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鹿児島 はんず茶

 水甕を指す半胴がなまって、はんずの名がついたお茶。今では生産家がだいぶ減り、希少になってきました。
 鹿児島の茶文化の始まりは、初代藩主島津忠久にさかのぼるといわれます。島津忠久は子供の頃、京都の栂ノ尾の明恵上人のもとで学んでいたという記録があり、その後、薩摩入国に先立って島津家菩提寺・感應禅寺を栄西禅師をむかえて開基しました。茶の中興の祖と称される両者と縁が深いのです。
 朝鮮出兵時に連れてこられた陶工が伝える薩摩焼の里に近い地域には、はんず茶と呼ばれる自家用のお茶がわずかながら残っています。はんずとは半胴がなまったもので、水の保管や味噌の保管に多く利用されている大水甕を指します。そのはんずを寝かせて作った釜に茶葉を入れ、先が4つに分かれた茶の枝を中に突っ込んでかき混ぜながら茶を炒って作ります。いつまでも飽きのこない、どこか懐かしい味です。

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