応用美術の著作物性が認められたトリップトラップ事件で有名なトリップトラップの著作物性が否定される高裁判決が出ました!
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/391/093391_hanrei.pdf
令和5(ネ)10111 不正競争行為差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟
令和6年9月25日 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所
例のTRIP TRAPという子供椅子について、真似た製品が不競法2条1項1号と著作権侵害にあたるかという事件でした。
不正競争防止法2条1項1号について、
周知性は
として認めたうえで、
類似性については
と否定され、不競法2条1項1号は否定されました。
次に著作権についての判断です。
工業製品のデザインを保護する制度として意匠法がある中で、著作権の考え方について、
として、著作権で保護される美術工芸品は実用的な機能と切り離して独立の美的鑑賞の対象とすることができるようなものに限定されると判断し、そのうえで本件については
として著作物性を否定しました。
さらに仮に著作物性があったとして被告製品が侵害を成立させるのかについて、
として侵害の余地を認めませんでした。
以下の前回の事件と逆の判断がされちゃったということです。
https://www.ip-bengoshi.com/archives/3459
TRIPP TRAPPⅡ事件
【平成26年(ネ)第10063号(知財高裁H27・4・14)】
まあ、この程度で著作物性を認めていたら意匠権の出る幕が無くなってしまう気がしますし、妥当な判断ではないでしょうか。
著作物性については厳しめに判断された方が自由な利用が進んで皆様やりやすくなると思うので、個人的には肯定的に受け止めています。