絵が完成しない原因を突き止めて防止策を考える
最近、絵を描こうとすると、最後まで辿り着けないことが多すぎる。
ちなみに、元々完成できないというタイプではない。
どちらかというと、どんなに時間がかかっても何枚失敗しても、粘り強く頑張るタイプだ。
逆にその頑張りが絵の成長の妨げになっているのでは?と思うくらい。(この辺機会があれば記事にしたい)
それに気付いてからは必要以上に時間と根性を割かないように注意しているのだけど、それが完成への障害になっているのだろうか?
他に心当たりとしては、
・『無理矢理完成までこぎ着けた時の例えようのない疲弊感』がトラウマになっているのでは?
・『一生懸命さの暴走』が進路を狂わせ、戻って来れないのでは?
などが挙げられる。
(まあ、その暴走が今コレを書かせているわけだけども)
絵を完成させられない人の特徴としてこんな感じの記事を目にしたことがある。
なるほど、そういう人もいるだろう。
それなら話はもっと早かったのだけど…残念!自分の場合はこれに当てはまらないなあ。ストップする場所も理由も様々。何でだか自分でもよく分からない。
とにかく絵が完成しないのは困る。いや、誰も困りはしないが、自分がすっきりしないし楽しくない。
こうなったら自分自身でその原因を究明すべく、過去の失敗の状況を洗い出し、対処法を探ろう!
これは絵を描くことよりも急務だよ…と今これを書いているに至るのである。
■スタートする前に転んでる
今回よりも前に、完成しなかったものが2つあるのでまとめてみた。
本当はこの記事と一緒にする予定だったが、あまりにも長過ぎたために分けた。
宜しければ、合わせてご覧頂きたい(読まなくても話は通じます)。
そして今回は上2つよりも更に悪い。
ツイートや見出しにある通り、スタートする前に転んでるので、途中の段階ですらお見せするものがないというありさまなのだ。
順を追ってその状況をお伝えする。
はじまりはこんな感じだ。
とあるイラストレーターさん(仮にRさんとする)が急に気になりだし、分析を始めた。と同時に、
・イラスト描きたい欲
・さいとうなおき先生の3ヶ月上達法的な『その人の絵柄でオリジナル作品を描く』をやってみたい欲
が重なる。
これはちょうどいい! Rさんの絵柄でやってみよう。
・『お題』を探す旅
案の定ポーズが決められない。
頭の中に絵が降ってこないと何も決められない人間なのだ。
こんな時は『お題』に頼ればいいじゃん!
前々回のイラスト(未完)「萌え絵的な女の子」の時にそれを解決してくれたのは『お題』だった。
今回も決めてもらおうと思ったが、でてきたポーズ・構図がRさんのイラストの雰囲気とそぐわない。
うう~ん…
合いそうなポーズを出してくれる『お題』はないかと、しばらく『お題』を探す旅にでる。
…何の成果も得られず旅が終わった。
こうなったら自分で作るしかない!
もっと細やかに対応できるものが欲しいな、そうなると既存のものだと難しいか、プログラム自体を自分で作るか?と、どんどん頭がずれていく。
ん?
いやいや、それはないでしょ!!
さすがに気付いた。アブナイアブナイ。
プログラムはやりすぎでしょ、番号付けて鉛筆でも転がせばいいでしょーとサラサラ―っとその辺の裏紙に
1.体育座り
2.歩いてる
3.……
などと書き出す。(ちなみに構図編もある)
……うう~~ん?
正規のルートに戻ったような戻ってないような…
結局ポーズも構図もシンプルなものが1番似合うので『お題』は必要ないというところに落ち着いた。が、そこに行きつくまで長かった~~~。
本筋とは違う場所に気力と時間を使いすぎた。
・リラックスポーズからの3つの旅
普通っぽくてリラックスした感じのポーズ。Rさんの雰囲気に合ってるのはそんな感じだ。
描いてみるもののなんかしっくりこない。なんか違うなー、なんだろなー。
と、ふとそこで思った。
そもそもリラックスしたポーズってどんなの?
ポーズカタログやクロッキーサイトは何かしらのポーズをとっている。リラックスした人というものを描いたことが無いのでは?
そうか、描いたこと無いから描けないのか。と納得して資料を探す。
……
…あるものですね!
見つけたのがこちら。
早速購入。
なるほど、リラックスすると人は背中丸まるのか~。肩は丸まるのか~。なるほど、なるほど、ふ~~ん…
そもそも…背中はどのくらい丸まるの? 背骨の可動域って…?
