「フランスいにしえの吐息」録音プロジェクトに寄せて⑥
【「フランスいにしえの吐息」録音プロジェクトに寄せて⑥】
昨日、CDのデザインをお願いするため
打ち合わせに行きました。
その流れに乗って
マレの1巻と2巻の初版本
そして、チェンバロソロとして
収録されている曲が入った
クープラン「クラブサン曲集第4巻」
1730年版(1733年に増刷されたもの)を探し
なぜか一緒に
ブラームスとクリュザンダーが
1888年に編集出版したものも見つけました。
私はチェンバロの楽譜を
あまり数多く見ていないのですが
ブラームスとクリュザンダーによるものは
書き換えてはあるものの
余計な後世の解釈が入らず
きちんと、クープランの意志を
伝えようとしているように見えます。
今、準備しているCDの
作成作業とはずれてしまうので
オーバーワークになり
ここで掘り下げることはできませんが
いつか、クリュザンダーによる編者序文を
しっかり読んで
当時の彼らの想いや
背景にある時代的機運に触れてみたいです。
きっと、ブラームスは自身で
この組曲を演奏したことでしょう。
それは、どういう楽器で
どういう演奏だったのでしょう。
ブラームスといえば
現存する演奏録音の中でも
最古の部類に入りますが
残念ながらノイズがひどく
心地よく鑑賞することはできません。
古楽演奏は無意識に感じていたより
もっと歴史的に深く
そして、更に100年後、200年後…
私達現代演奏者の記録も
きっと沢山残っているでしょうから
未来の人は何を想うのか
果てしない時の流れに想いを馳せ
過去の作品への畏敬の念
そして、それらを演奏という形で
今を生きる人と共有する営みは
19世紀、20世紀、21世紀
更にその後も変わることがないのだろうなと
胸が熱くなりました。