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[ローカルキャリア#05] 社会起業家支援に取り組む中間支援組織のお仕事
国は2022年を「スタートアップ創出元年」位置付けるなど、スタートアップや起業に注目が集まっています。
そして、その背後には、起業家の支援を担う中間支援組織の存在があるわけですが、その日常は中々表に出ません。
ー中間支援組織って何なんだ???
という問いについて、仙台・東北で社会起業家エコシステムの創出に取り組む中間支援組織で働く業界歴2年の神尾のお仕事から覗いてみようと思います。
もちろん、中間支援組織も様々あるわけですが、一例としてご覧ください!
1. 基礎情報
🙋♂️神尾しんたろうについて
2019年に岩手大学農学部を卒業後、岩手県の観光DMCに就職。事務局担当として商品開発業務やイベント企画・運営業務等を担当。同年に、IT・人材育成事業を展開する会社を起業し、取締役として従事。プロボノ事業のコーディネート等、地域企業支援にも取り組む。 2021年よりINTILAQプロジェクトに参画。プロボノプロジェクトや社会起業家育成プログラム、小中高大生アントレプレナーシップ教育プログラムなどのプログラム企画運営業務を担当。
🏢所属組織(INTILAQ)について
<INTILAQ東北イノベーションセンター>
INTILAQは、「起業家育成・⽀援」を⽬的とした活動です。起業家のみならず、⼩中⾼⽣、⼤学⽣、主婦の⽅も含め新しいことにチャレンジする「マインドの育成」、アイデアやビジネスチャンス創出のための「きっかけの場づくり」、そしてオフィスや資⾦提供まで、総合的に「ココロイキルヒト(*1)」を⽀援しています。既成の枠組みや考え⽅越えて新しい東北を創り出す⼼意気を⽀援し、この活動を⽇本のみならず、世界に向けて発信していきます。
*運営団体:一般社団法人IMPACT Foundation Japan
*INTILAQ HP(https://intilaq.jp)より引用。
*1 ココロイキルヒトとは
⼼意気(チャレンジ)、⼼⽣きる(感動する)など複数の意味を有する東北起業家を指したオリジナルのコトバです。
東北をきっかけとした「姿」がこのコトバにはあり、他⼈事ではない⾃分ごとであることに気づきをもたらすコトバです。
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2. 神尾のお仕事紹介
📝社会起業家育成支援プログラム 事務局
仙台市が主催する、社会課題解決型の起業家育成プログラム(通称、SIA)の事務局業務。仙台・東北に社会起業家が生まれ育つエコシステムを創るという青写真を描き行われているプログラムです。
*SIA HP:https://www.social-ignition.net/sia
*2022年5月にはSIA卒業生の取り組みやソーシャルインパクトをまとめた調査レポートが発行されました。
https://intilaq.jp/wp-content/uploads/2022/05/ImpactReport2022.pdf
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📝プロボノプロジェクト事務局
経済産業省東北経済産業局が主催する、中小企業支援を目的としたプロボノ事業「東北プロボノプロジェクト」の事務局業務。震災後の地域企業支援や中小企業における外部人材活用といった文脈で行われるプロボノプロジェクトです。
*東北プロボノプロジェクトHP:https://tohoku-probono.mystrikingly.com
*2023年3月にはこれまでの事例を取りまとめた事例集が公開されました。
https://www.tohoku.meti.go.jp/s_sangi_jinza/topics/230310.html
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📝小中高大生アントレプレナーシップ教育プログラム 運営
仙台市、東北大学など行政、学校が主催する小中高大生アントレプレナーシップ教育プログラム企画運営に係る業務。次世代人材の育成(熱い想いを持ち自ら1歩踏み出す”ココロイキルヒト”を育む)を目的に行っています。主担当として取り組んでいる大学生向けアントレプレナーシップ教育プログラム「Social Innovation Accelerator College(通称、SIAC)」は2期目を終えました。
*SIAC HP:https://social-innovation-accelerator-college.mystrikingly.com
*2023年2月にはSIACが東北大学「未来創造・価値工房・異能発掘 アントレ人材育成プログラム」の実践教育プログラムの1つとなりました!
https://mirai-entre.org/entre_challenge/sendai/
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📝創業塾「マーケティングと資金計画」講師
2022年は、宮城県白石市主催の白石市創業塾にて「マーケティングと資金計画」講座の講師を務めました。
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📝広報関連業務
プログラムやイベントのチラシ・バナーの作成、イベント後のレポート記事作成や、SNSの発信、HPの作成・運用、プレスリリースの作成、メールマガジンの配信などを行なっています。
日本・世界において社会課題解決に挑む起業家・支援者の方々をゲストに招いて実施されるイベント「仙台ソーシャルイノベーション・ナイト」の様子をまとめたイベントレポートは手前味噌ながらオススメです。
<2021年度作成記事>
#01
仙台・東北発で広がる社会インパクト
~Capital of Social Innovationを目指して~
#02
医療介護分野でのソーシャルイノベーション促進に向けて
〜仙台・東北で生まれる新しい医療・介護のカタチを探る〜
#03
仙台・東北が豊かで幸せな暮らしを持続させていくために
〜豊かさを作り出す垂直的統合について〜
#04
『野遊び』から広がる本気の地方活性化
〜楽しみながら地方の本当の価値を見つけ、活かす仕掛けづくり〜
#05
「サーキュラーエコノミー」の理論と実践
〜全国、そして東北の実例から学ぶ〜
#06
社会課題先進地域から生まれる新しい地域ビジネスのカタチとは?
