神社にまつわるエトセトラ
こんばんは。
守護神鑑定師の龍月。(きみつき)です。このblogを読んでから行くともっと面白くなる神社にまつわる豆知識です。
初詣など折に触れ訪れる神社。
気がつくと、神社について、参拝の作法について、なんとなく「知っているつもり」になっていませんか?
そもそも、神様についても、実はよくわかっていなかったり…。
そこで今回は、最低限知っておきたいことをまとめてご紹介します。
これで神様とのいい御縁が結べるはず!
1 「八百万の神」といいますが、神様は本当はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?
『古事記』『日本書紀』に登場する天照大神(アマテラスオオカミ)に素戔男尊(スサノオノミコト)、大国主神(オオクニヌシノカミ)などの神々はもちろん、全国の神社の御祭神。家々が独自にお祀りしている氏神やその土地の守り神である産土神、道祖神など。とはいえ、「万物に神が宿る」というのが古来、日本人が抱いてきた考え方。道端の石や花、服や日用品、髪の毛などといった物質から、技術や空気といったものにまで名もなき神を感じてきたのです。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)など造化三神という神様は、実はヒッグス粒子の働きに近いという話もあります。素粒子にも神様がいるとしたら、八百万(やおよろず)では済みませんよね。
2 鳥居はなんのためにあるのですか?
「ここからは神域ですよ」という目印、門のような役目があります。なぜ鳥居というものができたのか、そもそもなぜ「鳥居」というのかは諸説あり、正確にはわかっていないのですが…語源に関していえば、「神様の使いである鳥がとまる場所だから」「人々が“通り入る”から」などといわれています。いちばん古い形が神明(しんめい)鳥居、大社鳥居、次いで明神鳥居。そこから八幡鳥居、春日鳥居、住吉鳥居、山王鳥居…と多様化していきました。現在、最も多いのは明神鳥居。材質や色も、伊勢神宮は白木、稲荷神社は赤、と統一されている神社はあるものの、形、色、材質にいたるまで、基本的に制限はありません。また、神社側や寄進者の意向に委ねられています。春日大社に寄進するからといって、春日鳥居にしなければならない決まりはありません。
3 境内はどこを歩いてもいいのでしょうか?
神域である境内で、瑞垣(みずがき)に囲われていたり、注連縄(しめなわ)が張り巡らされている所は“さらなる神域”。
入ってはいけない場所になります。
また参道の中央は“正中(せいちゅう)”といって神様がお通りになる道なので、私たちは遠慮しましょう。
宇治橋など伊勢神宮にある橋には、中央部分に板を敷き、人が歩けないような工夫が施されています。
また、鳥居をくぐる際は、立ち止まって脱帽し、まず一礼。
帰るときも、鳥居をくぐった後で本殿の方へ向き直り、一礼するのが望ましいとされます。
神道には、“進左退右(しんさたいゆう)・起右座左(きゆうざさ)”という作法があります。
神様に向かって進むときは左足から、下がるときは右足から。拝殿などで正座をする場合、立つときは右足から、座るときは左足からという意味になります。
間違えたとしても咎められはしませんが、次に参拝に行かれる際、鳥居を左足で越せば、神様に近づく作法によりかなうものとなるでしょう。
4 日本で最も古い神社は?
大神(おおみわ)神社(奈良県)、住吉神社(福岡県)など、2000年以上前の創建が記録されている神社も多いのですが、“神社”の定義によって答えは変わってきます。
万物に神を見いだす日本人は古来、山や海、大きな木や岩、滝などを神そのもの、または依り代(よりしろ)として手を合わせてきました。
鳥居や社殿はなくても、そこは祈りを捧げる場、神域であったのです。
そもそも神社に社殿ができたのは、6世紀に仏教が伝来し、立派な寺院が建てられたことに影響されたためといわれます。
神様は仏像のような実体を伴いませんから、社殿は必要なかった。
神事を行う際は、神籬(ひもろぎ)や磐境(いわさか)などという祭祀施設をつくって、そこにお迎えするという形をとっていたんです。
約4千年前の三内丸山遺跡(青森県)や紀元前3~4世紀ごろ纒向(まきむく)遺跡(奈良県)からも祭祀遺物は発掘されています。
少なくともそのころから、“神社”にあたるものがあったのです。
5 狛犬はなぜ対で置かれているのですか?
一説には、男女を表しているといわれます。
向かって右が雄、左が雌。
異なるふたつが合わさって完成するという陰陽の思想です。
狛犬は「高麗犬」と書くこともあるように、大陸から日本へと伝わってきたもの。
口を開いた「阿(あ)」と口を閉じた「吽(うん)」=「阿吽」の形態は日本独特のもので、仏教の仁王像の影響と考えられています。
狛犬は外敵から神様を守る霊獣。
稲荷神社の狐、山王神社の猿、春日大社の鹿などは眷属(けんぞく)、神様の使いで両者は役割が違うのです。
6 拝殿と本殿の違いはなんでしょうか?
