木が黒くなる時間が好きだ。
今の時期だと
午後4時半過ぎたころか。
葉の一枚一枚がくっきりして
葉と枝の隙間から
向こうのだいだいがかった空が見える。
美しい
私は木を住処にする鳥だ、虫だ、精霊だ。
風が吹く、枝がしなる、葉が踊る、涙が出る。
風が木と私を同じに揺らす。
今日私は昨日のことばかり思い
心を波立てていた。
そうだ、今に戻ろう。
木を眺めているこの体に
心をカチッとはめ込もう。
昨日のことは全て
すでに私の手から離れ、
思い出してもそれは
脚色されたもので、
想像であり、
真実などでは決してないことを
もう一度確かめよう。
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