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ハロー!本をすすめまくるひと、志織です。


ハロー!

田辺聖子先生のエッセイの表紙に目を止めてくださったそこのあなた、

「本」というキーワード検索で、この記事を見つけてくださったそこのあなた、

たまたまnoteをウロウロしていたら、この記事に辿り着いてくださったそこのあなた、

キッカケはなんでも結構です。応答してくださってありがとうございます。
本をすすめまくるひと、志織です。

この記事では、私の簡単な自己紹介と、記念すべき1冊目のおすすめ本紹介をしたいと思います。

私のnoteはどなたに読んでいただいてもとても嬉しいですが、特に以下のような方に向けて発信をしています。


・戸惑い悩みながら毎日をサバイブしている20ー30代の女性

・本は読みたいけど何を読んだらいいのか分からないという女性

・本は好きだけど誰かのおすすめを読むのもけっこう好きなんだよねという女性

・差別などにはもちろん反対だけど、私はTVに出ているようなストロングなフェミニストにはなれないや…と自信をなくしている女性

・なんとなくモヤモヤするけど、それをうまく言葉に出来ないなぁと感じている女性

・バリキャリではないし、なれるような気もしないけど、幸せになりたいし、仕事も楽しく出来たらいいなぁと感じている女性



新刊既刊問わずピックアップしていきますが、私のおすすめの本を読んで、心が少しでも軽くなったり強くなったり、クスッと笑えたり、ちょっとだけ前向きになってくれたりしたら、これほど嬉しいことはありません。

一緒にイケてる本をdigって(突然のHIPHOP)、読書の旅に出かけましょう。



自己紹介


志織といいます。

今は、都内の金融機関で中間管理職として働いています。

もともと本は大好きで、暇があってもなくても、5分でもスキマ時間があれば本屋さんに行くほどに、本へのビッグラブをもって生きてきました。
しかしながら、三宅香帆さんの「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」のタイトルにある通り、本を買うまではいいものの、いつの間にか、本がめっきり読めなくなり、積読になっていくばかりの毎日…。

ただ、あるキッカケでまた本が読めるようになり、
「やっぱり本でしか満たせないもの、本でしか解決できないものがある!」
そう確信した私は、営業や販売の仕事で自分の信じる商品やサービスを鬼のようにすすめまくってきたのに、大好きで素晴らしい本をすすめないまま人生を終えてらんねぇよな!と思い立ち、この活動を始めることにしました。

好きな本のジャンルはさまざまですが、主に、小説、エッセイ、自己啓発、フェミニズム、スピリチュアル、占い、ビジネス関連を読みます。

音楽とスポーツは国境を越えると言うけど、私は本も国境を越えると信じています。



自己紹介代わりの1冊
「歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん」 田辺聖子


自分のことを語るより、1冊の本を差し出した方が、その人のことが分かることがあると思います。
そこで今日は、自己紹介代わりの1冊として、私の大好きなこのエッセイを紹介します。

発行日が2013年だった!もう10年以上も大切にしてきたんだと思うと、涙。


田辺聖子先生の「歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん」です。

以下、田辺聖子先生についての紹介文です。

田辺聖子(たなべ せいこ)
1928年大阪府生まれ。
1964年『感傷旅行(センチメンタルジャーニー)』で芥川賞受賞。
古典作品やエッセイ、直木賞選考委員(‘87〜2005年)など幅広い活躍を見せる。
近年、『言い寄る』をはじめとする乃里子三部作を皮切りに、恋愛小説の復刊が相次ぐ。
1995年紫綬褒章、2000年文化功労者、2008年文化勲章を受章。
2019年総胆管結石による胆管炎のため死去。

「歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん」 田辺聖子より引用


上記にある通り、「感傷旅行」「言い寄る」などの代表作が有名ですが、ほかにも若い方なら「ジョゼと虎と魚たち」はご存じの方が多いかもしれませんね。

「言い寄る」「私的生活」「苺をつぶしながら」の乃里子三部作はシリーズ累計150万部(!)の大ベストセラーとなり、今でも根強い人気を誇ります。


他にも、「孤独な夜のココア」「愛してよろしいですか?」「甘い関係」「朝ごはんぬき?」「愛の幻滅」「残花亭日暦」「おちくぼ姫」「新・源氏物語」などなど…
数々の名作を残し、今もなお、私たち女性をエンパワメントしてくれる女流作家です。


私が聖子センセイを知ったのは、たまたま本屋さんで「孤独な夜のココア」をジャケ買いで手に取り、読み始めたのがキッカケでした。
そこから彼女の紡ぐ物語の面白さとユーモア、深い知性と人間への鋭い観察眼、繊細な心情表現という圧倒的な筆の力に骨抜きにされた私は、本屋さんで「田辺聖子」の名前を見つけたら、すべてカゴに入れて買って帰るほどに虜になっていました。