と、気になりだした。
背骨の動きを考えた時、骨盤は無視できないなー…。骨盤ら寛骨と仙骨の動きは…
そうして1つめの旅が始まる。
旅と平行してリラックスポーズを描く練習。
なんか…すごく描きづらい。描くと苦しい。
描いたものを見ると、丸めたい背中はまっすぐ気味になってるし、寝せるはずの骨盤が立ってきている。
どうにも丸くなってくれない。
試しに自分でそのポーズを取ってみた。
…思うように取れない。
背中が丸まらないし、無理に丸めると苦しくて呼吸が出来ない。
そこでふと思い当たった。
自分が取れないポーズは、描くのが難しいんだ!
え。
でも、じゃあなんで自分はリラックスポーズとれないの?
リラックスできないってこと??
わ~~~、体緊張してるんだな~。多分自律神経系とかね~~、ハイハイ…(心当たりある)
だったらそのポーズを取れるようになりたい。
絵の為にも自分のためにも!! 願ったり叶ったりじゃないか!!!
絵ってすげーなー…
背骨や骨盤をゆるめる動画を漁りながら、これはちょっと長旅になるな~と覚悟する。
ゆるっとしたポーズが描けないことで、まだまださくっとポーズが描けない事を自覚する。
もっと色々なしぐさを描けるようになりたい…!頭にたくさんストックしときたい。色々なポーズをどんな角度からでもパッとかけるようになりたい!
特にあてもないのに、何でもかんでも描けるようになりたくなってしまう。
我ながらなんて貪欲なんだ…。
特に曲げた時の関節の形が分からない事に気づいた。頭の中にちゃんと入ってない。何とかしたい…
どうしたらそれらを習得できるだろうか?どういう練習をしたら効果的だろう?
1つのポーズを延々角度変えて描いてみたらどうだろう? 映画や雑誌などで魅力的なポーズやしぐさを見かけたらその都度描いてみては?…などなど
頭の中で練習法が駆けめぐる。もっと効率的な練習法はないだろうか?と探し回ろうとする。そして練習しまくりたくなる。
いやいや、待て待て…。そんな事してたらいくら時間があっても足りない。今描きたいもの集中するんだ。
練習はまた後ですればいい、今はそこに時間使うな、と自分をなだめる。
・今回は断念するが得たものは多い
長旅が多いのでとりあえず置いておいて、なるべく先に進めようとする。
Rさんのイラストは一見シンプルでフラットだが、その分小物使いが小気味良く配置が絶妙で、デザイン的な画面とよく合っている。キャラクターの表情ではなく、デザイン、小物、色のバランスなどで世界観を表現している。
何でこの小物を選んだんだろう、何でこの配置にしたんだろう、どういう基準で決めているのだろう…。
見ているうちに、シンプルだからこそ何か1つの信念がないと作品としてまとめきれないのではないか?と思えてきた。
何をどう表現し、どう見せたいのか、それが最初から最後まで通っている事こそが重要なんだ。
そもそもそれがなければ何も描けない。何も決められない。
だから迷うのか。
ポーズや構図、服が決められないのも同じ原理で、確固とした屋台骨がないからいちいち迷うのだ。
自分にはその視点が希薄だった事を思い知らされた。
服や髪型など色々考えてしまうのも、キャラクターの設定や内面をイメージできていないからだったことに気付く。
ただ毎回キャラクターから考えていったのでは大変だ。オリジナルキャラクターをあらかじめ設定しておけば、何か描こうと思った時に早いのではないか?
オリジナルキャラクターを作っておきたい…。とりあえず、今パッとは浮かばないけども…。
自分はどんな絵を描きたいと思っているのか、どんな風に見てほしいのか?
絵を描こうと思ったときにはそこから入ろう。
自分の感情を大事にしながら紐解いていくと、無理に決めようと思わなくても自然に色々な事が浮かびあがってくる気がする。
そんな事を思いながら、煩雑すぎた今回は続行を断念。
1つ1つ整理して、解決できるところはしながら、また新たにやりたいと思った。
そして最初にやるべきと判断したのは、この記事を書く事だったのである。
■分析してみる
スタートする前に転んでる件の最後で、今後どうすればよいか方向性が分かりかけてきたところだが、未完成な状況を全て合わせて最初から考えていきたいと思う。
・完成しない原因
洗い出してみると、バラバラなようで結局同じものに集約されることが分かった。
結論からいうと、体力・気力・時間の浪費、そして『性格・考え方』の問題が絵を未完成にさせている。
問題となるキーワードをあげてみる。
・迷う
・ずれる
・戻る
これらはいずれも気力と時間を浪費する。気力と時間が浪費されれば、体力も目減りする。
できる限り避けたいこれらだが、大好きなのか?ってくらいよくやってる。
問題となる行動をあげてみる。
① 余計なものを持ち込む
② 旅に出る
例えば、①は「余計な試行錯誤」や「フレアスカートをプリーツにする」とかそんな感じ。②は今やっている事からはみでて、この事を調べたい、練習したいになったり実際にそれをする事。
これらも当然のように体力・気力・時間の浪費につながる。そしてやっぱりよくやってる。
問題となる『性格・考え方』
・気になる
・正しくなければ
何かすぐ気になる。気が散る、と言い換えてもいいかもしれない。やるべき事に集中できていない、もしくは本質を掴めてないから枝葉に目がいってしまうのかも。
『正しくなければ』は本当にやっかいで、これはまた別の機会に詳しく書きたいと思う。『正しくなければ』の中に『逃げる』『調べる』『練習』が潜んでる。
ただどちらも、短時間作業の時には顔をださない。時間をタイトに区切った方がいい感じに作業できると前々から気付いてはいたのだけど、そういう事だったか。(時間をかけたわりに良くならない…という悩みがあったのだけど、原因が判明して良かった)
・原因を生じさせる状況
では、何故そのような問題が生じるのか?
