大学病院勤務の理学療法士が、糖尿病予防/血管機能改善をテーマに起業した理由
株式会社Exult代表の塩見耕平と申します。
2019年3月に会社を起こしまして、これは書いている4月17日時点では、まだ大学病院勤務の理学療法士でもあります。つまり、零細ペーパーカンパニーの社長です。
自分語りには抵抗があるんですけれども、こんなことを目指しています!と旗を立てる意味であったり、これから仲間になって下さる方のフックに少しでもなればなどと期待しながら、自分を語っていきます。
私は現在、筑波大学附属病院のリハビリテーション部で理学療法士として勤務しており、6月末には退職して株式会社Exultに専念する予定です。これまで大学院では、慢性腎臓病患者における運動機能の評価方法や、体組成と血液データとの関連性などについて調査してきました。
そして腎臓内科、形成外科などの入院患者さんに対するリハビリテーションを行ってきました。一般の健康な方にとって、腎臓病は縁遠いかもしれませんし、形成外科というと美容形成が思い浮かぶのではないかと思います。
腎臓病にも多くの要因がありますが、大学病院にかかる段階において、圧倒的速さで病態が悪化していくのは、糖尿病が原因で腎機能が悪化した方です。糖尿病性腎症と呼ばれるものです。
また形成外科患者さんの多くは、足を切断する手術を目的に入院された方たちです。なぜ足を切断しなければならないかというと、糖尿病による血管障害で足部の血流が悪くなり、栄養も酸素も免疫細胞も十分に届けられない状況で、傷口からの感染症が広がったためです。
医療を川の流れで考えたときに、私は最も川下の部分でリハビリテーションを行ってきました。流されてきた方たちの血管は既に硬化しており、リハビリテーションのみならずどのような医療的処置を持ってしても改善させることはほぼ困難です。
動脈が詰まった部分をバイパスで通す手術、間欠的な有酸素運動によって血流改善を望む運動療法、下肢切断後の装具練習などが行われます。しかしそれらは、維持または対症療法でしかなく、進行した血管機能障害を根本的に改善することは、現時点の医療で難しい状況にあります。
一方で、国民皆保険制度と予防医療の現状について考えてみました。
日本の医療保険制度は世界最高のものです。部分的にいちゃもんをつけることは可能ですが、総じて判断すると、世界で最も優れた技術、アクセス性、均一性、そして献身性を有していると私は感じています。
そして世界最高峰のサービスのほとんどが、月8万円ちょっとで受けられる(!)という、ちょっと他の国では考えられないような素晴らしい状況にあります。そのような背景のためか、予防医療とは何かと問われたときに、日本人の多くが人間ドックなどの健診を思い浮かべるのではないでしょうか。
一方で、明らかな病気と診断されて通院する場合を除き、健診結果の活かし方を指導してくれる場所がありません。
ですので現状の予防医療領域では、例えると吊り橋から落ちた人をできるだけ早く治療しようといったサービスが主流であるように思われます。しかし、そもそも吊り橋から落ちないためにはどうれば良いの?という対策をした方が根本的な解決だと、私たちは考えるわけです。
何より、入院中の患者さんやご家族が「もっと早く正しい情報が欲しかった」とつらそうに話をされる姿をこれまで見てきて、自分が15年前にこの方に会っていたら、という想いが積み重なっていました。
私たちの会社では、血管機能を改善するために、個別に症状に合わせて最新の論文を引用し、適切な予防方法を指導していきます。
使用する評価機器は、医学研究と同等のものを使用し、薬を使用しない範囲で血管機能の改善と糖尿病予防に全力で取り組んでいきます。
そのような想いで会社を起こしたんですが、会社を大きくしたいという願望はそれほど無くて、ましてや世界一を目指すなんて気持ちは全然ありません。
株式会社Exultは、糖尿病予防/血管機能障害予防が正しくできる社会を実現するためのプロジェクト型の会社ですので、それを世の中で達成できた日には「解散!」って言ってスッキリ終わることができたら最高だなぁと、会社を始めたばかりの現時点からそんな妄想をしています。
紙の地図からGoogleMapができ、道に迷うひとが減ったように、できれば予防医療においても自分の現在地と進むべき効率的な道がわかる、そんなサービスができるだけ安価に受けられるようにしたいんですよね!
いまのところみんなに無茶だって言われてますけど 笑
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