見出し画像

☆夏が終わる〜やれやれ、私が大きくひと息吐く訳

 今年も暑さが落ち着き、やれやれと一息吐く。
暑さの恐怖が去ることもやれやれなのだが、私にとっての主なやれやれは、別のところにある。

 家は昔の商店街の中の一軒で、両隣とは、くっついていると言っていい程の間隔しかない。その両隣、すっかり空き家になってしまい、草ぼーぼー、枝ぼーぼー、こっちに覆い被さる勢いだ。そちらの、生き物の楽園の余波を受け、夏場はこっちにも活気が入り込んでくる。聞いたことのない獣の声が響く夜もある。

 そもそも、この家も長い間空き家だったのを購入したもので、築40年超えの物件、それらしく隙間だらけだ。

 住み始めてすぐの頃、まずこうもり問題、こうもりと同居はできそうにないので、出入り口である換気扇をふさいで解決に至った。

 だんご虫は、ドアの隙間からうじゃうじゃ入ってくる。そこは一階の、荷物の部屋なので、たまに掃くだけで諦めている。

 くももよく出る。くもなんてもう放置、むしろ家族の一員として、自由に遊ばせているのと同じだ。
 蚊は煩わしい。必ずいるので毎日蚊取りを付けている。
 むかでは、だいたいティッシュで取って外に逃がす。
 洗濯物にちょうちょが卵を産みつける。きれいな淡い緑色の細かいつぶつぶ。洗濯物には、カメムシやら、カナブンやら、アシナガバチやらがくっついているので、取り込む時には用心しないとならない。
 ちょっと嫌なのが、窓の外側を這うナメクジ。なかなかの衝撃映像、網戸ならピンっとするが、窓だとカーテンを閉めて見なかったことにする。

 大物だと、やっぱりゴキブリだ。いつからか、ゴキブリはディズニーランドのお掃除のように、ちりとりにほうきで誘導し、確保したら窓から外にぽいっと落とす、平和的解決でいっている。
 ついこの間は、子どものヤモリが逃げていった。
 ハクビシンが、ベランダに糞を置いていく。
 毎年来るつばめを狙って、玄関にマムシがいたこともある。

 すぐに大声で夫を呼べばよかったが、頼りの夫はもういない。全てに独りで対峙し、処理していかなくてはならない、やもめの独り身の、2回目の夏が終わる。夏の疲れにはこういうのも混じっていて、今のやれやれが大きいこと、察して頂けるだろうか。



#エッセイ #哲学 #日常 #やもめ #ひと息

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?