雑草からエネルギーを得る超優秀な方法

2000年代前半まで、バイオエタノールの研究が盛んにおこなわれていた。しかしコメなど食料を原料にすると、食料不足になってしまうかも、ということで、雑草を原料にする研究もおこなわれていた。一応、技術的には可能なのだけれど、結局は実用化されることなく終わった。なぜか。

エネルギーとして得られるバイオエタノールより、それを製造するまでに消費するエネルギーの方が多いから。雑草を原料とする場合、雑草を刈り取るときにエネルギーを消費する。刈り取った雑草を集めるのにも、その雑草を発酵槽に運ぶのにも、発酵させるのにも、発酵後に蒸留するにも。

製造前にバカバカしいほどエネルギーを消費してしまうので、バイオエタノールを作れば作るほどエネルギーを失ってしまうという皮肉な状態。しかもバイオエタノールでエンジン動かしても、その効率も必ずしも高いわけではない。というわけで、雑草を原料に燃料を製造するのはまったくペイしない。

ところが。馬や牛のような畜力だと話が違う。牛馬は自分から草を食べるために移動できる。人間が移動して草刈り機を動かす必要がない。食べた草は消化されて、そのまま馬や牛の機動力に変わる。どえらくエネルギー転換率が高いものと思われる。このへん、研究する必要がある。

合田真氏によると、牛馬に草を食べさせ、彼らに発電機を回してもらえば、バイオエタノールを雑草から製造するのとは比較にならないくらい効率的にエネルギー(電気)を製造できるのではないか、という。その研究を開始したいわけだが、予算申請しても通らないという。なぜだ!

牛馬を用いるという時点で「ふざけている」と思われてしまうらしい。残念。確かに、どうやって牛馬を自在に操るか、思ったとおりに動いてもらえるかという点に技術的課題がある。しかしその点は、牛馬を操る天才・岩間氏がいる。今後、第二の岩間氏を育てれば、普及も可能だと思われる。

これまで、雑草はエネルギーとして利用しようがない、無駄な資源だと私は思い込んでいた。せいぜい、田畑に鋤き込んで肥料にすることができるくらい、と考えていた。しかし牛馬が食べるなら、トラクターに負けない機動力になり、恐らく発電も可能になる。まさに目からウロコ。

牛馬などの畜力を利用するという視点を取り入れるだけで、いろんな可能性が出てくる。この古くて新しい動力を、最新の技術と組み合わせて利用するには、やはりもう一度改めて研究し直さなければならない。予算申請を審査する側も、そして研究者も、意識を変えてほしい。これ、きっとすごいよ!

追伸

合田真さんからの情報提供。セネガルでは58万頭の馬が荷馬車を日常で引いているそうです。荷馬車に自転車のダイナモより出力の高い発電機をつければ、帰宅時にスマホの充電や照明に十分な電力を蓄電できるものとみて、実証試験してるそうです。

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