並行輸入阻止を目論んだオメガの著作権濫用 米国著作権訴訟
30歳になった記念にオメガのスピードマスタープロフェッショナルを買いました!
この時計そのものについては別記事で論評しようと思いますが、今回はこの時計のケース裏に見つけた謎のロゴについて取り上げます。
以下は言うまでもなく所属組織等に関係なく個人的見解です。
なんだこのロゴ
意匠的に大きく付けるのとは違い、中途半端な大きさ。
拡大すると、、、
何のために?
管理やその他の目的で文字やロゴを入れることはあるだろうけど、周囲の刻印と比べても少し安っぽく感じるこんなロゴをなぜ入れたんだ?
と思い、調べてみました。
するとなんと!並行輸入を差し止める目的で、わざわざ入れられた著作物だということです!
日本では以下の通り著作権が国内だけでなく国際的にも消尽することががっつり規定されているので、113条10項に規定される外国向けレコードを除いて並行輸入対策に著作権が登場することは無くなりました。
米国では著作権の国際消尽については通説が固まっていなかったということで、並行輸入対策のためにこのロゴが付けられているそうです。
そして実際、オメガ製品の並行輸入を米国で行うコストコに対してオメガが著作権を主張したということです。
https://cdn.ca9.uscourts.gov/datastore/opinions/2015/01/20/11-57137.pdf
判決文をご覧いただけば分かりますが、オメガがこのロゴを使いだしたのは2003年で、2004年以降のコストコの並行輸入に対して著作権侵害を主張しています。
判決ではこの著作権の主張は時計小売市場におけるコストコとの価格競争排除が目的で、顧客からコストコで安価に時計を購入する機会を奪い反競争的で、著作権の悪用・不正使用であると認められました。
著作権は権利期間が長く、商標法と異なり指定商品の限定もなく、商標的使用でなくとも保護されるという特性、また情報のコントロールなどにも使えるということから、いろいろな使い方をされます。
このような本来の趣旨から離れた濫用的な権利行使に対しては厳格な判断がされるのは好ましいですね。
とはいえ、2015年に敗訴したオメガはなぜ2024年現在もこのロゴを使い続けているのでしょうか。
世界中のあちこちで彼らの並行輸入対策は続いているのかもしれません。
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