していた病院にお見舞いに行ったある日のことでした。その頃の私は、日に日に調子が悪くなっていく祖父の様子をただ見守ることしかできず、老衰とはいえお別れが近いことを肌身で実感して気持ちが沈んでいました。
病院へは徒歩で通っていたのですが、その道中にある文化センターで、さつき盆栽展が開催されていたんですね。なんとなーく盆栽に興味があって、でもよくわからないし私にはまだ早いかな〜と思っていたタイミングでした。きれいなお花で心を癒されたい気持ちもあって、のぞかせてもらうと、満開のさつき盆栽が一面に展示されていて、それは圧巻で。食い入るように一鉢一鉢見て回っていたら、当番で来られていたお爺さんが声をかけてくださいました。
私の年代の観客が珍しかったのもあったのか、それはもう丁寧に質問に応えてくださいまして。きっと“背中を押してオーラ”がだだ漏れていたのでしょう。「若いんだから、興味があるならやってみなさい」「盆栽は育つのにとても長ーく時間がかかるものだから、1年でも早く始めたほうがたくさん楽しめるよ!」とおっしゃって、若いさつきを一鉢譲ってくださいました。
ちょうど30歳という節目の年に、心温まるご縁で私の手元にやってきた、人生初めての盆栽です。「水を切らさないようにお世話をして。来年も同じ時期に展覧会をやるから、よかったら持ってきなさい。爺さんがまだ生きてたらお手入れの仕方を教えてあげるよ。わっはっは。」とおっしゃってくださった、その言葉を胸にお世話をすること約1年。冬には葉が落ちてしまって、心配していましたが、無事にこの春新芽をつけてくれました。
今年は、この状況ですから残念ながら開催されないと思いますけれど、あのお爺さんにいつかまたお会いできるその日まで、しっかりとお世話をしていかねばなりません。新芽が出たら、剪定したりとか、植え替えたりとか、なんだかいろいろ盆栽ならではのお世話が必要なようで、ピンチ到来です。
まさかこんなことになるとは。すっかりお爺さん頼みでいたので、私の繰り出せる盆栽スキルは、”水やり“オンリーであります...!
さぁ、いったいどうなる??「初めての盆栽、2年目の夏を越せるのか...!?」乞うご期待です。
・・・で、ミニミニ樹木シリーズ、って一本しかないやん。と思いましたか。それともそんなことなどすっかり忘れていましたか。いえいえ、続きがちゃんとあるんです。ご安心を!ということで、次回は正真正銘ミニミニ樹木をご紹介します!とりあえず、頑張って写真撮ってきます!えへ!