せめて一生懸命生きろよ!!!!!
・はじめに
アンナ・カヴァンの氷を読みました。
今から書くのは大批判です。
受け入れられなければブラウザバックを。
・忠告はしたからね!以下文句
うるせ~~~~~~~~な~~~~~
早く滅びろよ!!!!!!!!!!!!!!!
本を読み進めるうちにイライラしてきました。
最後の方なんかは斜め読みもいいところで、かなり適当に読みました。
君たちいつまでそんなことしてんの?
・まずは良いところを述べにゃあね
そりゃあ良かったところもありました。
どんな本にもいいところ、少しはありますからね。
なんだかもう正直そんなに思い出せない上に思い出したくもないですが、「まだ傷ついていない」島にたどり着くまでのところは面白かったし引き込まれました。
困難を知性と精神性で切り抜ける、スパイものみたいな緊迫感のあるストーリー自体はかなり好きです。
あと恐らく訳者も良かったんだと思います。
すっと入ってきやすい文章だったし、言葉遣いも綺麗でした。
途中までは良かったです。
問題はここからです。
・『私』が今生きてたらTi〇derやってそうだよね。
まず『私』。
こんなに話を重たくして長い間鬼ごっこを続けていましたけれども、つまるところ女の身体しか追いかけいてなかったっていうのはどういうことなんですかね。
気持ち悪い。
シンプルに気持ち悪い。
訳者のdisは意図してないので引用はしませんが、まず冒頭、「車のヘッドライトが少女の子どものように華奢な裸体を浮かび上がらせる」ってなんですか?
ペドフィリアかよ。
『少女』の年齢は明かされていないにしても(まあ結婚してるくらいだからそれなりに大人ではあるんでしょうが)、子どもみたいな身体つきで子どもみたいな精神の女を好くってどういうことですか?
そしてその裸体を想像するって正気ですか?
身体と精神が子どもなら実質子どもではないのでしょうか。
それに性欲が湧くって、犯罪の気配しか感じませんが。
そしてさらに気持ち悪いのが、この物語通して何度も描写される『少女』の容姿にまつわる回想。
銀白色に輝く髪、大きな眼と長い睫毛、ガラスのように透き通った肌、折れそうなほど細い手首。
「あの子だけが生きる希望なんだ!」みたいなことを言って、この世で最も大切な存在であると考えている割には、見た目しか愛していないんですね。
しょうもないルッキズム。
ツラと身体だけしか褒めるとこないヒステリックな女の尻を追っかけまわすなんて、まるで現代でいうところの「理解ある彼くん」ですね。
「あの弱弱しい手首を折っていいのは俺だけだ」とかいう思考も鳥肌ものでした。
可憐な弱弱しいあの子を自分の手で汚したい、壊したいとかいう気色悪い欲望垂れ流しのカス野郎。
この世の誰にも他人の身体を害する権利なんてありません。
調子に乗るな。
あと、「お前のためを思ってここまで来たんだぞ!」みたいなことを終盤で言っていましたが、女性側からしたら、いやいや頼んでないですって感じでしょう。
『私』が超スパダリキラキライケメン王子様的な感じならともかく、モラハラ気質あり妄想癖ありの粘着ストーカーに追われるのって軽率に言って悪夢です。
これを本人は愛だ恋だとか思ってそうなのが余計に気色悪いんですよね。
見目麗しい美少女にころっといかれただけの思慮の浅い『私』の語る「愛」になんか、なんら価値もないっての。
お兄さん、それって「性欲」って言うんですよ。知らなかったんですか?
・港区女子も顔負けの『少女』。君たちお似合いだね。
『少女』も『少女』でどうしようもないクズでした。
『私』の言うとおりですよ。
何かをしてもらったら感謝くらいしなさい。
その辺の子どもでさえ、ぶつかったら「ごめんなさい」、玩具を譲ってもらったら「ありがとう」、くらいちゃんと言えているでしょう?
