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夜咄 一夜「弦音(つるね)」
弦音が響き一本の矢が放たれる。容赦なく私の身体を射ち抜いてゆく。
そんな衝撃に遭遇するような短歌や詩と短文の宝庫に出会えるのだ。例えば母を妻に入れ替えれば、天国の妻が言い残した言葉だったりする。
このSNSの詩や短歌のコミュニティーには人間の日常や喜怒哀楽があるのだ。何と言っても恋愛模様を垣間見られるのは人の思いの深さが知れて興味が尽きない。今日もいつものように笑ったり泣かされたりと波瀾万丈なのだ。
詩と短歌が老いた私の命を引き留めているが、四半世紀も共に過ごした愛猫は四年前に虹の橋を渡り、半世紀余りも付き添ってくれた妻も半年前に見送ることになった。これ迄の不義理の対価として私が残こされたのだ。人生の後始末を一身に背負う羽目となった。現在の片肺飛行でヨタヨタと頼り無く歩く毎日に励みにしているのがこのSNSである。
道楽の域で始めた物書きだが、なるべく哀しみや泣き言を書かずに楽しいものをと思うが、そうは問屋が卸さないらしい。普段の生活も楽しくありたいと思って過ごしているが、それもやはり思い通りに簡単にはさせて貰えない。
今日も変わらない試練と懺悔の日々なのである。
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