ホモサピエンスは聖地で生まれた
1924年に、レイモンド・ダート博士は、南アフリカのタウングの石灰石採取場から送られてきた化石のなかから、のちに「タウング・チャイルド」と呼ばれる初期人類の化石を発見する。休日の午後、友人のために用意した結婚披露パーティーを準備している最中に、化石の入った箱が家に持ち込まれる場面は、「ミッシングリンクの謎」のなかに詳細に描かれている。
来年は、その人類史的事件から百周年になる。
いったい、南アフリカの人類学・考古学は、今どのような状況に置かれているのだろうか。僕は今日から、それを確かめるために、ブラブラと南アフリカを歩いてくるつもりです。
カバー写真は、Google Earthに、米国地質調査所のデジタル標高データGTOPO30を重ね合わせたもので、アフリカ大陸の地形がわかります。
南アフリカには、20億年前、10億年前、1億8000万年前に、小惑星が衝突して、地殻が割れて、地球の深奥部にあるマグマが盛り上がるリャバ構造がみられます。(図中の白い山地)そこに1億4500万年前に、別の小惑星が衝突して、ゴンドワナ大陸が分裂して、大陸の裂け目に海水が流れ込んでマグマ爆発が起きて、大気圏外に到達して、月が誕生した。
いわゆるジャイアントインパクト仮説は、カラハリ砂漠で起きた。
300万年前に人類が直立二足歩行になったのも、7万年前に言語を獲得したのも、ここだった。
この旅は2007年から続けてきた、デジタル言語学を確かめるための旅でもあるのです。