ホリスティック栄養学に納得できる3つのポイント
♢はじめに
「〇〇を食べると痩せる」「疲労回復には〇〇がいい」など、健康維持や美容増進を目的とした文言をよく目に(耳に)すると思います。
次から次といろんな食材や栄養素の名前が出てきて「この前まではこう言ってたのに」「いろいろ試したけどどれも効果が出ない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
栄養士として働いていた頃、「便秘にはこれがいいですよ」「必ず3食食べましょう」などとアドバイスをする中で、私は違和感を感じていました。
「人間ってそんなに単純なものなのかな」と。
その時に出会ったのが、「いま、栄養学が変わる」というホリスティック栄養学を紹介した一冊の本でした。
ホリスティック栄養学は、その食材や栄養素が本当に栄養として吸収されるのかは人によって異なる。
という考え方を前提とした栄養学です。
今回は、ホリスティック栄養学の概要と納得できるポイントを綴りたいと思います。
♢ホリスティック栄養学の概要
「ホリスティック」とは、統合的、総合的という意味があり、「連続してつながったもの」という見方をします。
心と身体をつながったものとして考え、ひとりの人間をまるごと捉えて考える栄養学です。
また、従来の栄養学は栄養素を重視し、人間にとって良いもの、悪いものを判断していますが、ホリスティック栄養学では、栄養を取り込む側である人間の状態を重視しているのが特徴的です。
その人間の状態というのは、まさに十人十色。
年齢や性別、体型、血筋だけでカテゴライズするのではなく、精神状態、取り巻く環境、遺伝子などを含めて考え「人間にとって良いもの・良いこと」ではなく「自分にとって良いもの・良いこと」を見出す方法といえます。
♢納得できる3つのポイント
1.消化吸収を重視している
食べ物を口にして、味やテクスチャーを楽しむことはきっと多くの人が好むことだと思います。
実際に、美味しいものを食べるとセロトニンなどが分泌し、お腹も心も満たされます。
誰かと美味しさを共有出来たら、さらに幸せですよね。
ただ、食べた物がそのあと十分に消化吸収されているか、結果はすぐにはわかりません。
どれだけ良いものを食べても、体内に毒素や有害物質が存在すると、吸収を妨げてしまうこともあるということです。
腸内環境を整え、体内の毒素や有害物質を外に出すことで、必要な栄養素を取り込む準備ができるのです。
2.ストレスに負けない身体づくりを提唱している
人間が「酸化」すなわち「老化」する原因としてストレスが挙げられます。
ストレスを受けると、酸化せぬよう抗酸化物質であるビタミンCを消耗します。
特にストレスの感受性が高い人はより大量に消耗し、やがて欠乏症を起こします。
ストレスを引き金に患う病は、生活習慣病をはじめ風邪、肌荒れ、精神疾患などさまざま。
ストレスは個人の健康を考える上で重視すべきだと、共感できます。
3.「苦しみ長寿国・日本」を変えようとしている
栄養学校に通っていた頃、PPKという言葉を教わりました。
「ピン・ピン・コロリ」のイニシャルです。
「生きているうちは元気で、死ぬときは苦しまずに、周りに迷惑をかけずに早めに逝けたらいいね」という願いが込められた標語です。
あいにく日本は安楽死を認めていませんし、不治の病におかされてもひたすら苦しむしかないようです。
PPKを叶えるには、自分の身体を知り、守り、少しでもコントロールできるように教育する学問が必要になってきている気がします。
♢まとめ
ホリスティック栄養学に納得できるポイントを3つ紹介しました。
日本は健康保険制度が充実しているので「調子が悪くなったら病院へ行き、薬で治す」ことができてしまいます。
その点、医療費の高い諸外国の方々は「病院へ行かずと自力で治す」ことができる人が多いように感じます。
フランス人、オーストラリア人、インドネシア人に「風邪をひいたら病院へ行くか」と質問したところ、満場一致で「NO」。
それどころか「病院なんて行くわけないよ」と笑われてしまいました。
彼らが医者に頼らない理由はともあれ、自力で治せるのは、普段の生活において免疫力や自然治癒力が高まっているからでしょう。
ただ、それには社会的背景や文化的背景があることは否めません。
日本はいくつものセーフティーネットがあることで、国民の生命維持が保障されていますが、それ故、「自分の身は自分で守る」という概念が私を含め、備わっていない人が多いような気がします。
いつかはAIが管理してくれそうではありますが、それはもう少し先の話。
身体的にも精神的にも、誰もができるだけ苦しまずに、晩年を過ごすことができたらいいですよね。
その方法の選択肢として、ホリスティック栄養学がもっと身近な学問になればいいなと思います。
これからもホリスティック栄養学に注目していきたいです。
<参考文献>