親御さんを焦らす記事を書きなさんな
ベネッセはまだこういう記事書いとんのか。
取材に答えてる先生は別に悪くないけど、タイトルと文章の醸す雰囲気がアカン。子どもに早期に時計を読めるようにし、親がラクにできるようにしよう、という前のめり感が出てる。それ、記事の先生がアカン言うてるやん。
https://shimajiro.benesse.ne.jp/contents/column/tokei/
記者はどうやら、
①子どもが早くに時計を読めるようにしよう
②時間通り動ける、親に都合の良い子どもに育てよう
という二点をこの記事で伝えたい、という前のめりな姿勢が強い。でもたぶん、記事に登場する先生は2つとも戒めるタイプだと思う。その意味で、記者は先生の意図を裏切ってる。
また、読者である親御さんたちをも裏切っている。この記事を読んだ親御さんは、記事の先生が警告したことは多分すっぽ抜けて、「時計の見方を早くに子どもに身に着けさせなければ!そうすることで親の意のままに動く子どもに仕立てなくては!」という、記者が醸す雰囲気の方に飲まれることだろう。
親御さんたちは、子どもたちに数字の感覚を身に着けさせたい、時計を読めるようになってほしい、行動を時間管理できる手のかからない子どもに早くなってほしい、と、前のめりな人も少なくなかろう。記者は、読者のそうしたニーズに応える記事を書こうとしてるのだろう。でもそれ、子どもを見ていない。
子育てで大切なこと。子どもは子どものペースでしか成長しないという現実を認めること、親の都合を押し付ければ大概トラブルになるということ。もし親の願望や都合を押しつければ、「助長」になる。
昔、ある男が隣の畑のほうが苗の育ちがよいのに腹を立て、自分の畑の苗の成長を助けようと、上に引っ張った。その結果、根が切れ、翌朝にはみんなしおれて枯れてしまったという話。
子ども自身の成長速度に任せる、委ねる気持ちを失い、親の願望、都合を押しつけると、この「助長」になる。
記事の先生が警告してる「パンクする」になる。親が焦って時計を読めるようにと押しつけがましさを発揮し、その熱を鬱陶しがる子どもにしてしまい、親の期待通り、願望通りにならない子どもに親がバクハツし、それに子どもがさらに反発し・・・そんなご家庭が増えるのが目に見えるよう。
私も複数回、子育て記事のインタビュー受けたけど、記事をことごとく修正してもらっている。「これでは親御さんが焦ってしまう。焦って前のめりはトラブルのもと。「子育ては焦らなくていいんですよ、どっしり構えて待つのが吉」という空気の文章に改めてもらった。
なるほど、親も保育園に預けたあと仕事に向かわねばならない。子どもがテキパキ動いてくれたらありがたいだろう。でも、苗の育ちは苗に任せる、委ねるしかないように、子どもの成長も子どもに委ねるしかない。いや、子どもにさえどうしようもない部分がある。生理的なものでもあるから。
明日までに背を10cm伸ばせ、というのが無茶なように、子どもの成長を促そうというのも無茶。「助長」になってしまう。親ができるのは、記事の先生が指摘してるように、時計を使った声かけを早めから始めるけど、子どもの中に根づくのは子どもの成長に委ねる、ただそれだけのこと。
いつまでたっても時間の感覚が育たない、と感じるかもしれないが、仕方ない。それが子どもなんだから。それでも、年をとればいつしかできるようになっていく。焦ったって早くはならない。子どもの生理的な成長に任せる、委ねるしかない。記者も、そのことをきちんと踏まえて頂きたい。
そうでなくても焦りがちな親御さんを焦らせたらアカンやん。それは、子育て記事を書いてる記者なら、わきまえておかなアカンこと。何より、記者の記事をチェックする編集長がわきまえておかなアカン。こんな、子育てに有害な空気充満させた記事を世に出してどうすんねん。ベネッセ、しっかりせい!
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