相手の努力に驚嘆し、感謝し、いたわり合える関係性を
(2人目3人目の赤ちゃんの夜の面倒は自分が見たのに妻から恨まれるという愚痴を言ってる男性の書き込みに対し)
気持ちはわかる気がするけど、「自分も頑張った」という姿勢だと、こうなるのもやむを得ないかも。「オレ(私)の方が頑張ってる」競争になりかねないから。それをやると対立構造、マウント競争になってしまう。これを回避するには、まず自分から、相手の頑張りを讃え、認めることが大切。
夫婦ケンカの少なからずが「私の方が頑張ってる」という考え方を原因にしているように思う。この考え方に囚われると「いや自分の方が」の応酬になり、それは裏メッセージとして「お前はまだ頑張れるのに手を抜いている」というのが相手に伝わる。これで不愉快にならないほうがおかしい。
YouMeさんの友人で出産後、早期に子どもを保育園に預けて職場(介護職)に復帰した人がいる。この人いわく「仕事のほうがラク。だって休憩あるもん」とのこと。この言葉は重い。育児で大変なことの一つに休憩がないこと、気が抜けないということがある。
新生児無呼吸症候群というのがあり、いつの間にか赤ちゃんの息が止まるという事態が起きることがある。こんなことを知ってるものだから、新生児育児は特に気が抜けない。寝返り打つようになったらなったでうつ伏せになって息ができなくなってないか気が気でない。休憩ができやしない。
冒頭の投稿の方は、母親が夜の睡眠確保できるように努力していて偉いと思う。しかし寝不足の中、仕事に行く父親と、その後一人で残され、赤ん坊の面倒を見なければならない母親と、どちらのほうがしんどく、精神的にも肉体的にもつらいかというと、私は母親に軍配を上げざるを得ない。
だって仕事は休憩できるもん。自分のペースで仕事を進められる時間があるもん。
しかし赤子と二人きりにされる母親はそうはいかない。自分が気を失ってる間に赤ちゃんの息が止まってしまったらどうしよう、という緊張の中、赤ちゃんと日中向き合わねばならない。おちおち寝てなんかいられない。
その状況のつらさに十分な理解といたわりなしに「僕も頑張ってるのに」と言う態度になったとしたら、そりゃ恨まれる。せっかく夜に頑張っていても、相手へのいたわり、感謝が欠けていたら、相手がその頑張りを認めづらい気持ちになるのはやむを得ない。
こうした事態を回避するには、まず母親へのいたわりと驚嘆と感謝を示すことが大切なように思う。
・気を休めることのできない育児というものを、まずは父親が理解すること。
・それを日中頑張ってる母親の努力をいたわること。
・それを何ヶ月(場合によっては数年)も続けることの凄さに驚嘆すること。
・そして、そのことに素直に「ありがとう」と感謝すること。
・母親の負担を軽減するための努力は怠らない、という姿勢を常に維持すること。
この5条件を満たすことができれば、恨まれることはないし、むしろ母親も「仕事もあるのに夜頑張ってくれてありがとう」と感謝しやすくなるのでは。
夫婦で大切なのは、「向き合う」のではなく、「横並びになる」ことだと思う。正面から向かい合うと、人間は対立構造になりやすい。「オレは頑張ってる、だからお前ももっと頑張れ」という、苦労の競争みたいな変な関係になりやすい。これでは互いに恨みを抱きやすくなってしまう。
それよりは、横並びになり、同じ方向を向いて、同じ課題を解決しよう、という姿勢が望ましい。「君はこれをしてくれるのか、ならば僕はあれをしよう」と、共通の課題に対して共にやれることを最大限やっていく、という姿勢。このときに大切なことは。
相手はすでに最大限の努力をしてくれている、と信頼すること。それに感謝をすること。パフォーマンスが悪いときは「すでに疲れ果ててそれ以上に頑張れなくなっているからだ」と考え、その分自分ができることをやって相手の負担軽減に努めなければ、と考えるようにすること。
