六本木で本に埋もれる
2022年9月16日(金)晴れ
天気を書くのって、日記らしくて好き。本当は、晴れていたのか曇っていたのかよく覚えていないんだけどね。
久しぶりに日記をつける習慣を再開したから、何をどう書いたらいいか悩んでしまう。起きたことをすべて時系列に沿って書き出すのは、かなり大変だ。だから、この絵日記には、主にその日に考えたこと、感じたことをとりとめもなく記していくことにする。
日記といえば、小学生の頃に使っていた日記帳には「明日の目標」というコーナーがあって、私は毎日そこに「”私”と言う」と書いていたのだった。ずっと自分のことを「しおり」と名前で呼んでいたところ、父だったか母だったかにそれは恥ずかしいことだと指摘され、どうにかして直したかったのだ。ところが、呼称を突然「私」に変えたことを両親に突っ込まれたら恥ずかしいな……という謎の感情の方がさらに強くて、結局二十歳を過ぎるまで矯正できなかった。
閑話休題、今日は数日ぶりにゆっくり東京で過ごした。ランチは六本木のラ・ブリアンツァでワインを片手に一人で楽しみ、そのあと文喫にこもって書き物をしたり本を読んだりした。
今日読んだのは、長谷川町蔵さん、大和田俊之さんの『文化系のためのヒップホップ入門』と、アンソニー・ダン、フィオナ・レイビーの『スペキュラティヴ・デザイン』だ。
『文化系のためのヒップホップ入門』は前回文喫に行った時に途中まで読んでいて、今日読みきった。紹介されている楽曲を聴きながら読み進めると、時代とともにヒップホップの形が変化していったことがよくわかって面白い。いいな、と思えるアーティストや楽曲との出会いがいくつかあったが、中でも序盤にちらっと登場するNujabesにどハマりしてしまい、ここのところ繰り返し聴いている。
『スペキュラティヴ・デザイン』は、デザインの目的は多様だということを改めて認識させてくれる。商業的なデザインとは一線を画し、見る人の想像力を掻き立て、思索を、議論を広げる役割を果たすのがスペキュラティヴ・デザイン。そんな理解であっているだろうか。難解な部分も多かった。似たような役割を果たす文学についての言及があったが、ジョージ・オーウェルの『1984』は例示としてしっくりきた。
深夜、シルバーウィークの渋滞に巻き込まれないように東京を出発した。また旅が始まる。今度は2人と1匹で。見たことのない景色を、また一緒に見よう。