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〈鳥取vol.5〉吹雪の中で育む愛、おかえりと迎えてもらえる幸せの話
鳥取旅の記録5日目です。4日目はこちら。
いってらっしゃい係
月曜日なので住人は仕事へ出かける。ゴミ出しも頼まれていたのでいつもよりも早く起きてみんなを見送る。「いってらっしゃい」によって事故の確率が減るみたいなことを聞いたことがあるので、ただの平日とは思えないほど盛大に見送った。
頼まれていたカーテンづくりを終わらせるべく大きな生地とにらめっこ。今回の旅で図らずもミシンの技術を再習得。家庭科の授業で習ったことを10数年越しにおさらいする。ボビンの巻き方も思い出した。
奇跡のスパイスカレー
がんばった分お腹が空いたのでお昼ごはんを拵える。誰のものでもない野菜たちを使ってしまうべく、たんまりとあるtakefreeのスパイスで即席スパイスカレーをつくることに。
サラダ油で玉ねぎを炒める→ほうれん草を加える→トマトピューレを加える→ガラムマサラとグローブを加える→味噌で塩味をつける→牛乳を加える
ものの8分ほどでできあがったカレー。自分ひとりで食べるだけだし適当適当〜と思いながらほんとうに適当につくったらなぜかめちゃくちゃおいしくできた。スパイスカレー屋で出てきてもおかしくないレベルで、余は天才なりという気持ちになる。
5日ぶりの湯船
夜の予定まで時間があったので冷え切ったからだを温めに湯船をつくる。改めて湯船の偉大さを知る。
芯から温まったら一気に眠たくなったけれど、夜の予定までそう長くはなかったので紅茶を淹れて共有スペースへ。支店のスタッフが編みものをしに来ていたので話す。少し前まで素敵だなと思う人はたいてい年上だったのに、最近は年下であることが増えてきた。
ここのゲストハウスではヘルパーの終わりに書道をするのが恒例なので筆をとる。33代目の時は「だし」、66代目の時は「蒸篭」、今回の69代目は「湯気」と書いた。ここの人たちはみんな蒸気を発している。
最後の晩餐
18時ごろ、夜の予定に向けて友人がお迎えに来てくれた。19時半の集合まで少し時間があるので共有キッチンで団欒。干し忘れていた洗濯物を干したりもする。話し込んでいるとあっという間に時間は過ぎ、遅刻が確定する。コーヒーを飲み始めたあたりで気付いていたけれど後には戻れなかった。
行きの車にて「何が食べたい?」と送られてきたメニュー表を見る。「スパム揚げって何だと思う?」「スパムの素揚げ?」「それなら揚げスパムじゃない?スパム揚げなら何か纏ってそうじゃない?
」というやりとりをする。
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まとめて食べて完成するサラダ
10分遅れで到着したらすでにハイセンスな注文が済まされていた。飲みものはグアバジュース。今年はとことん下戸でいくので。お酒を飲む人たちは赤星を飲んでいて、ちょっとだけ羨ましくなる。
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アルバイト終わりにかけつけてくれた子が「今日はこのためにがんばれた」と言っていてうれしくなる。楽しみな予定を入れるのは良いことだと思う反面、そう思わない予定は極力入れずに生きていこうと思った。
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結局スパム揚げは揚げスパムでした。素揚げ。でもおいしかったのでよしです。おかえり〜と言ってもらえる分だけ帰ってこようと思わされる。帰ってくる、でいいのよね。と故郷が増えた心地になる。
吹雪の帰り道、富士山ってなんで青いんだ?という疑問が生じて2人してぞわっとする。「君たちは気付いてしまったのだね……」というがごとく吹雪が強まり、ひゃ〜〜抹殺される〜〜!となる。
ローソンで翌朝に食べる用のパンを買ってもらった。荷づくりをするということは終わってしまうということ。ピリオド?コンマ?とにかく一区切りには違いないので車が見えなくなるまで悔いなく見送る。