そのほとんどが結局は「決めてないから」に付随すると思う。
決めてないから迷うし、ずれるし、戻る。
デジタルの方が迷路に迷いやすいと思ってたけど、それは体がデジタルに向いてないだけでなく、デジタルの方がより試行錯誤しやすく、決めてなくても作業が出来てしまう、という特性があるからだ。また「アンドゥ」できてしまうところもマイナスに働く。(ちなみにアナログでも消し具を使うと遅く悪くなることが多い)
『余計なものを持ち込む』『旅に出る』のも、どこまでがやるべき範囲なのか「決めてないから」、線引きができていないのだ。
画材選びの失敗も似たようなものだ。
他には「画材(お絵描きソフト含む)の扱いに慣れていない、特性をよく理解・把握できていない」というのもあると思う。
そここそ練習で解決していける分かりやすい問題なので、実作業に入る前にクリアしておきたいところ。
やっかいなのは『性格・考え方』の問題だ。
まとめていく中で気付いたことだが、どうも潜在意識がまずいことになってる。これはまた別の機会に記事にしたい。
今回は分かりやすい部分のみに焦点を当てていく。
■防止策を考える
未完成にさせる原因を排除するためには、迷いをなくし、出来るだけスムーズに作業をすること。その為には必要な準備をしっかりと行う。
それは、確固とした屋台骨を築くこと!!!
これが対処法として行きついた結果だ。
・屋台骨を築く
スタートする前に転んでる件の最後あたりにあるが、1つの信念が最初から最後まで通っている事こそが作品において重要である、という事が分かった。
それが作品の屋台骨と言えると思う。
屋台骨とは何をどう表現し、どう見せたいのか?などそういった事だ。
ただ漠然と思っているだけだと、忘れたり変質してしまったりする事もある。時間がかかる作業の時は尚更だ。
屋台骨には、視覚と言葉の2種類のアプローチが必要だと思う。2つあることでお互いを補完できる。
視覚は色ラフ、言葉は5W1Hにのっとって考える。(後日この辺りは詳しく記したい)
順番はどちらが先でもいいと思うが、最初に絵が浮かんでいるなら色ラフが先、特にない場合は言葉から起こしていくとやりやすそうだ。
言葉を考える時、必ずしも5W1Hにギチギチに縛られなくてもいいと思うし、決めやすいところから決めていけばいいと思う。
色ラフは1度描いたら終わりでなく、これが最終稿といえるまで何度でも手を入れる。
それらを踏まえて、気付いたら作っていたフローチャートがこちら。
・未完成撲滅フローチャート
屋台骨作成フローチャート、別名、未完成撲滅フローチャート。
実作業に入る前に、必要な準備を整えておく為のものだ。
この流れに沿って考えていけば、作業中の無駄な迷いや旅がなくなり、集中しやすくなるのではないか?
今後はこのフローチャートを羅針盤として、完成作品をどんどん増やしていきたいと思う。
軽く補足。
※1:完成形が頭の中にある時は、余計な試行錯誤をせず、素直に頭の中を出力することに留意する。
その後で言語化した方が、言葉に引っ張られずにすんでいいと思う。
※2:完成形が頭にない時は、言葉の屋台骨をしっかり組んでからの方が、視覚化しやすいと思う。
※3:言葉とラフが合わない時、よりよいと思える方をとる。ラフが合わなくなったら必ず描き直す。
※4:ラフを元に、資料を揃えたり、必要な練習があるかなどを確認(逆に言えば不必要ない事をしない為でもある)
※5:課題の洗い出しや課題を解決をしたことで、ラフに変更がないかを確認。状況が変わると絵も変化する場合は多々ある。課題や練習の必要もなく、本番をスムーズにイメージ出来たら、準備完了。いざ、本番へ!
以上です。
長い記事に最後までお目を通して頂き、有難うございました。