隣の殺人鬼はノーカウント【SIDE-A】
SIDE-A 拝啓、依田慎太郎と麻衣子から、殺人鬼へ
朝、玄関先に犬が死んでいた。死んでいたというよりも、殺されていたと言う方が正しいだろう。普通は驚きそうな朝のシーンだが依田慎太郎は、血を流して絶命している犬をじっと見ていた。
「麻衣子、ねぇ、麻衣子、今度は犬だよ」
「なによ、犬?また死んでるの?」
「違うよ、殺されてるんだよ。首から勝手に血がながれるものか」
依田麻衣子は夫の落ち着き払った姿にいつもながら頼もしさを覚えた。慎太郎は殺された犬に、昨日の朝刊をかけ、