~島根県石見銀山と宮城県石巻市の事例より~
#07
サステナブルな社会のためのサステナブルなビジネス、サステナブルな個
〜社会起業家の成功と成長の秘訣を探る〜
#08
メディアが向き合う社会課題・地域課題解決
〜INTILAQ x NHKで語りあう課題解決の現場〜
<2022年度作成記事>
#01
社会インパクトの最大化とそれを実現・持続させるビジネスのカタチとは?
~株式会社和えると認定NPO法人マドレボニータの事例より~
#02
地域のソーシャルスタートアップから世界を変える
#03
サステナブルファイナンスが拓く地域の未来
#04
誰もが活躍する社会をイノベーションで築く
#05
ビジネスとサステナビリティ
~ソーシャルインパクトの土台としてのビジネスと人権~
#06
地域におけるインパクト投資の可能性を考える
〜日本・世界のインパクト投資動向・事例と地域活性化の可能性〜
#07
「ココロイキルヒト」たちの未来予想図
~東北ソーシャルイノベーションサミット受賞者たちのこれからを探る~
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<HPたち>
今は、ノーコードでHPを作れてしまうんですね。!
東北プロボノプロジェクトHP:https://tohoku-probono.mystrikingly.com
SIAC HP:https://social-innovation-accelerator-college.mystrikingly.com
📝その他諸々
その他諸々と一括りにしてしまいましたが、この定義化しにくい業務(=”諸々”)の広さ・深さが中間支援組織ならではのものかなと。
大きなところでは、行政の皆さんがクライアントなので、事業の企画書・報告書を作成したり、それに紐づく調整をしたりなどなどがあります。そして、その裏側では、全国の類似・先行事例をサーチしたり(時には実際に現場に覗きに行ったり)、本・調査書・研究資料を読んだりしながら、自分自身の仮説を問い直したり、思考の引き出しにアイディアを入れたりしていきます。
📝+αのお仕事など
中間支援組織でのお仕事だけでなく、副業として参画をしているお仕事もとても大切にしています。
=====
・「いわて環境塾」運営等業務(岩手県、2020-2022)
・NPO等による復興支援事業(交流会事業)(岩手県、2022)
・「いわて若者カフェ」企画・運営等業務(岩手県、2023)
・TOMODACHIサマー・ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム2.0(公益財団法人 米日カウンシル-ジャパン、2023)など
=====
それぞれ、#環境、#復興、#場づくり、#グローバル と起業とは別領域ですが、全く違うように見えて意外につながっている部分(環境や復興に関わる起業家が本業の支援大賞になったり、場づくりやグローバルにおいて受益者となっている若者はアントレ教育との親和性をもつなど。)も多くあります。また、これら別領域の考え方や実際の取り組みから本業に活きる気づきも多く得られます。
3. 中間支援組織でのお仕事とは
中間支援組織と呼ばれる組織で活動を始めて2年が経ちました。
(前職の観光DMCも、観光領域の中間支援組織でしたのでそれも含めるとはや4年に。!)
最後に、中間支援組織って何なのか?という最初の問いに立ち返ってみます。
中間支援組織という組織でのお仕事に浸かってみて思うことは、
「我々の役割は、”支援者”ではない!」ということです。
では、中間支援組織が持つ役割とは何なのか?
今、神尾が考える中間支援組織が持つ役割の仮説は、「より良い社会を描くための旗を立てる(青写真を描く)」+「立ち上げた旗に共感してもらえる仲間を集める&社会に共感の輪を広げていく(そのためのアクションをする)」というものです。(強いて表すとすれば、”提案者”ですかね。)
我々、INTILAQの場合、下記のような旗が掲げられていて。
🚩社会課題をビジネスで解決する社会起業家が生まれ育つエコシステムを東北に創る
🚩起業家のみならず、学生・会社員含め、熱い想いを持ち自ら1歩を踏み出す人(=ココロイキルヒト)を東北に増やす
その旗の元に、
ー仲間を集めるべく、社会起業家育成支援プログラムや次世代アントレ教育などを
ー共感の輪を広げるべく、プロボノプログラムや各種イベントなどを
を行なっているという整理となるかなと。
以上、『社会起業家支援に取り組む中間支援組織のお仕事』についてでした!
中間支援組織のお仕事について少しでも知っていただけたら嬉しいです。
(そして、仲間になっていただけたらこの上なく喜びます!)