猛烈教育ママになるパターンの一つ

「父親が高学歴で仕事バリバリ、母親は学歴そこそこ若干玉の輿狙いで結婚」というパターンで、猛烈教育ママになったケース。教育雑誌を読みあさり講演聞いて情報収集、幼い頃から子どもに英才教育を施し、超有名幼稚園から超難関大学まで完璧な栄光の道を子どもに歩ませようと躍起。

幼いころから子どもに英語を学ばせようとしたり、習い事漬けに。学校終わっても塾に送迎、塾が終わっても膨大な課題を子どもに取り組ませ、日付を超えることが日常。自分がずっとそばについて熱心に指導。母親も疲れるだろうに、絶対失敗したくないの一念で土日もなく課題に取り組ませる。

父親二人から話を聞いた。不思議なことに、以下の点で共通していた。
・自分自身は子供の頃、勉強しろと言われたことがない。
・ほっとけばうちの子も勉強するようになると思ってる。母親にもそう伝えてる。
・「ほっといてできなかったら私のせいになるじゃないの!」といって母親は聞いてくれない。

どうやら母親に学歴コンプレックスがあり、もし放置して子どもの勉強ができなかったら自分の遺伝子のせいだと周囲に思われてしまう、それが許せない、ということらしい。だから最高の教育を我が子に施し、父親と同様、なんなら父親以上の学歴を身に着けさせて、周囲の鼻を明かしてやろう、という魂胆。

さて、肝腎の子どもは。疲弊。そして勉強嫌いに。それでも小学生の間はまだ従順だし、スタートダッシュで好成績稼いでる誇りも本人にあるから、まあ何とか母親のスパルタ教育にもついていくけど、中学にもなると弊害が明らかに。脳が勉強を拒絶する事例が増えてくる。伸びが悪くなる。すると。

母親は遅れを取り戻そうとさらに躍起に。夜中まで勉強をやめさせず、よけいに疲弊して理解力が低下、学力も伸び悩む、というケースを私も複数見ている。
一言で言って、悲惨。子どもが何より不幸。本来、学ぶことは楽しいものなのに、四六時中勉学ではただの苦役。拷問。

横浜で中学生を指導している友人から話を聞いたところ、「私立中学に通ってる子で、脳が学習を拒絶してるとしか思えない子が目立つ」という。英語を教えようとしても、そもそも日本語が読めない。座学を朝から深夜までやらされ、座学でしか学んでこず、言語能力が身についていないらしい。

猛烈教育ママの話を聞いたことが複数あるけど、どうも周りには猛烈指導が当然と思っている母親たちがウジャウジャいて、互いに情報交換(我が子で成績を争いつつ)してる様子が窺えたので、「こりゃ結構な数いるなあ」とは感じていたのだけど、それが裏付けられた気分。

私が子育て本を書いていることを父親が伝えて、「もう少し子どもが楽しんで学習できる環境にしたほうがいいよ」とアドバイスしても、母親からは鼻で笑われる。私のほうが教育に関して研究してる、あなたなんかに分かるもんですか、という感じ。もう言葉が届かんので、アドバイスしようがない。

教育系雑誌からインタビュー記事の依頼がこれまで何度か。「いかに子どもに本や図鑑を読ませるか、親にアドバイスしてあげてほしい」という依頼が多い。「そんな姿勢やから子どもら本を読まへんねん」て答えた。どうやら教育熱でのぼせてる母親たちにウケる記事を書きたくて仕方ない様子。

教育系雑誌が、効きもしない方法を紹介し、教育熱でのぼせてる母親をさらにのぼせさせ、子どもを朝から晩まで勉強漬けにする母親を量産するのに力を貸してるケースが無茶苦茶多い。私はそうした記事をボロクソに言うのだけど、ゴマメの歯ぎしり。

父親の稼ぎがいいからお金がある。だから、猛烈教育ママをさらに教育熱心な状態にしておけば市場は活気づくという仕組み。非常に罪深いが、一体どこに手入れすれば収まるのか、今のところ手の打ちようがない。私はツイッターで全然違う方法伝えるけど、そうした母親には届かない。独特の情報網。

学歴にそこまでの価値があるのかね?という疑問が強まっているこの時代に、学歴至上主義の教育熱心な人たちがいる不思議。一つ言えるのは、そうした指導を受けた子どもの少なからずが、勉強嫌いでしかも学力が高まらない状態になっていること。統計取りにくい話だけど、実在はする。とうしたものか。

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