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半農半X研究所の塩見直紀が試みてきた小さな100個(本、ワークブック、ワークショップ、ツーリズム、コンセプト、コレクション、法則など)、紹介しています。


「半農半X」(エックス=天職)というコンセプトが生まれたのは1994年ころ。持続可能性と生きる意味。この2つをどう両立するか、叶えるか。20代の思索のなかで生まれたのが半農半Xでした。提唱というほどでもないのですが、半農半Xはゆっくり口コミで広がっていきます。おもいがけないことは、兵庫県丹波市は「半農半公」や、茨木県取手市の「取手アートプロジェクト」は「半農半芸」、各地でひろがるソーラーシェアリングは半農半電といった展開です。

講演の先々で、名刺交換すると、「半農半心理カウンセラー」「半農半理学療法士」「半農半建築士」など記されたものをいただくことも多く、多様なXの存在を肌で感じてきました。筆者はこれを「使命多様性」と呼んでいます。

半農半Xの提唱から、さらに思いがけないことが起きました。それは「半X半〇」という展開です。企業や公務員の兼業認可時代も来ています。地方議員の在り方を巡り、「半議員半X」という考え方もあります。農文協の『シリーズ田園回帰6 新規就農・就林への道』(2017)には、「半林半X」という言葉も大きく登場しました。徳島県美波町のIT会社サイファー・テックの吉田基晴社長は半農半Xからインスピレーションを得て、「半X半IT」な社員を募集。優秀な社員を地方に集められるようになり、周辺に考えが拡大。映画化もされました。徳島県知事も講演で「半X半ICT」と話されます。隠岐の海士町は「半官半X」な役場職員を2021年募集。

イノベーションとは新結合。新しい組み合わせをいかにこの国で作れるか。半農半Xコンセプトはこうしたことも少し触発したのかもしれません。

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