すると、こうした姿勢、心構えというのは不思議と相手に伝わる。自分の頑張りを十分認めてくれている、と嬉しくなる。だからこそ、パートナーへの感謝と理解が生まれてくる。信頼と理解と感謝の応酬が互いに行われる関係性になるように思う。
うちは2番目の子の夜泣きがひどく、YouMeさんは極度の睡眠欠乏に陥った。私は気が気でなく、どうにかYouMeさんの睡眠時間を確保したいとオロオロしていた。しかしYouMeさんは「あなたまで倒れてはいけない、あなたはいざという時に動けるバッファーでいてもらわないと困る」と言った。
そんなわけで、2番目の子の世話はほとんどYouMeさんがやってくれたので、私は何にも偉そうなことが言えない。ただ、YouMeさんによると、私が申し訳なさそうにしていること、何とかしようとオロオロしてること、できることは何でもしようという姿勢でいること、YouMeさんの頑張りに驚嘆してること、
それらから、自分のつらさ、苦しさ、頑張りを十分認めてくれている、と感じていたらしい。だから私を恨まず、許してくれていたらしい。
私は今でも、このときのことを申し訳なく思うし、今でも感謝せずにいられない。それがあるから、YouMeさんは恨みがましいことを言わずに済ませてくれてる様子。
ただ、あんまり私が何もしていないように書くと、後でいろいろ誤解を招きそうな気もするので、少し補足。2番目の子が夜泣きする原因は鼻づまりにあった。鼻水が詰まって息ができず、苦しくなって泣き出す、というパターンが毎夜のようにあった。
この鼻づまりに関しては、私の方に分があった。鼻水の粘り気と、鼻の奥の構造を想像しながら、赤ん坊を抱えて微妙な角度と振動を与えると、鼻水の詰まりを解消し、喉に流し込むことができた。これだけはYouMeさんには上手くできず、私が担当していた。
夜中に泣き出したら、副鼻腔の構造と鼻水の粘性を想像して、この振動なら鼻水と共鳴し、喉の方に動かせるのでは?というワザは、私の方が得意だった。長くても三十分ほどやれば、鼻を通せた。そこですかさずヴィックスヴェポラッブを塗ると、あとはスヤスヤ眠ってくれた。
しかし日中、私は仕事に出かけていて、YouMeさんだけになってしまう。眠るに眠れないだろう、休むに休めないだろう、と申し訳ない思いだった。結果的にだけど、この「申し訳ない」という気持ちと姿勢、そしてYouMeさんへの感謝の思いが、YouMeさんから恨まれずに済んだ理由かもしれない。
YouMeさんから恨まれてないなんて、一人でそう思ってるんじゃないの?と思われる方もいるかもしれない。私も若干、そこは不安だった。何しろ結婚してしばらくは、「私は別に結婚しなくてもよかった、嫌になったらすぐに別れるからね」と常々言われていたくらいだったから。
子どもが二人とも少し大きくなってきた頃、「あなたと結婚してよかった」と言ってくれた(ここ、ノロケです)。こんな嬉しい言葉はない。子育てに関しては、私はツイッターで偉そうに語る割には、YouMeさんに頼りっぱなしで、私は大したことしてない。なのにYouMeさんはそう言ってくれる。
私の子育てに関する発信は、YouMeさんから教えてもらったことが多い。これはぜひ世間の皆様にもお伝えしたほうがいいのでは、と思い、YouMeさんの代わりに発信しているようなもの。だから私は別に何にも偉くない。偉いのはYouMeさん。
夫婦円満でいられるのも、YouMeさんの度量によるところが大きい。どう考えても私よりYouMeさんの方が頑張ってる。感謝しかない。わたしが今あるのはYouMeさんのおかげと言って過言ではない。というか、YouMeさんのおかげです。
私はYouMeさんを尊敬している。私にできることはそのくらいなのだけど、YouMeさんはそれ以上のことをしてくれる。まさに感謝しかない。
どうか世間のご夫婦も、「いまあるのはパートナーのおかげ」と感謝しあえる関係性になることを、願ってやまない。
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