指示通りの仕事と自分で考えた仕事と

指示を細かく出されて失敗した場合「言われた通りにやっただけ、俺はちっとも悪くない」と部下も無反省になりがち。無反省だから同じ失敗を平気で繰り返すようになる。
指示を出さず、問いかけによって部下から考えを引き出し、本人の考えたやり方に任せた場合、そして上司が失敗を許容した場合、

部下は思ったとおりにならなかったことを悔しがり、なぜ失敗に終わったのかを考える。だから次にどうすればうまくいくのかのアイディアも湧く。これを繰り返すと、失敗が非常に少なくなり、臨機応変の力もつく。

上司から指示命令されたことは、自分が実行部隊だとしても他人事。言われて仕方なくしたこと。受動的。楽しくない。楽しくないから考えない。失敗しても悔しくない。失敗したのは指示を間違えた上司のせい。そう思っているのがわかるから上司も腹立つ。だから失敗を責める。部下は反発する。関係性が悪化しがち。

部下が、全部ではないにしろ、自分で考えたアイディアで仕事を進めていると思える場合、自分事になる。人から言われたのではなく、自分で考えたことだから楽しい。楽しいからよく考える。よく観察する。失敗したら悔しい。なぜ失敗したのかを考え、観察し、次に生かそうとする。能動的。

指示命令し、失敗を許さない上司の場合、部下を指示待ち人間、あるいは指示通りにさえできない人間に育て上げ、失敗しても無反省、取り組むにあたって思考停止、関係はどんどん悪化、という悪循環になりがち。

指示や命令を極力せず、問いかけによって何をしたらよいのか部下自身に考えてもらい、答えてもらい、それを採用する形とし、失敗しても「特に教えてないのだから仕方ない」と許容するなら、部下は悔しくて何とか次はうまくいくようにしようと努力する。

もちろん、してはいけない失敗がある。お客さんなど、人間相手の仕事は特に。その場合、失敗させてしまうと取り返しのつかないほど部下は心が挫ける。だから、そうした失敗のリスクがあることは、上司の側で回避させる配慮は必須。

人間相手の仕事の場合は、ロールプレイが有効。上司をお客さんと思って受け答えさせてみる。課題が見つかったら「こうした場合、どうしたらいいと思う?」と問いかけ、考えてもらう。その反省を踏まえて次なるロールプレイを繰り返す。様々な留意点が頭に入ったと思える状態になってから。

お客さん(人間)相手の簡単な仕事から任せてみる。重大な失敗をしないよう、上司はそばにいて。危険を察知したら引き取るよ、と部下にはあらかじめ伝えておいて。それがない限りなるべく任せる。危険を察知したら上司が引き取る。こうして、少しずつ任せていく。

上司次第で、部下は受動的になり、やる気を失い、失敗を繰り返しても無反省となる。あるいは、部下が能動的となり、やる気にあふれ、失敗をしたら次こそは失敗してはなるものか、と失敗から学び、次の手を考え、再挑戦する意欲をたぎらせる。上司次第のところが大きい。

もちろん部下によっては、上司が誰かなんて関係なく意欲的な人もいる。しかしほとんどの人間は関係性次第で態度も行動も変わる生き物。関係性で言動は大きく変わる。上司が部下にどう接するかは、とても大切な要件。

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