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錬金術師は Golden wordをも錬成しているのか



ハロー!志織です。





仕事、辞めたい!!!!!



本当に辛いし、毎日毎日苦痛しかない!!!!!



……なのに、どうしてキッパリ辞める勇気が出ないんだろう。

辞められない理由を並び立てれば、キリがないけれど。

私はやっぱり、臆病で、結局は安定志向で、このままモヤモヤしたまま生きていくのかな。

そんな不安と恐怖に苛まれます。



そんな夜に読みたいのは、こちら。


パウロ・コエーリョ『アルケミスト 世界を旅した少年』

これもたしか10年前くらいにおすすめされて手に入れた



まず、正直な感想を述べます。







ぶっちゃけ、ちょっと読みにくい……




だけどそれ以上に、Golden wordで溢れている。




読みにくい理由としては、たぶん、以下の通り。



・ブラジル文学で馴染みが薄い。
・宗教の知識がないと一部読みにくい。
・哲学的で抽象的な表現も多いので、何度か読み返さないと理解しにくいかも。





でも、タイトルにもした通り、物語のすべてを理解は出来なくても、さすがアルケミスト(錬金術師)というタイトルだけあって、Golden wordの雨でした。

真理って、国境も時代も超えて、普遍なんだということが深く伝わってきます。


いくつか、シェアしていきます。



少年は神学校にいた。
彼の両親は少年を神父にして、あまり豊かでない農家の自慢にしたかった。
彼らは羊と同じように、ただ食べ物と水を得るために、一生懸命働いてきた。
少年はラテン語とスペイン語と神学を学んだ。
しかし、彼は小さい時から、もっと広い世界を知りたいと思っていた。
そのことのほうが、神を知ったり、人間の原罪を知ることより、彼にとっては重要だった。
ある日の午後、家族のもとに帰った彼は、勇気をふりしぼって、自分は神父にはなりたくない、自分は旅をしたいのです、と父親に言った。

パウロ・コエーリョ『アルケミスト 夢を旅した少年』より引用




……あれ???
この少年と家族も、羊も、私のこと…???


私も、ただ、食べ物と水を得るために一生懸命働いている羊と、同じ…???




少年はその町にたくさん知り合いがいた。
それが彼にとっての旅の魅力だった。
彼にはいつも新しい友人ができたが、すべての時間を彼らと過ごす必要はなかった。
神学校にいた時そうであったように、同じ友人といつも一緒にいると、友人が自分の人生の一部となってしまう。
すると、友人は彼を変えたいと思い始める。
そして、彼が自分たちの望み通りの人間にならないと、怒りだすのだ。
誰もみな、他人がどのような人生を送るべきか、明確に答えを持っているのに、自分の人生については何も考えを持っていないようだった。

パウロ・コエーリョ『アルケミスト 夢を旅した少年』より引用




少年の気づき、すごい。


めっちゃ共感や。

会社でも何かのコミュニティでも、どうしてずっと一緒にいると、だんだんと相手のことを変えたいって思ってしまうようになるんだろうね。

だから、いつか「相手のことを変えたい」と思ってしまわないように、取り扱い注意なんだな…。
自戒も込めて。






「つまり、おまえが誰であろうと、何をしていようと、おまえが何かを本当にやりたいと思う時は、その望みは宇宙の魂から生まれたからなのだ。それが地球におけるおまえの使命なのだよ」

パウロ・コエーリョ『アルケミスト 夢を旅した少年』より引用



エッ……。


この『アルケミスト』自体は、1988年に刊行された、36年も前の作品なんですが、そんな前から、

「おまえのやりたいことで生きることは社会的使命なんだから、やりたいことをやって生きろ!!!」

って言ってるやんけ…と呆然。

そしてこの本って、世界中で読まれている本の第5位だそうで、つまりは世界中の人が同じことで悩み苦しみ、「自分も夢を追って、やりたいことを追求して生きていいのかな、どうしようかな、でも怖いな、このままのほうが幸せかな…」って思っているから、こんなに読まれてるってこと。



慣れ親しんだ今の仕事を手放そうか、でも、自分のやりたいことを追求して生きようか…



私が生まれる前から、世界中の人々は悩んでいて、そして今もなお、みんな悩みながら生きているんだ。

この事実も、私にとっては救いだった。

だって、周りの人たちは、「羊を飼って仕事をして暮らしていくこと」に、人生の早いタイミングですでに静かな覚悟をもっていて、ずっとその仕事をして生きていくことを、受け入れているように見えていたから…。





『幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ』

パウロ・コエーリョ『アルケミスト 夢を旅した少年』より引用



Golden word、止まらん。

手の中にあるものを忘れてしまってもいけないし、手の中にあるものだけに意識を奪われてもいけないのは、これもまた真理なんだなぁ。




国に帰って、元のように羊飼いに戻ろう、と少年は思った。
羊たちは僕にアラビア語の話し方を教えてくれなかったけれど。

しかし、羊はもっと重要なことを彼に教えてくれた。
それはこの世には、誰もが理解する一つのことばがあるということだった。
少年が店でものごとをもっとよくしようと思った時、ずっと使っていたことばだった。
それは熱中するということばであり、愛と目的をもってものごとを達成するということばであり、信じていることや、望んでいることを追求するということばでもあった。

パウロ・コエーリョ『アルケミスト 夢を旅した少年』より引用




すぎょい〜〜〜〜〜〜〜〜〜。


「熱中するということば」というのがイイ。


言語に限らず、絵を描いたり、歌を歌ったり、何かを縫ったり組み立てたり、「その人なりの熱中することば」で表現せよ。


そうすれば、それは世界共通言語となって、languageとしての言葉が通じなくても、相手に熱量としての「ことば」が伝わるということだよね。







この本は、1回読んで終わりというより、何度も味わって読むのがいい作品かもしれません。

私自身は、同じ本を2回以上読むってあんまりないのですが、やっぱり1回目より2回目の方が言葉が入ってくるかな…。



あとは、「夢から目を背けている『今』に直面するのが怖い」という人は、一回では入っていかないかも。

私が、そうなので…。

だって、向き合って直面するの、怖いもんね。



でも、繰り返し、少しずつ読み重ねると、自分が何に恐れているのかが分かる。

そしてやはり、世の中の哲学(真理)がふんだんに散りばめられているので、「人生の哲学というものは普遍で、空間も時空も超えるんだな」ということの気づきが得られる。




で、正直、Golden word多すぎて、「のど自慢大会」で出演者全員が鐘鳴るくらい(10−20代のみんなは分かるか!?のど自慢…)引用まみれになりそうだったので、今回はこのあたりで…。


名著って、お説教くさい感じになりがちなのかなあと思い込んでいたのですが、この『アルケミスト』は、静かに、大切なことを教えてくれます。

読むと、ほんの少し時間のスピードがスローになるような、そんな感覚です。
そして、辺り一面が静かに、深い闇の中に包まれるよう。

いわば、果てしなく広大な砂漠の中で出会うオアシスのように、哲学的な言葉で私たちの渇きを潤してくれる物語だったように思うので、一気飲みせず、少しずつ、何度も繰り返し一緒に読んでいきたいですね。





皆さんがこれを読んでくださるのは水曜日かな…。

週の半ば、なんとか、なんとか、いい本を心の灯火にしながら、明日もまず、1日を生きましょうね。

そして、あなたのだいすきなお気に入りの本も教えてくださいね。



それでは本日は、このあたりで。
また本を片手にお会いしましょう。
アデュー!


雨と雷がすごかった日の東京駅。空だってそうなんだから、人間だって、怒って泣き喚きたくなる日もあるよね。

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