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島根 ボテボテ茶

 松江・出雲地域に伝わる伝統的なお茶。その起源については、いろいろな説があります。
 出雲のお茶は、推古天皇までさかのぼることができる鰐淵寺の高僧から、その歴史が始まったという伝説があります。多くの留学僧を輩出した天台宗の僧ならば根拠のある説でしょう。今でも鰐淵寺の山のそこかしこにお茶の樹を見ることができます。
 松江・出雲地域に残るボテボテ茶の起源は未詳で、唐僧が伝えたとする説や、出雲のたたら製鉄の職人たちが作業の合間に立ったまま口に流し込んでいた労働食よりはじまったとする説など、諸説あります。飲むためではなく、具を混ぜて食べるためのお茶です。
 花入りの番茶を煮出して茶碗に注ぎ、茶せんの先に塩を少しつけて泡立てます。赤飯、昆布、椎茸、高野豆腐、黒豆など好みの具を入れて混ぜ、両手で茶碗を振り動かしながら口の中に入れて食べます。先人の知恵を感じる興味深い味です。

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