小説は特に、乃里子三部作は格別です。
今読んでも新しくて、女の悩みは今も昔も大きく変わらないことに安堵と共感を覚えるし、主人公の乃里子が、すみれの薫りの石けんで体を洗って毛づくろいをする描写のハイ・センスぶりには、ただただ脱帽します。
とても40年以上前の小説とは思えないような瑞々しさを放っている作品です。

恋愛小説の名手と評される田辺聖子ですが、どちらかというと、小説では、スパイスの配分が多めです。
乃里子三部作の「言い寄る」では、本気の相手にだけは言い寄れない、乃里子の苦悩がこれでもかというほどに伝わってきます。
読んでいて、ヒリヒリするほどに。
言い寄りたくても言い寄れなかった憧れのあの人が未だ記憶に住まう方は、読むときには、ご注意。

田辺聖子の小説は一級品です。
ただ、小説を読むのって体力がいるし、そのときのチョイスによっては、自らこころの傷口に塩を塗ってしまうこともあります。
なので今回は、毎日にぐったりと疲れているときでも、あたたかい紅茶を片手に読めるこの本をおすすめします。


「歳月がくれるもの」は、世界文化社の月刊誌『MISS』で2011年1号から16回連載したものに加筆修正を加えて全25章にまとめた聞き書きのエッセイです。

当時、聖子センセイは既に85歳だったのもあり、聞き書きエッセイという形を取っていますが、聖子節は衰えず。
やさしい語り口が中心ですが、時には背中がしゃんとするようなエールもあり、人生に疲れたとき、周りだけが輝いてうまくいっているように見えるとき、恋に悩んだとき、夢が果てしなく遠くにあるように見えるとき、私たちの背中をトンと押してくれるような内容で溢れています。

小説はピリッとスパイスの効いた辛いものが多いけれど、この本に収録されているエッセイはどれも金平糖みたいに甘くてやさしくて、ガリッと噛むとほんの少しざらついて、だけど飲み込むとほっと胸が撫で下ろされる気分になる。

私の好きなエッセイを一部紹介するので、気になった方はぜひ、田辺聖子ワールドでまた会いましょう。


女の可愛げ


ー「可愛げって、どうやって学んだらいいですか?」、真顔でそう聞いた人がいたけれど、可愛げっていうのは勉強して身につけるものと違います。自然とにじみ出るものです。
相手を傷つけないように言い方を一生懸命工夫するから、優しみが出てくる。
こういう自ずとにじみ出る感情が、大人にはなければいけません。相手の気持ちに敏感になる。
これも人間の成長やからね。これがないと仕事もできませんよ。

ー私も昔は「言わずのおせい」って言われていたんですよ。うまい言葉なんて、ちっとも浮かばなかった。
ドラマみたいなセリフがすらすら出てくるのも逆にいやらしいけれど、「ごめんなさい」のひと言しか言えなくたって、あなたがきれいな心でいれば、気持ちはちゃんと伝わるものですよ。
そうして、だんだん人の気持ちをおもんばかることが出来るようになると、今度は可愛げの代わりに「かしこげ」が出てくるんです。
相手が本当に言って欲しいことが分かるようになる。ああいう言い方もある、こういう言い方もある、いろんな言葉をふくよかに蓄えている人がほんまの大人。
可愛げもいいけど、かしこげもいいなあ。
素敵な女性は、言葉づかいにコレが出ます。

<女の可愛げ> 「歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん」 田辺聖子 より引用


ちなみに、この本のエッセイのなかで、「恋に二度咲きはない」と謳っているものがあるので、気になる方は実際に本を手に取られてみて、探してみてくださいね。

それにしても、聖子センセイの、「恋に二度咲きはない」。
漫画のNANAで、ヤスがパパラッチに向かって放った、「人の庭を荒らす暇があったら、てめぇの花を咲かせろや」並みにカッコよくないですか?

一度枯れた恋の花は、ドライフラワーにして、リボンをかけて飾っておくのみ。

私はこのワードがお気に入り過ぎて、「元カレと復縁とかしないの?」や「別れた彼が忘れられなくて…」などと生ぬるいことを抜かしてくるブルー・ヒップ・ガールズたちには、キメ顔で「恋に二度咲きはない」と言っています。

だって、聖子センセイは、こう言っています。

続く恋、終わる恋

ー 女がね、「私が選んだことは最高や!」と思わなくてどうしますか。
心を決めたら、自分の決断に後ろから紙を貼ってあげるといい。「大丈夫!」って紙を。
なるようになる。
人生はそういうふうに出来てる。だいたいはね。ほんとよ。

<続く恋、終わる恋>
「歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん」 田辺聖子
より引用



痺れますね…。こうでなくっちゃ。
このエッセイを読むだけでも充分、痺れますが、ほかの田辺聖子作品を読んだり略歴を読んだりすることで、さらにビリビリくると思います。
この人は、戦争を乗り越え、glass ceiling(ガラスの天井)を乗り越え、愛も夢も掴み取った、先進的な女性のうちのひとりだから。
きっと、私だけじゃなく、あなたも勇気を分けてもらえると思います。


それでは、本日は、このあたりで。
また本を片手にお会いしましょう。
アデュー!

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