多額のお金を貰っているなら尚更きちんと礼を述べなさいよ。
豪勢なドレスに化粧にエステにサロンに贅沢三昧して、お金をもらうときだけ『私』のもとにすり寄ってきて、それ以外ではほとんど帰ってきませんって。
おめーはパパ活女子かよ。
世界が終わるっつってんのに何違法売春ごっこしてんだ阿呆が。
人の好意と善意を易々と踏み躙るなよ。
虐待を受けていたから精神が子どもで止まっている、みたいな背景説明だけじゃ擁護できません。
そしてなんなんですか。
会うたび癇癪起こして、死の淵にいてもなお「あなたの助けなんかいらない!」みたいに口答えして、誰もがギリギリの生活を強いられているような時代の中で『私』が手を差し伸べてくれていたにも関わらず、ずっとその手を跳ね除けてきた過去があるのに、最後の最後で『でもでも実はなんとなくあなたのことを待っていたかもなんです……。ぐすん。』みたいなことを言い出すんですか。
そんな手のひら返しは通常許されません。
甘えんな。
・せめて一生懸命生きろよ!!!!!
面倒なことをしていないで、くっつくならくっつきなさい。
離れるならきちんと離れなさい。
そして必死こいて生きなさい。
そんなに余裕があるなら他人の命とか救いなさい。
この状況で一生懸命生きようとしてきたのにも関わらず亡くなった人間達が可哀想。
世界が終わりに近づいていく中、色恋に陶酔していた性欲まみれの阿呆どもが生き残って、暴徒を止めようとした将官が集団リンチによって亡くなるなんて、あまりにも不条理だ。
あ~~~~~~やだやだ。
結局クズ達の壮大な惚気話に付き合わされただけか。
それなら表紙に少女漫画家を採用して乙女チックで可憐なイラストでも書いてもらって、帯に「現代に生きるメンヘラカップル必見!ツンデレ彼女を追って世界を駆け巡る壮絶なラブストーリー!」とでも書いて欲しい。
ちゃんとSFなんだと思って買っちゃったわ。
自衛させてください。
・完全に私怨の余談
はあ。
こういうしょうもない男女を見るたびに思い出す人がいます。
リアル知人の、しょうもない男子大学生A君。
彼はかなり手が早い男で、そこが特に気に入らないのですが、そんなことよりもさらに許せないことがあります。
それは彼が以前ファムファタルについて熱弁していたこと。
(本当にしょうもなくて全然覚えていないんだけれども、)何かのブログだかの記事を引用して、ファムファタルとはこういう女だ云々、ファムファタルのこういうところに惹かれるんだ云々、話していたんです。
その解像度の低さに、妄想の範囲を出ない貧弱な女性観に、私は心底腹が立ちました。
そんなA君が最近彼女を作ったらしいと小耳にはさみました。
A君の彼女は、尻軽で有名なあの子でした。
呆れました。本気で呆れました。
それがお前にとってのファムファタルか……。
確かに、誰とでも寝るならそれは「手に入れられそう」だし、でも自分と付き合う見込みが無いなら「手に入れられない」わけで、ファムファタルとしての条件には合致すると思うけれども……。
ファムファタルの魔性性っていうのは、高いコミュニケーション能力とか、人間性とか、要するに中身の部分ありきで成立すべきであって、誰にでも股を開いてくれる女、顔が良いだけの女にそれを認めるのは、単に性欲に突き動かされているとしか思えないのですが。
なんとなく、女体に執着して踊らされているだけのことを「虜にされた」なんて思っていそうなA君が『私』に重なります。
そんな安っぽい価値観で女を測らないでほしい。
・物語の中でも外でも
こういう大した器もない女が世にウケるならそれでいいよもう。
私が男女と肉体関係を嫌う一因となるような、恋愛に脳を浮かされたしょうもない大学生のことを思い出させるような、かなりイライラする一冊でした。
しばらくは読み返しません。