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書評:イェーリング『権利のための闘争』
「法の保護」における2つの側面とは?
今回ご紹介するのは、イェーリング『権利のための闘争』という著作。
早速であるが、「法を守る」とはどういうことか。
思うに、「法を守る」には2つの側面がある。
1つは、「法を遵守する」、すなわち「法に従う」という側面。
もう1つは、「法そのものを守る」、すなわち法体系・法秩序およびその実行力を守るという側面。
これら2つは実は表裏の関係にあり、両面が正常に機能してこそ「法の支配」は実行力を発揮するのである。
法の行使が人間の人格問題にまで及ぶ場合、イェーリングは権利を守るために「戦う」のが人間の義務であると看破する。
私的関係、即ち私的法関係の問題の破綻は、法秩序そのものへの信頼を損なうことになり、やがては国家の根幹を切り崩すことにつながる。
であるがこそ、法は「二重の意味で」守られねばならないのである。
上記の論理の組み立てでも明らかであるが、イェーリングが最も根幹に位置付ける法秩序は、公法ではなく私法である。
法秩序における権利感覚の根幹は、私法的関係におけるそれにあるというのが彼の主張であり、ここが彼の主張において注目すべき点であることは言うまでもない。
こうした主張が今なお色褪せないのは、法秩序・法体系のもとで人民が最も権利感覚を刺激されるのが私法的関係であることに鑑みると、自ずと納得のいくものである。
読了難易度:★★☆☆☆
法と権利を巡る2つの論点明示度:★★★★★
法秩序の根幹指摘有益度:★★★☆☆
トータルオススメ度:★★★☆☆
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