56_人生100年時代のキャリアデザイン 偶発性を受け入れると同時に、偶然の出来事を自ら引き寄せるアプローチ
皆さま、こんにちは。
新年度がスタートして10日が経ちました。街の桜も見頃を迎え、本格的な春の訪れを感じる日々です。おかげさまで、新入社員研修をさせていただく弊社も忙しくしておりますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
私は毎年春になると、自分が新社会人になった時のことを思い出します。春はこれまでの自分自身を思い返し、内省をするいい機会でもありますね。
さて本日は、新たなキャリアをスタートさせる方も多いこの時期に合わせて、キャリアデザインのお話です。
一口にキャリアデザインと言っても様々ありますが、今回は昨今の新入社員研修に生じている変化と私のキャリアの変遷を切り口に、キャリアデザインについて考えてみたいと思います。
新入社員研修における変化
冒頭でも少し触れましたが、弊社では毎年新入社員研修のご依頼を多く頂戴しています。その際、ご依頼いただく企業様の業界や入社される方のバックグラウンドなどによって、ご用意するプログラムの内容も年ごとに変動するのですが、それ以外の要因により、研修内容がここ数年で大きく変化したなと感じていることがあります。
それが、「キャリアデザインの入り口の話をしてほしい」という要望の増加です。
これは、会社員として「ひとつの会社で、ひとつの専門性を磨き続けることで管理職を目指す」という働き方が、時代にそぐわなくなってきていることによる変化だと感じています。新しい目標を自分自身で見つける力の必要性について、企業側も理解し始めているのでしょう。キャリアデザインを行ううえでは、もちろん転職も選択肢の一つですが、最近では社内公募でキャリアチェンジを支援する企業も増えましたね。
新入社員の時点から会社の研修を通してキャリアデザインについて学ぶ機会があり、各々が自分のキャリアを主体的に築き上げていく時代になったのだと、大きな変化を感じています。
私のキャリアの変遷(ブランド・ハップンスタンスセオリーの実践)
そんなキャリアデザインの一例として、続いては私のキャリアの変遷を共有してみたいと思います。
私は大学時代、臨床心理学を学びました。
「言葉が人に与える力」に関心があり、大学の講義以外にカウンセリングの勉強もしたのですが、目指していた企業内カウンセラーは驚くほどの狭き門であえなく玉砕。
方向転換を余儀なくされ、色々と模索した結果、ホテルマンとして社会人生活をスタートさせることに。ホテルでは法人営業や営業企画、広報を経験しましたが、「どのような言葉を使えばお客様の心を動かすことができるか」に強い関心があり、コーチング・NLPコーチング・脳科学について学び続けていました。
そして、29歳の時、当時勤務していたホテルで開催したあるセミナーがきっかけとなり、「言葉で人に影響を与える仕事をしたい」と退職・独立。「言葉と行動の関係」・「脳科学をビジネスにどう活かすか」という視点から研修事業を展開してきました。
私のこの選択は、キャリア論でいうとブランド・ハップンスタンスセオリーの実践そのものです。
ブランド・ハップンスタンスセオリーとは
スタンフォード大学のジョン・D・クルンボルツ教授らが提唱した理論。
そのポイントは下記の3つです。
変化の激しい現代において、キャリアの8割は偶然の出来事によって形成される
偶然の出来事を利用して、キャリア形成に役立てる
自ら偶然の出来事を引き寄せるよう働きかけ、積極的にキャリア形成の機会を創出する
ブランド・ハップンスタンスセオリーでは、偶発性を受け入れると同時に、偶然の出来事を自ら引き寄せるアプローチが重要だとされています。そのポイントとして、好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心の5つが挙げられます。
好奇心 興味関心のある分野にとどまらず、普段から視野を広げるよう努めること
持続性 失敗してもあきらめず向き合うこと
柔軟性 こだわりや理想にとらわれて、行動や思考を狭めないこと
楽観性 失敗や困難もポジティブに捉えること
冒険心 リスクを恐れず行動すること
私のキャリアに目を向けると、「言葉」に対する好奇心を持ち続けていたこと(①好奇心・②持続性)が、キャリアが良い方向へ転換した要因になっていると分析することができます。
そして、コーチングで学んだスキルのうち、①好奇心と④楽観性を高めるための手段として、「リフレーミング」の考え方が大きな効果をもたらしています。
以前は未経験の難しい仕事が目の前にくると「大変だなあ」と思っていましたが、リフレーミングを学んでからは、「大きく変わるチャンスだ」と捉えられるようになりました。すると、変わるための方法に意識が向くようになり、課題解決につながるように。また物事がうまくいかなかった際も、失敗だと捉えるのではなく、「この方法では成果につながらないと分かったので、他の方法を考えればよい。一歩前進だ!」と捉えることでポジティブマインドを手に入れることができました。
さて、新入社員研修に話を戻しましょう。
新入社員に向けてキャリアデザインの話をするにあたり、企業には「私たちはあなたのキャリアデザインを応援します」と宣言する姿勢が求められます。社員が「この会社では自分のキャリアの安全性は担保されない」と感じると、退職へとつながりやすくなるためです。
一方、新入社員にはブランド・ハップンスタンスセオリーの「予期せぬ偶然の出来事にベストを尽くして対応する経験の積み重ね」を大切にしてほしいと考えています。偶発的なことが起こるのをただ待っていても、よりよいキャリアが形成される訳ではありません。「ベストを尽くして対応する経験の積み重ねで、よりよいキャリアが形成される」ことを忘れず、日々の経験を大切にすることからキャリアを切り拓いてほしいと思います。
現在は100年人生とも言われていますが、新入社員の皆様にはあと75年あります。意図せぬ失敗や希望しない部署への配属等、気持ちが折れそうなときに、この理論を思い出していただき、次の新たな一歩を踏み出してほしいと思います。
そして60歳の方にも、まだ40年あります。偶然の機会を積極的に増やすよう行動することで、キャリアが広がっていく可能性が高まることをプランド・ハップンスタンスセオリーは示しています。そう言われると勇気が出ませんか?私は自分の経験からも、人はいつでも変われると考えています。
学ぶことや自分を深く知ることが、皆さんを支えます。学ぶことを楽しむ、学んだことを実践してみる、そんなスモールステップを始めるのに、4月は最適です。
ぜひご自身や部下の方のキャリアデザインを考えるきっかけとしてお役立てください!
★お知らせ★
4/23(火)12:00-12:45にライフ&キャリアデザインコーチングに関する無料ウェビナーを開催いたします。カメラ・マイクオフでご参加いただけますので、ランチタイムにお気軽にお越しください!
また、弊社では対面研修に加えて、Deliveruでのオンライン動画研修も提供しております。お忙しいビジネスパーソンの皆さまには、業務内のすきま時間や寝る前の一人時間での学習にご活用いただいております。
様々なテーマ別研修をご用意しておりますので、ご関心に合わせてお役立てください。
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