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幽刃の軌跡 #39

第39話:黒夜裂断(こくやれつだん)

牛若 VS 琳守・朝光


牛若はボロボロの姿で仁王立ちしていた。傷だらけの体を支え、再び立ち上がるその姿に、琳守と朝光の目には驚きの色が浮かんでいた。


牛若(心の声):「このままでは勝てない……この力を使うしか無さそうだな……」


牛若は静かに目を閉じ、深い呼吸をすると、低く呟いた。


牛若:「妖力解放……黒太夫(くろだゆう)!」


その瞬間、牛若の体から禍々しい黒いエネルギーが解き放たれた。霊域とは異なる妖力が渦を巻き、空気が変わる。周囲には、まさに不吉としか言いようのない雰囲気が漂い始めた。


真彦:「あれは……まさか……噂には聞いていたが……平場妖力四天王の一匹、上賀茂の黒馬か……」


綾香:「あれが噂の力……あれを使いこなせる者は、過去にほんの数人しかいないと言われている……」


明清:「その力を操れる者は極めて少数。自我を失い、妖怪に支配されるか、肉体が力に耐え切れず崩壊するものばかりだ……」


朝光は、笑いながら牛若を見据える。


朝光:「お前……やはり持っていたか!平場妖力四天王の一匹、黒馬を!面白い!!琳守、手を抜くな!」


琳守:「妖力か……これが貴様が他の隊長たちと違う所以か……」


牛若の下半身は変化し、馬の脚が現れた。半人半馬の姿となり、全身を禍々しい黒いエネルギーが覆っている。


牛若:「さあ……黒太夫……狩りの時間だ!」



牛若は妖力を高め、その手で何かを唱え始める。


牛若:「黒キ夜ヨ、スベテヲ飲ミ込メ……裂ケヨ……黒夜裂断(こくやれつだん)!」


その言葉とともに、牛若のスピードが倍以上に跳ね上がり、琳守の目には追い切れない速さで動き出した。


琳守:「見えない……!」


次の瞬間、琳守は無数の斬撃を受けていた。牛若の攻撃が的確に琳守の体を斬り裂き、彼の防御を無力化する。


琳守:「これは……やばい……!」


琳守はさらに続けざまに飛んでくる斬撃に対して、成す術がなかった。牛若は容赦なく攻撃を浴びせ続ける。


牛若:「琳守……すまないが、ここで寝てもらうぞ。」


牛若が琳守から離れると、琳守はその場に倒れ込んだ。


牛若 VS 朝光


朝光:「お前!!牛若!!!何をした!!!」


牛若は静かに朝光を見据える。


牛若:「次はそなただ、朝光。」


その言葉とともに、牛若は再び猛烈なスピードで朝光に迫る。朝光は防御のために「森羅万象」を発動するも、牛若の攻撃に圧倒され、防御が追いつかない。


朝光:「お前……森羅万象!!!」


しかし、牛若は平然と応じる。


牛若:「私にはそれは通用しない。お前の低次元な眼では、私の動きを捉えられん。」


朝光:「一度で技を見定めたというのか……!」


牛若:「朝光……終わりにしよう。」


牛若の無数の斬撃が朝光に向かって繰り出される。防御の限界を迎えた朝光は、必死に反撃を試みるも、その力の差は歴然だった。


朝光:「私はこの国を変える者だ!私は平家の党首に相応しい存在なんだ!!この私こそが!!!!平家の真のリーダーだ!!!!」


しかし、その叫びも虚しく、牛若の最後の斬撃が朝光の「朝陽の鎧」を真っ二つにし、朝光の首が宙を舞った――。



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