小説『52ヘルツのクジラたち』を読みました
今年の本屋大賞『52ヘルツのクジラたち』を読みました。
ストーリーは、自分の人生を家族に搾取され続けてきた主人公・貴湖が、過去から逃れるように海の見える田舎町に引っ越してきます。
そこで家族から虐待され「ムシ」と呼ばれている少年に出会います。
二人は互いの痛みに共鳴し合うように寄り添い始めます。
感想は・・
とにかく心が苦しくて読み進めるのが辛かった。
ちなみに52ヘルツのクジラというのは、他のクジラが聞き取れない高い周波数(52ヘルツ)で鳴くクジラのことです。
周りにたくさんのクジラがいるのに彼らに声が届かない、とても孤独なクジラのことだそう。
世の中の少数派、誰にも痛みをわかってもらえない登場人物たちを「52ヘルツのクジラ」に例えています。
物語のなかで、主人公貴湖を辛い過去から救い出してくれるアンさんという登場人物が出てきます。
このアンさんも実は貴湖と同じく誰にも言えない痛みを抱えている52ヘルツのクジラだったということが後にわかります。
そしてこのアンさんの最期が本当に悲しかった。
このアンさんのように、孤独な登場人物の52ヘルツの声をちゃんと聴いてあげようとする人達が何人か出てくるのですが、これが本当に優しくて心強い。
自分自身も周りの少数派の人々や何かしらの痛みを抱えた人たちに出会ったとき、たとえ助けてあげられない状況だったとしても、せめてその声に耳を傾けてあげる努力をしようと思いました。
ちなみにものすごく心苦しいお話ですが、ラストはちゃんと救いがあります。
なので途中すごく読み進めるのが辛いですが、安心して読んでみてください。
そして嫌な登場人物がたくさん出てきますが、どうか目くじらを立てずに読んでください。
クジラだけに。
誰にも響かない、52ヘルツのオチで今日は締めくくろうと思います。