『有り難みは無くし易く』
蛇口をひねれば水が出ること。
コンセントを挿せば充電できること。
スーパーに行けばお腹が空いても空腹を満たして命を保てること。
今日も思った通りに体が動かせること。
自分にあいさつをしてくれる人がいること。
一緒に笑ってくれる人がいること。
明日生きることをやめようと思わないこと。
ほんとは有ることが難しいはずのこのようなものたち。
有ることに慣れてしまうとそれはもう無いものになり易い。
意識の外に置いてしまって見えなくなる。
その希少さを忘れてしまう。
「本当にこれでいいのかなぁ。」
雨が降り曇り。
気温だけが高く、気怠さを押し付けられるような気持ち悪さを感じる。
と思えばそんなことはスカッと音を立てるように消えてしまう。
そんな不確かさの間を綱渡りしながら今日も息をする。
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