ひと呼んでミツコ
姫野カオルコさんの作品です。
一読して「『フォーリング・ダウン』みたい」と思いました。真面目なサラリーマンが、ある日突然キレてムチャクチャするという映画でしたが、「真面目な人がムチャをする」というところだけを取って、ということです。
あとは何も似ていませんでしたから。向こうはアメリカでこっちは日本だし、アメリカはサラリーマンのオッサンで日本は女子大生だし、オッサンは銃で女子大生は超能力ですからね。
でもこちら(まるで自分の作品みたいに言って大変恐縮ですがもちろん姫野さんの、という意味です)の方が先の作品なのですね。姫野さんの先見に感服いたします。
今ではさすがにここまで横柄な輩はいなくなりましたが(その点時代は良い方向に流れているのかもしれません)、当時公共の職員や上司と呼ばれる立場の人間にはあからさまな上から目線の奴がいましたから、何もかもぶちまけたくなった経験は誰しもがあるのではないでしょうか?
しかし実際にぶちまける訳にはいかない。いろいろなしがらみがありますし、何より自分が可愛いですからね。そこでミツコが代わりにぶちまけてくれる訳です。そして溜飲を下げ、「よし、明日は俺だって言いたいことを言ってやるのだ」と寝る前に真っ暗な天井を見上げ思う訳です。
次の日の朝になったら前の晩の決意は忘れ、いや、忘れたフリをし、世の不条理にグッと耐え忍ぶ。その繰り返し。
みなさん、お疲れさまです。