【あの日のタイ】7年後の回想
あれから7年
あのころわたしは「今見てるものを一生覚えていたいな」と思いながら生きていた。
ひょんなことからこの国に来た私が、移住翌年に世界史に残るようなすごい出来事にうっかり居合わせちゃって、貴重な経験をしているという実感があった。
感動したし忘れたくないからアウトプットしたかったけど、
あの時期よそ者がこの話題に触れるのはちがうと思った。
でももうけっこう時間たったし、noteは日本語メディアだし、失礼なことは言わないつもりだし、いいかなって。
ということで
2016年10月13日、偉大な王ラーマ9世がこの世を去った日。そしてその後の喪中期間。よそ者として現地で見ていたタイの様子をここに残したい。
なお、最高敬語は使いこなせないので、
教養のない私の最大限の丁寧さで許してください。
18歳の王さま
タイについて知らない人にも興味を持ってほしいので、少しだけラーマ9世、通称プミポン国王について解説させていただく。
お兄さんのラーマ8世が20歳という若さで拳銃暴発(と言われている)事故で亡くなったため、急遽18歳で即位したプミポン国王。
一説には、お兄さんが亡くなってからプミポン国王は笑わなくなったと言われていて、
たしかに少し微笑んでいる程度の写真はあるが、大爆笑は見たことがない。
その後88歳で亡くなるまで約70年間在位していたので、2016年に生きていたほとんどのタイ人にとって、自分たちの知る唯一無二の王だった。
ちなみに在位70年は先日亡くなったエリザベス女王と同じ。厳密にはエリザベス女王の方が1日長いそうだ。
パネェ王さま
人物像はまさにカリスマ。王様カレンダーは毎年バカ売れ。国民は王様の写真をいたるところに飾っていた。
その写真もなんともドラマティックでエモいものが多く、よく知らない私ですらそのビジュアルからまず推せると思ったものだ。
その人格を物語る逸話も数知れず、
あるときは、王様を町にお招きする整備のために処分されかけていた野良犬たちを、自ら町に連れ戻してあげ、さらに妊娠していたその犬から生まれた子犬を引き取るという慈悲深さ。
さらにはその子犬について本を出版し、
その本から得た利益を災害レスキュー犬の育成に充てるという、
サスティナブルどころかマイナスから有を生み出す聡明っぷり。
そして農村の開発や貧困の解消にも尽力し、干ばつを解消するため人工的に雨を降らせるという技術を自ら考案するというビックリすぎる天才ぶり。
とまあやばいお方なのだ。
興味を持っていただけただろうか?
2014年にワーホリ先のニュージーランドで夫以外にもたくさんのタイ人に出会ったが、
タイ人はタイの国旗のステッカーを持ち物に貼っていたり、
タイの国旗の色で編まれたブレスレットをくれたりして、
自らがタイ人であることをよくアピールする人々だと私は感じていた。
それは「自分たちはあの方の王国の民である」という誇りからだったのではないかと今になって思う。
そんな方がね、お亡くなりになってしまったんです。2016年は。
ではつづく