拝殿は祈りを捧げる人間のためのもの、本殿は鎮座される神様のためのもの。
本殿には神職も礼を尽くして入ります。伊勢神宮が御正宮(本殿)のみで、現在も神職がその前の地面に座る形で神事を行っているように、古く、拝殿はありませんでした。
拝殿がつくられるようになったのも、雨に濡れないようになど、人のためのものでした。
神様と人間のいる場所を一緒にしなかったところに、日本人の神様への思いが表れているように思います。
7 注連縄を張る意味を教えてください
『天岩戸(あまのいわと)』神話で、天照大神が岩戸からお出ましになられたとき、「二度とお戻りにならないように」と入り口に張られた尻久米縄(しりくめなわ)が注連縄(しめなわ)の始まりといわれます。
注連縄はここから先は神域であるという標識、結界を表すもの。
一般的なのは前垂(まえだれ)注連縄。
ほかに大根注連縄、牛蒡(ごぼう)注連縄などありますが用途に違いはありません。
また、現在の縄は稲わらでできたもの。
そこに下がる紙垂(しで)は稲妻を表しています。
稲妻は稲に実りをもたらすと考えられていたのです。
8 ご神木のほかにも大きな木がたくさんあるのはなぜですか?
古来、神様は空の上から高い木に降りてくると考えられていました。
ご神木となっている木は神様の依り代となったもの。
大切な依り代を守るために、人々は周りにさまざまな木を植え、やがて鎮守の森となっていきました。
森は「杜」とも書き、神社そのものを表す言葉でもあります。
都心とは思えないほど緑濃く息づく明治神宮の森も、明治天皇が崩御された後、一から造営されたもの。
日本人にとって神社と鎮守の森は切り離せないものなのです。
9 社殿の上に載っている木にはどんな意味があるのでしょうか?
天に伸びている部分は「千木(ちぎ)」、横に並ぶ円筒形の木材は「鰹木(かつおぎ)」といいます。
古来、天皇の宮殿と神社にのみ許された装飾です。
千木は風避け、鰹木は屋根の重しという実用性もありますが、千木は「神様が降りてこられるためのアンテナ」と語る神職もいます。
千木の先が地面に対し垂直なものは「外削ぎ」(鰹木は奇数)と呼ばれ男神に多く、平行な「内削ぎ」(鰹木が偶数)は女神に多いようです。
10 拝殿に鈴が付けられているのはなぜですか?
鈴の音によるお祓いという説や、参拝に来たことを神様へお知らせするためという説、神様からの「聞いてますよ」という合図であるという説もあります。
お賽銭を入れるのが先、鈴を鳴らすのが先…と、神社によって参拝順序が違うのはそのためですが、順序よりも大切なのは心を込めて静かに鳴らすこと。
鈴はあなたと神様をつなぐ、大切なものなのですから。
11 ご神体とはどんなものなのでしょう?
2013年、出雲大社、伊勢神宮の遷宮で、厳かに新しい宮へと遷られたご神体。
闇と絹垣(きぬがき)に包まれた渡御(とぎょ)の列は、その神秘性をますます高めるものでした。
伊勢神宮のご神体が、天照大神が「これを私の御魂と思って奉りなさい」と託された八咫(やた)の鏡であるように、鏡や剣、玉などが多いですね。
基本的に神様の依り代であり、どんなものであるかを隠すべき神聖なものです。
12 どうして境内にいくつも小さな社があるのですか?
小さな社(やしろ)は「摂社(せっしゃ)」「末社(まっしゃ)」と呼ばれます。
摂社はその神社やご祭神とつながりのある神様を祀っているもの。
末社は別の神社から勧請されたものになります。
江戸時代、全国に18万社あった神社が明治政府の政策によって、12万に減らされ、戦後はさらに減り、現在は8万社ほど。
末社は神社を失った神様を祀ったものですが、その土地で古く信仰されてきた神様に変わりはありません。
13 同じご祭神があちこちの神社に祀られているのはなぜですか?
神様が分身の術のように御霊を分けることを“分霊”と呼びます。
分霊はその神様のご神徳が広く行き渡っていくということ。
よいことと考えられていたのです。
氏神を大切にした日本人は古来、新しい土地へ移るときは必ず氏神を分霊し、その土地に祀りました。
源頼朝が信奉していた八幡神は全国に2万社以上、菅原道真を祀る天神社(天満宮)は1万2千社にものぼるといわれます。
14 「○○神宮」と「○○大社」、どこが違うのですか?
神宮、大社、神社など、社名の最後に付く称号を「社号」といい、社格やその神社の由緒がわかるようになっています。
戦前までの神宮は、天皇家にゆかりが深い神、または建国において大きな働きをした神をご祭神として祀った所です。
伊勢神宮、明治神宮は前者、鹿島神宮、香取神宮は後者になります。
そもそも「神宮」とは、伊勢神宮のことを指す言葉でした。
大社は、出雲大社の大国主神をはじめ、もともとその地にいた神様“国津神”を祀ったものが基本的には多いとされます。
神宮、大社がつく神社は社格の高い神社。
それ以外の神社、宮、社などは大きな差はありません。
戦後、皇大神宮、大神宮という神社も多くなりましたが、神宮とは直接関係はなく、「大」が付くからといって格が上ということもありません。
いかがでしたか?
「全部知ってた」っていう人は、かなりの神社通か神道をご存知の人ですね。
今後神社に行かれる際は、このblogの内容を思い出しながら、参拝してみてください。