「慢性胃炎を放置しない— “ただの胃もたれ”が重大な病気につながるかも？」

要旨

慢性的な胃の不快感を「ただの胃もたれ」と放置すると、長期的に胃粘膜が萎縮する「萎縮性胃炎」へと進行し、さらに胃がんリスクが高まります。原因にはピロリ菌感染や自己免疫性機序が関与し、萎縮性胃炎で胃酸分泌が低下するとビタミンB12や鉄の吸収障害、悪性貧血、神経障害、心血管リスク上昇、神経内分泌腫瘍など全身への影響が懸念されます。症状が続くなら早期に受診し、内視鏡検査で萎縮度や腸上皮化生を確認、ピロリ菌除菌や生活習慣改善で進行・発がんリスクを抑制可能です。胃内視鏡検査でOLGA・OLGIMなどのステージングを用いリスク評価を行い、放置すれば年間1％程度でがん発生も報告されています。また、ストレス管理やバランスの良い食事、禁煙・節酒は胃粘膜保護に有効です。慢性胃炎の段階で適切な治療・予防を行えば、将来の重大疾患から身を守ることができます。軽い不快感を見過ごさず、定期的な検査と対処で健やかな胃の健康を維持しましょう。本稿では医学論文を引用しながら解説します。